• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2015年3月

31日(火)

夕暮れはひとりに疲れ花疲れ

八重桜も枝垂れ桜も
いっせいに咲きましたね。

ゆうぐれは ひとりにつかれ はなづかれ
季語=花疲れ
※花見客でにぎわう様子や、人付き合い、または浮かれすぎて、飲み過ぎて‥‥。
※そんな花見のあとの疲れを「花疲れ」と言います。
※5月上旬の陽気だったて? きょうもありがとうございます。

30日(月)

本性は包み隠してヒヤシンス

球根といえば、
チューリップか、ヒヤシンスでしょうか。

ほんしょうは つつみかくして ひやしんす
季語=ヒヤシンス
※園芸種にはさまざまな花色がありますが、本来の色は青紫であるようです。
※和名は風信子(ふうしんし)。深い意味がありそうですが、当て字なのだとか。
※姿かたちも香りもよく、この時期、花壇や鉢植えなどでよく見ます。
※根っこは白い。きょうもありがとうございます。

29日(日)

お互いの弱さを踏まえおぼろかな

無自覚な「売り言葉」と、
咄嗟の「買い言葉」。

おたがいの よわさをふまえ おぼろかな
季語=朧
※春は水蒸気が立ちやすく、月や遠くの景色がかすんで見えることがあります。
※その現象を、昼は霞(かすみ)、夜は朧(おぼろ)と言ったりします。なぜに言い換えるのかは知りませんが‥‥。
※お互いさまということで。きょうもありがとうございます。

28日(土)

うららかにソメイヨシノの歩み寄り

思った以上に花見も楽しめて、
さわやかな1日でした。

うららかに そめいよしのの あゆみより
季語=うらら
※満場一致で「春だなぁ~」と思える、晴れやかな様子。
※昔から、暑さ寒さも彼岸までと言いますが‥‥
※ほんとだね。きょうもありがとうございます。

27日(金)

桜二分三分老木なるいたみ

大きくなり過ぎた桜の木。
切り落とされた太い枝、唐突な切り口。

さくらにぶさんぶ ろうぼくなるいたみ
季語=桜
※見ごろは来週あたりか~。きょうもありがとうございます。

26日(木)

カステラにしぼんだ夢をのせて春

ケーキひとつでご機嫌がなおるのなら、
それはそれで素晴らしい。

かすてらに しぼんだゆめを のせてはる
季語=春
※今年は寒暖の差が激しいですね。
※毎日だと太るけど。きょうもありがとうございます。

25日(水)

連翹や予定調和のつまらなさ

お役人的な嘘は、
底が浅いが、なぜかうやむやになる。

れんぎょうや よていちょうわの つまらなさ
季語=連翹
※モクセイ科で、明るい黄色い花が印象的です。
※四方八方に伸びる枝に群がるように咲きます。
※春の勢いを感じる花のひとつ。きょうもありがとうございます。

24日(火)

拒んでも拒みきれない藍微塵

「忘れな草」で、売られています。

こばんでも こばみきれない あいみじん
季語=藍微塵
※アイミジンとは、勿忘草(わすれなぐさ)の別称です。
※ちなみに、手持ちの数冊の季語集には「忘れな草」の表記はありません。
※藍色の小さい五弁花を、茎の先にたくさんつける様子が可愛らしい。
※ヨーロッパ原産で、その花言葉が「私を忘れないで」。
※時代です。きょうもありがとうございます。

23日(月)

雑用は増え行くものと諸葛菜

年々、そういうものなのかも。

ざつようは ふえゆくものと しょかつさい
季語=諸葛菜
※諸葛菜は中国から江戸時代に渡って来た帰化植物。
※当初は観葉植物のひとつだったとも言われています。
※現在はいたるところで野生化し、時と場合にとっては雑草にも。
※三国志の諸葛孔明が戦時中の非常食としたことから、この名が付いたと言われています。
※紫の花。きょうもありがとうございます。

22日(日)

そわそわと沸き立つように花ミモザ

毎年咲くのが、楽しみな花のひとつ。

そわそわと わきたつように はなみもざ
季語=花ミモザ
※ミモザの原産はオーストラリアです。
※快晴であればなおいっそう、黄金色の花に目を奪われます。
※細い枝に、球状の明るい黄色い花を、無数に付けます。
※香水の原料でもあり。きょうもありがとうございます。

21日(土)

