今日の俳句、こうのこうき
2019年8月
31日(土)
貧乏性ゆえにゆらめく猫じゃらし
数日前の強風で 片側にだいぶ傾いている。
びんぼうしょう ゆえにゆらめく ねこじゃらし季語=猫じゃらし ※イネ科の植物。その穂で猫をじゃらして遊ぶのでこの名があります。エノコログサの別名です。 ※8月も終わりだね。きょうもありがとうございます。
30日(金)
深呼吸月は無限に満ち欠ける
眠れない時は眠くなるまで 布団の中で深呼吸を繰り返すといいそうだ。 呼吸に集中することで、 たしかに落ち着いて行く実感はある。 が、問題は、眠くなるまでなんて、 辛抱強く繰り返せない、というところだろうか。
しんこきゅう つきはむげんに みちかける季語=月 ※秋の季語。四季折々に月の表情がありますが、古くから秋が一番美しいとされています。 ※明日より薄い三日月。きょうもありがとうございます。
29日(木)
からかわれ下手なり夕化粧赤し
夕方、街のあちらこちらに咲く。 毎年ふつうに同じ場所に咲く上に、見事に青々と生い茂っているため、 まったく違和感がないかもしれないが、 その多くは野生化したものですよ。
からかわれべたなり ゆうげしょう あかし季語=夕化粧 ※白粉花のこと。夕方に咲くため、別名夕化粧という。 ※メキシコ原産の多年草。江戸時代に観賞用として渡来した。繁殖力が強いため広範囲に野生化もしている。 ※花色は赤、白、黄色、絞り。きょうもありがとうございます。
28日(水)
短編を読み解くごとく夜の秋
「秋」といっても、夏の終わりごろの季語。 もともとは秋の季語でしたが、明治・大正のころに夏の季語となったとか。
たんぺんを よみとくごとく よるのあき季語=夜の秋 ※昼は暑くても夜になると秋を身近に感じること。 ※どちらにしても大昔。きょうもありがとうございます。
27日(火)
月光にうそぶく烏瓜の花
「うそぶく」には、いつくか意味があります。 ①大きなことを言う。 ②とぼけて知らんぷりをする ③口をすぼめるようにして詩歌を吟ずる。 一般的には、①か②の意味で使われていると思う。
げっこうに うそぶく からすうりのはな季語=烏瓜の花 ※白いレースを広げたような、紙細工のような、じつに複雑なカタチの花を咲かせます。 ※夜に咲くので気づかないかもしれないが、住宅地でも見る花。翌朝には、見事にしぼんでしまう。 ※嘘を付くという意味ではないよ。きょうもありがとうございます。
26日(月)
炭酸にむせる真昼の韮の花
ニラは、じつは根元まで食べられるそうだ。 しかも栄養価が高いらしい。
たんさんにむせる まひるの にらのはな季語=韮の花 ※小さな白い花。葉と葉の間からすっと伸びた花茎に無数に咲く。 ※晩夏から初秋にかけて咲く花。季語集によっては、夏の季だったり秋の季だったりする。 ※近くの家庭農園に咲いていたよ。きょうもありがとうございます。
25日(日)
新涼や一つ所に待ちわびて
朝夕はたいぶ過ごしやすくなってきた。 冷房の効いた部屋から一歩でも外に出ると、軽く驚く。
しんりょうや ひとつところに まちわびて季語=新涼 ※この時期、爽やかな風や空気に触れるとふとした涼しさ感じる。そんな新鮮な驚き(気持ち)を表す初秋の季語です。 ※熱帯夜ではあるが。きょうもありがとうございます。
24日(土)
水引や所変われば素っ気なく
どこかの敷地と道路の境い目に、ひよっこりとのびる水引の花を見つけることがあります。
みずひきや ところかわれば そっけなく季語=水引 ※観賞用として庭などに植えます。本来は日本各地の山野に自生する多年草なので、見た目以上に丈夫。 ※細い花穂に点々と付ける小さな花は、上から見ると赤く、下から見ると白く見えます。そのため「水引の花」と呼ばれる。 ※風によくなびく。きょうもありがとうございます。
23日(金)
耳の奥そのまた奥のちちろ虫
コオロギのことです。 その種類は意外に多く、それぞれに鳴き声が異なります。 まるで違ってもコオロギなんだ、と思うくらいに違う。
みみのおく そのまたおくの ちちろむし季語=ちちろ虫 ※リーリーリーと鳴く、ツヅレサセコオロギの声がよく響く。 ※地中で鳴くコオロギもいるそうだ。きょうもありがとうございます。
22日(木)
台風来プリントアウトペーパーレス
ふと気づいた。省略表現ありきの歴史的名句って、 ないんじゃないかな?
