• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2014年8月

31日(日)

現実は受け入れがたく赤のまま

のんびりかまえていたら、
8月ももう終わりです。

げんじつは うけいれがたく あかのまま
季語=赤のまま
※道端でよくみる雑草です。「蓼食う虫も好き好き」のタデ科の仲間。
※本名は犬蓼といい、枝先に赤い小花を群がり咲かせます。
※「赤のまま」「赤まんま」という可愛らしい名前は、それを子どもたちが赤飯に見立てて
遊んだことから付いた別称なのだとか。
※今年もあと4カ月だよ。きょうもありがとうございます。

30日(土)

風船はふくらみすぎて天の川

お腹を膨らませ過ぎてパンクした
カエルのお話しがありましたね。

ふうせんは ふくらみすぎて あまのがわ
季語=天の川
※天の川は、初秋がもっとも美しく見えると言われています。
※夏も終わりですね。きょうもありがとうございます。

29日(金)

散ってみてまた咲いてみて木槿垣

散った花に気づかないと、
ひとつがずっと咲き続けているかのようです。

ちってみて またさいてみて はなむくげ
季語=木槿垣
※華やかなムクゲは庭木や垣根としても好まれます。
※1日花であるムクゲは次々に花を咲かせ、晩夏から秋を彩ります。
※非常に生命力が強く、切った枝からでも根付くのだとか。
※花びらが散るのではなく、ツボミの状態に戻るように萎れて花ごと落ちます。
※街中のムクゲが満開な感じです。きょうもありがとうございます。

28日(木)

ゆらゆらとどこか幼く秋海棠

よく見ると、ハート形の葉っぱは、
少しばかりゆがんでいる。

ゆらゆらと どこかおさなく しゅうかいどう
季語=秋海棠
※俯き加減に開く薄紅色の花ひとつひとつは可愛らしく、
日陰を好みひっそり咲く姿は美しくもある。
※中国原産の花。その姿は憂いを帯びた美女に喩えられたといいます。
※雨の似合う花。きょうもありがとうございます。

27日(水)

人見知りなのかもしれぬ夏薊

この曇天には不似合いなくらいに、大きく猛々しく咲いていました。
(もしかしたら、もう秋アザミと呼ぶのかもしれませんが‥‥)

ひとみしり なのかもしれぬ なつあざみ
季語=夏薊
※アザミは春の季語ですが、その種類が多く春、夏、秋と三季にわたり見ることができます。
※よって、夏に咲くアザミをナツアザミ。秋に咲くからアキアザミと呼び分けます。
※アザミは葉っぱの先端に鋭いトゲを持っていますが、夏は特に太く鋭い気がします。
※なにより花の色が春や秋にくらべ鮮やかで印象的です。
※天気は一転、肌寒いくらい。きょうもありがとうございます。

26日(火)

何ごともそつなくこなす鳳仙花

うらやましくもあり、
ときには、そうでもなかったり。

なにごとも そつなくこなす ほうせんか
季語=鳳仙花
※日本には室町時代にやって来たそうです。
※古くは紅色の花の汁で女性が爪を染めたとかで、
「妻紅(つまくれない)」などの呼び名が残っています。
※ちなみに、鳳仙花の名は「鳳凰」と「仙人」に関係があるらしい。
※ホウセンカは中国名である「鳳仙花」を訓読(日本語読み)したもの。
※響きがいいですね。きょうもありがとうございます。

25日(月)

残り湯のかすかな温み虫の声

昨夜の湯が朝にはすっかり水になっていたよ。

のこりゆの かすかなぬくみ むしのこえ
季語=虫の声
※秋に鳴く虫のこと。夜に鳴く虫もいれば、朝や昼に鳴く虫もいます。
※急に涼しくなりましたね。きょうもありがとうございます。

24日(日)

とぼけてはとぼけたなりの地蔵盆

にぎやかな祭囃子が聞こえてました。

とぼけては とぼけたなりの じぞうぼん
季語=地蔵盆
※地蔵盆は、お地蔵さんを祭る日のこと。新暦では8月23日、24日に当たります。
※この日は、多くの街で子どもたちのための縁日などが行われているようです。
※温和な表情のお地蔵さん(地蔵菩薩)は、道端など少し地味な所にいらっしゃいますが、
生きるものすべての苦難を取り除く有難い存在なのだとか。
※残念ながら今年はお祭りに行けなかったけど。きょうもありがとうございます。

23日(土)

打ち消した言葉のごとく処暑の雨

閉め切ったままでは、やっぱり蒸し暑いのね。

うちけした ことばのごとく しょしょのあめ
季語=処暑
※今日は、処暑。二十四節気のひとつです。
※この日あたりから暑さが一段落すると言われていますが‥‥ケースバイケースです。
※空気の流れがないとね。きょうもありがとうございます。

22日(金)