負け癖の付いて春分の日の朝

寒さはやわらいでも、
早起きはつらい。

まけぐせのついて しゅんぶんのひのあさ
季語=春分の日
※春分の日を境に、昼と夜の時間が逆転します。この日の昼夜は、ほぼ等しい。
※春の彼岸は、春分の日を基準に前後3日が、その期間(計7日間)となります。
※暖かくなったのに。きょうもありがとうございます。

20日(金)

自販機の軽く気怠く春の闇

本当の闇夜は
知らないけれど。

じはんきの かるくけだるく はるのやみ
季語=春の闇
※月の出ていない春の夜の暗さを「春の闇」といいます。
※季語集では、「やわらかい」とか「しっとり」などと形容されています。
※新月で、曇りの日。きょうもありがとうございます。

19日(木)

辛抱の足りずまどろむ初桜

サクラが咲きはじめると、何とはなしにでも、
日本列島というスケールを意識することになりますよ。

しんぼうの たりずまどろむ はつざくら
季語=初桜
※おそらく初桜に種類や時期の限定はありません。
※ひと口にサクラといっても、種類によって、地域によって、開花時期は大きく異なりますので。
※梅の花は散りはじめました。きょうもありがとうございます。

18日(水)

打ち解けて打ち解けてなし春なかば

冬のコート類、
まとめてクリーニングに出したい
気分ではあるのですが‥‥。

うちとけて うちとけてなし はるなかば
季語=春なかば
※仲春のこと。新暦で言うと2月が初春、3月が仲春で4月が晩春にあたります。
※地域によって異なりますが、3月もなかばを過ぎれば、まもなく春本番という空気ですね。
※まだ油断はできないね。きょうもありがとうございます。

17日(火)

ほどほどに笑いそろそろ水温む

つい先日まで、3月というのにじつに寒くて、
気づけば生まれて初めて、
両方の親指の先端にヒビができてしまいましたよ。

ほどほどに わらいそろそろ みずぬるむ
季語=水温む
※水道水もここに来て、やっと、やわらかくなってきた感じがしますね。
※季語の本意は、川や池、沼などの水の様子をいいます。
※水温に決まりがあるわけではなく、水や水辺に春らしさを感じることに主眼があります。
※両方とは不便なものなのさ。きょうもありがとうございます。

16日(月)

そそくさと隙間すきまにペンペン草

今どきは
三味線のばちというより、
ハート型かも。

そそくさと すきますきまに ぺんぺんぐさ
季語=ぺんぺん草
※春の七草のひとつ、薺(なずな)の花のこと。
※花のあとに付く、小さな実のカタチが三味線のばちに似ていることから
三味線草、ペンペン草として古くから親しまれています。
※10センチほどの茎の先に、白い十字の花を多数つけます。
※可愛いけれどちょい地味系。きょうもありがとうございます。

15日(日)

明るくて気さくなはずの黄水仙

ときには、そうでない日も
あって当然なのだけれども。

あかるくて きさくなはずの きずいせん
季語=黄水仙
※鮮やかな黄色い花を付けるスイセンの一品種で、香りがある。
※一つの茎に2、3の小ぶりな花を付けます。
※原産は南ヨーロッパン。江戸時代末期に渡来したそうです。
※先入観って怖いよね。きょうもありがとうございます。

14日(土)

木蓮の花咲きはじむ咲きはじむ

モクレンが咲くと、
なんだか、うれしくなります。

もくれんの はなさきはじむ さきはじむ
季語=木蓮
※個人的に馴染みのある花、だからかもしれませんが。きょうもありがとうございます。

13日(金)

菜の花の花に命を見送られ

今日、そんな素朴なお見送りをしました。

なのはなの はなにいのちを みおくられ
季語=菜の花
※菜の花といえば明るく群生するイメージですが、畑などのひと隅に咲くものもまた菜の花。
※感謝を込めて。きょうもありがとうございます。

12日(木)

しりとりのようにほころび梅真白

街中の梅の花が
咲き誇っています。

しりとりの ようにほころび うめましろ
季語=梅
※サクラは全体を楽しみ、ウメは花そのものを愛でる傾向があるようです。
※香りがあるからかもしれませんが、ウメの花には知らず近づいています。
※もしくは、バトンのように。きょうもありがとうございます。

11日(水)