たいふうく ぷりんとあうと ぺーぱーれす季語=台風 ※俳句では台風は秋、9月ごろの季語です。これからが台風の季節。 ※「台風来」は「台風が、来る(来た)」という意味の俳句でよく使う省略表現。なんか中華料理店の店名みたい? タピオカ店? ※そもそも俳句が、省略だから。きょうもありがとうございます。
21日(水)
ツクツクホウシカタカナ言葉ウケナガス
新しいカタカナ言葉(外来語)は、 検索しても分からないことがある。 実際、文脈からも想像しにくい。
つくつくほうし かたかなことば うけながす季語=つくつくほうし ※立秋になると鳴きはじめる法師蝉のこと。鳴き声がツクツクホーシ、オーシーツクツクと聞こえる。 ※何かのまじないのようだ(笑)。きょうもありがとうございます。
20日(火)
たいていのことは楽しく虫の秋
夜、窓を開ければ、秋の虫がしっかり鳴いている。 (残念ながら何の虫かは、未だによくわからない)
たいていのことは たのしく むしのあき季語=虫の秋 ※秋に鳴くすべての虫のこと。ちなみに「秋の虫」という季語は存在しない。理由は和歌の伝統を受け継ぎ「虫」の一語でそれを表す季語となるから。ただし「虫の秋」とひっくり返せば、季語となる。「虫の鳴く秋なんだなぁ~」という感慨を含んだ季語なのだろう。おそらくですが、季語として認められるようになったのは平成になってからかも。作例はあっても、昭和の代表的な歳時記にその記載が見当たらないので。 ※27℃でホッとする8月後半‥‥。きょうもありがとうございます。
19日(月)
読み違い聞き違いして暑気払い
ふつうに生活していれば、 読み違いも、聞き違いも、 勘違いも、日常茶飯事だ。
よみちがい ききちがいして しょきばらい季語=暑気払い ※本来は薬などを服用したらしい。その中には焼酎なども含まれた。 ※酒なら、なんでもいいのかな? きょうもありがとうございます。
18日(日)
盆踊り今日が昨日に畳み掛け
「盆踊り」、踊ったことない、かも。
ぼんおどり きょうがきのうに たたみかけ季語=盆踊り ※俳句では、踊り=盆踊りのこと(江戸時代のままなのね)。今どきの盆踊りは洋楽もありなんだってさ。 ※ただ廃れてしまってもね。きょうもありがとうございます。
17日(土)
火のような煩わしさに鹿の子百合
ガンガン回っている 室外機の目の前で 毎年花を咲かせている。
ひのような わずらわしさに かのこゆり季語=鹿の子百合 ※暖地に分布するユリの仲間。※鹿の子模様の鹿の子。花びらの斑点がそう見えるらしい。 ※ユリの中で最も花がそり返る種で、花色は薄紅色。白も黄色もある。 ※たぶん、カノコユリじゃないかな。きょうもありがとうございます。
16日(金)
八月は足の爪より足早に
耳をすませば、 秋の虫が鳴きはじめたようだ。
はちがつは あしのつめより あしばやに季語=八月 ※今年も4か月とちょっと。きょうもありがとうございます。
15日(木)
自販機にミネラルウォーター終戦日
叩きつけるような雨が突然降りだして、 すぐに乾いて、また降り出して。 何度も繰り返す妙な空模様でしたよ。
じはんきに みねらるうぉーたー しゅうせんび季語=終戦日 ※大型すぎる台風が西日本に。きょうもありがとうございます。
14日(水)
意気込んで恥じ入るごとく西瓜食う
スイカはひとりで食べても、 美味しいけれど、なんかうれしくない。