面倒はいずれ投げ出せきりぎりす

聞き入るような音色ではないが、
だからといって耳障りでもない。

めんどうは いずれなげだせ きりぎりす
季語=きりぎりす
※キリギリスは、ギィーチョン、ギィーチョンと昼間に鳴きます。
※鳴くのは雄。2枚の羽をこすりあわせて音を出します。
※風に吹かれながら。きょうもありがとうございます。

21日(木)

諦めの悪さに染まる西日かな

誰もが「秋だなぁ~」と思うのは、
9月も少し過ぎてから。

あきらめの わるさにそまる にしびかな
季語=西日
※晩夏の西日はとくに耐えがたいものがありますよ。
※扇風機が熱風だもの。きょうもありがとうございます。

20日(水)

甲虫ののたうちまわる炎暑かな

カナブンだろうか。
外階段の踊り場で羽根を広げて転げ回っていた。

こうちゅうの のたうちまわる えんしょかな
季語=炎暑
※燃える炎を思わせる真夏の暑さ。
※溶けるかと思いましたよ。きょうもありがとうございます。

19日(火)

蜻蛉やや雑踏の中すり抜ける

同じようにすり抜けたいかもね。

とんぼやや ざっとうのなか すりぬける
季語=蜻蛉
※トンボは秋の季語とさせていますが、実際には夏も盛んに飛び回っています。
※古名を「あかつき」と言います。蜻蛉を「せいれい」と音読みする場合もあります。
※トンボは成虫も幼虫も肉食で、蜂まで捕食するそうですよ。
※強さも弱さもほどほどで。きょうもありがとうございます。

18日(月)

露草に希望の色を聞いてみよ

青色でなかったならば、
ほんとの雑草だったのだろうか。

つゆくさに きぼうのいろを きいてみよ
季語=露草
※可憐な青い花でよく知られるツユクサ。
※基本的には、どこにでも繁殖する雑草です。
※夜明けとともに咲くため、花が朝露に濡れていることからこの名が付いたとか。
※花期は7~9月ですが、露の目立つ秋の季語となっています。
※文学的なネーミングですね。きょうもありがとうございます。

17日(日)

あれこれと比べぬように稲の花

見過ごしそうな、小さな花を付けていました。

あれこれと くらべぬように いねのはな
季語=稲の花
※まだ青い穂にこまごまとした白い花が群がり咲きます。
※花が咲くとすぐに受粉するそうで、開花は午前中の数時間といいます。
※運よく見れたか。きょうもありがとうございます。

16日(土)

消せもせぬ記憶にまぎれ大花火

年々、花火も進化しているみたい。

けせもせぬ きおくにまぎれ おおはなび
季語=花火
※日本初の花火大会は江戸時代(1733年)に両国で行われました。
※今日は神宮外苑花火大会でした。きょうもありがとうございます。

15日(金)

気がねなく休む八月十五日

一般的にはお盆休みだから、
様々な場所で様々なイベントが行われていました。

きがねなく やすむはちがつ じゅうごにち
季語=八月十五日
※8月15日は「終戦日」。きょうもありがとうございます。

14日(木)

大人しくぶら下がっている苦瓜よ

ご近所の駐車所のフェンスに、
わりと見事な苦瓜が生っています。

おとなしく ぶらさがっている にがうりよ
季語=苦瓜
※ゴーヤのこと。インド原産で、中国を経由して江戸時代に渡来したそうです。
※ニガウリの和名は「ツルレイシ」。「ゴーヤ」はもともと沖縄の方言でした。
※育てやすいゴーヤは、日よけの「緑のカーテン」として近ごろ人気のようです。
※完熟するとオレンジ色となり、まるで大きな花が開くかのように実が裂けます。
※ときどき収穫されている模様。きょうもありがとうございます。

13日(水)

根に持たぬなど嘘カンナ咲き誇る

人類にはじめて芽生えた感情は、
「妬み」だったというよ。

ねにもたぬなどうそ かんなさきほこる
季語=カンナ
※カンナ科の大型の多年草。その仲間は中南米や熱帯アジアなどに分布しています。
※日本でよく見るのは、ヨーロッパで作られた花カンナ。
※真っ赤な花が印象的で、女性にたとえられることもある。
※その他の花色に黄色や橙などがあり、どちらにしても華やか。
※花期は7~11月ごろまで。夏から秋にかけて咲いています。
※風が心地よいね。きょうもありがとうございます。

12日(火)

出だしから焦るでもなく百日草

種を撒くのが遅かったのか、
ベランダの百日草が今日咲いた。

でだしから あせるでもなく ひゃくにちそう
季語=百日草
※メキシコの高原が原産と言われています。
※育てやすく花壇などに人気の花ですが、古くから仏花としても親しまれています。
※その名の通りおおよそ100日もの間咲き続けます。花期は7~9月まで。
※一茎一花で、高さ60~90センチほどになります。
※このまま11月中旬まで咲くのか?! きょうもありがとうございます。

11日(月)