転げては転げたままの藪椿

まあ、それもありなのかなと、
近ごろは思います。

ころげては ころげたままの やぶつばき
季語=藪椿
※冬から春にかけて咲くツバキは、北海道を除く日本全土で自生しているそうです。
※日本に古くから自生しているのは藪椿と呼ばれるもの。
※現在の品種は多種多様で、600種にものぼると言われています。
※メジロやヒヨドリが好んで蜜を吸う、いわゆる鳥媒花のひとつです。
※玉椿はツバキの美称。きょうもありがとうございます。

10日(火)

なおいっそうあかるく春の夕焼か

病院へのお見舞い。
どうにも慣れないことのひとつ。

なおいっそ あかるくはるの ゆうやけか
季語=春の夕焼
※それぞれの季節を冠した夕焼けには、それぞれの季節の持つイメージが重なります。
※春の夕焼はやさしく、夏は力強く、秋は聡明で、冬はもの悲しい。そんな感じでしょうか。
※綺麗な茜色でした。きょうもありがとうございます。

9日(月)

長々と落しどころなく春の雨

また寒波が来るらしいですね。
桜も咲き始めたのに。

ながながと おとしどころなく はるのあめ
季語=春の雨
※寒々とした雨の一日。きょうもありがとうございます。

8日(日)

疑いは根深く春の泥となる

大人なら、まず避けて歩くけどね。

うたがいは ねぶかくはるの どろとなる
季語=春の泥
※春泥(しゅんでい)ともいう。春となり雪解けや凍解けでできる泥のこと。
※雪の降らない土地ならば、春雨によるぬかるみも春の泥でしょう。
※さらっとね。きょうもありがとうございます。

7日(土)

純粋に純粋そうにミモザ待つ

「見返り」を求める、じつに人間らしい行為なのかもしれない。
ゆえに、身近なところから、嫌われてゆく。

じゅんすいに じゅんすいそうに みもざまつ
季語=ミモザ
※マメ科の常緑高木。細い枝に小さな黄色い毬状の花が群がり咲くます。
※つい先日、やや近所にミモザの木を偶然見つけた。咲くのが楽しみです。
※まだツボミでした。きょうもありがとうございます。

6日(金)

すれ違うことに慣れ過ぎ竹の秋

この時期の竹は、商品にならないのだとか。
疲れているからね。

すれちがう ことになれすぎ たけのあき
季語=竹の秋
※竹は春に黄葉し、秋に青々と茂ります。
※黄葉といっても初夏に顔を出す筍に、その栄養分を与えているから。
※春と秋、自己都合か、外的要因かの違いがあるのかもしれません。
※知らないと気づかないかも。きょうもありがとうございます。

5日(木)

人間の限界を知る春の虫

今日、なにやらの虫を見た気がしたのです。

にんげんの げんかいをしる はるのむし
季語=春の虫
※明日3月6日は啓蟄。冬眠していた虫や蛇などが穴から出てくるとされる日です。
※あら?と思いましたが、「春の虫」という総体的な季語はないようです。
※目の前を飛んでいった。きょうもありがとうございます。

4日(水)

沈丁の香も深くなり丸くなり

昼間より夜の方が香る気がします。

じんちょうの かもふかくなり まるくなり
季語=沈丁花
※星型の小さな花が寄り集まって、毬状に咲きます。
※春の沈丁花、秋の金木犀。どちらも風に乗って遠くまで香り、雨の日には特に香ります。
※七分ほど咲いてた。きょうもありがとうございます。

3日(火)

諦めることなく三月三日かな

よく来るメジロが、2羽になっていた。

あきらめる ことなくさんがつ みっかかな
季語=三月
※この句の季語としては三月になりますが、三月三日は雛祭り、桃の節句ですね。
※つがいなのかもね。きょうもありがとうございます。

2日(月)

強情な口元さむし牡丹の芽

揺らめく炎のようにも見えます。

ごうじょうな くちもとさむし ぼたんのめ
季語=牡丹の芽
※春も早い時期から、冬枯れした枝の先端に、燃えるような赤い芽を付けます。
※いろいろな芽が動いています。きょうもありがとうございます。

1日(日)

三月にぼちぼちあわす腕時計

ひと月28日って、短い。

さんがつに ぼちぼちあわす うでどけい
季語=三月
※日ごとに暖かくなる月。必然、雨の日も多くなります。
※で、初日から雨かよ。きょうもありがとうございます。