人の好い振りして疲れ西瓜食む

スイカは、気さくに、がぶりと。

ひとのよい ふりしてつかれ すいかはむ
季語=西瓜
※アフリカ原産。ずっと西の方から来た瓜ということで「西瓜」と書くのだとか。
※見慣れた縞模様のスイカは昭和初期から出回るようになったそうです。
※それまでのスイカは縞模様ではなく真っ黒でした。
※今日日の黒いスイカは、高級品としてデパ地下などで見かけますよ。
※スイカは秋の季語ですが、実際はやはり夏ですよね。
※台風のあとは暑かった。きょうもありがとうございます。

10日(日)

たえられず無口になりし白木槿

台風の影響で、いつまでも風が鳴りやまない。

たえられず むくちになりし しろむくげ
季語=白木槿
※朝に開いて夕方にはしぼむ一日花ですが、ひとつの枝にたくさんの花を付けます。
※花の時期は7月から9月、10月までと長く、次々と新しい花を咲かせます。
※花の色は純白から赤紫、ピンク、しぼりなどさまざま。
※雨の休日。きょうもありがとうございます。

9日(土)

朝顔や手を抜くことも覚えおり

花びらがぺらぺらとしたものは、
だいたい1日花。

あさがおや てをぬくことも おぼえおり
季語=朝顔
※午前中の数時間のみ咲いて、しぼんでしまう1日花です。
※朝顔といえば夏の風物詩ですが、歴史的には長く秋の季語です。
※日本にやってきたのは平安時代。もともとは薬として渡来したそうです。
※花びらがしぼむことで、強烈な夏の日差しからめしべを守っているのだとか。
※涼しければ長く咲くことも。きょうもありがとうございます。

8日(金)

日日草汚れしままのスニーカー

日課とするよりも、ほどよく小まめに、
という方がむずかしいと思う。

にちにちそう よごれしままの すにーかー
季語=日日草
※初夏から晩秋にかけて、毎日新しい花が咲き継ぐことから日々草と呼ばれます。
※原産は、西インドやマダガスカル島。
※花期が長いので、鉢植えや花壇で楽しむ人が多いかもしれません。
※可愛らし花です。きょうもありがとうございます。

7日(木)

日和見な会話を埋める蝉しぐれ

暑さのピークも、ここらで折り返しとなりますね。

ひよりみな かいわをうめる せみしぐれ
季語=蝉時雨
※多くのセミが一斉に鳴きだす様子のこと。鳴いているのは雄ゼミ。
※立秋でした。きょうもありがとうございます。

6日(水)

原爆忌少し離れて昼の月

ここ2、3日、昼の月がよく見えます。

げんばくき すこしはなれて ひるのつき
季語=原爆忌
※広島と長崎に原爆を投下された両日のこと。
※それぞれ、8月6日を広島忌、8月9日を長崎忌といいます。
※昼の月が見える見えないは、それぞれの自転と公転が関係しています。
※だけど地球をはさんで太陽と真逆となる満月は、昼間に見ることはできない。
※きょうもありがとうございます。

5日(火)

馴染めぬと迷い烏瓜の花

暗闇に浮かぶ奇妙な白い花。
知らないとギョッとするかもしれない。

なじめぬとまよい からすうりのはな
季語=烏瓜の花
※レースの網目のような、繊細で複雑な白い花です。
※夏の夜の闇の中に開き、夜明けとともにしぼみます。
※ある意味、幻想的な花ですよ。きょうもありがとうございます。

4日(月)

つまらない映画のような熱帯夜

暑くて、じっとしていられないや。

つまらない えいがのような ねったいや
季語=熱帯夜
※いつまでも気温が下がらず寝苦しい夜のこと。
※気象予報では、深夜になっても25度を下回らないときに使うとか。
※連日ですね。きょうもありがとうございます。

3日(日)

冷奴いつの間にやら角くずれ

人間の
角はなかなか
取れませぬ

ひややっこ いつのまにやら かどくずれ
季語=冷奴
※薬味と醤油でさっぱりと食べる冷やした豆腐。
※やっぱり夏の季語ですね。きょうもありがとうございます。

2日(土)

ひと匙のすべる塩梅水ようかん

数匙食べて、
ふとキレイな半円にしてみたくなり。

ひとさじの すべるあんばい みずようかん
季語=水羊羹
※みずみずしく、夏に好まれるようかん。冷やして食べます。
※水ようかんといえば、丸く平たい缶詰が一般的なのかもしれない。
※幾つになっても。きょうもありがとうございます。

1日(金)

継ぎ足して温さの残る麦茶かな

氷を食べ過ぎたかも。

つぎたして ぬるさのこのる むぎちゃかな
季語=麦茶
※炒った大麦を煮出してから、冷蔵庫で冷やして飲む夏の飲物。
※最近では冷水でつくる麦茶のパックが定番なのかも。
※何といっても便利だし。きょうもありがとうございます。