いきごんで はじいるごとく すいかくう季語=西瓜 ※スイカは基本、秋の季語だ。栽培方法の進歩により初夏から市場に出回るようになった。(とはいえ、8月を秋とは思えない現在では、夏の風物詩であり、気持ち的には夏の季語なのだろう) ※最高気温を更新そうだね。きょうもありがとうございます。
13日(火)
八月の星座を結ぶ風濁る
このところ、雨が降っても暑いのね。
はちがつの せいざをむずぶ かぜにごる季語=八月 ※風はあっても台風の風だし。きょうもありがとうございます。
12日(月)
夏の月社交辞令のことごとく
「暦の上では秋ですが‥‥」 という真夏のなかで。
なつのつき しゃこうじれいの ことごとく季語=夏の月 ※まもなく満月。旧盆。きょうもありがとうございます。
11日(日)
朝顔のことに明るく皺よせて
朝夕の風は心地よいが、 さすがに長くは耐えられない‥‥。
あさがおの ことにあかるく しわよせて季語=朝顔 ※明け方に咲き、昼前にはしぼむ。 ※朝日すら強烈だもの。きょうもありがとうございます。
10日(土)
価値観の違いゆらゆら冷蔵庫
先日の8月8日の木曜日、 暦の上では「立秋」でした。
かちかんのちがい ゆらゆら れいぞうこ季語=冷蔵庫 ※真夏ともなれば、(用心のため)冷蔵庫を使用する頻度も増える。 ※冷蔵庫にカレンダー、あるある。きょうもありがとうございます。
9日(金)
あっぱれという他のなく夾竹桃
原爆により75年間は不毛の地といわれた広島で一番最初に咲いた花。まさに希望の花。
あっぱれと いうほかのなく きょうちくとう季語=夾竹桃 ※花は桃に、葉は竹に似ている。ちなみに「夾」は、「はさむ」とか「まじる」という意味。 ※花色は桃色、黄色、白。きょうもありがとうございます。
8日(木)
さぼりたいときにはさぼり日日草
毎日新しい花が咲くので、 この名があります。
さぼりたいときには さぼり にちにちそう季語=日日草 ※花自体は1日花ではなく2日程度は咲いています。 ※この時期、街中の花壇でよく見る花で、晩秋まで次々と花を付ける。 ※毎日咲くけど毎日は散らない。きょうもありがとうございます。
7日(水)
恐いもの見たさの勝る蝉しぐれ
土の中だけで 一生を終えることの できないのがセミ。
こわいもの みたさのまさる せみしぐれ季語=蝉時雨 ※セミがいっせいに鳴くこと。きょうもありがとうございます。
6日(火)
ただ歩くただただ歩く原爆忌
手元に数冊ある季語集を眺めていて 不思議なことに気がついた。 変わり種の1冊をのぞき、 そのすべてに原爆を投下した国の名前の記載がなかったの。
ただあるく ただただあるく げんばくき季語=原爆忌 ※原爆の日のこと。今日は、1945年、アメリカ軍により広島に原爆が投下された日。8月9日には長崎に。 ※このたった2回の投下だけで21万人以上もの尊い命が失われた。 ※史実として。きょうもありがとうございます。
5日(月)
蟻ひとつ光のなかに埋もれおり
ごくふつうに 目にするものは、働きアリ。
ありひとつ ひかりのなかに うもれおり季語=蟻 ※一匹のアリが餌を見つけると仲間のアリを連れてくるという習性があるため、「部屋の中でアリを見つけた。(かわいそうだけど)殺すしかない」というロジカルな作例は、もう今さらかも。 ※外出時、水は必需品ね。きょうもありがとうございます。
4日(日)
深読みが得意で夏は不幸せ
テントウムシが原形のまま、 数日前から動かない。
ふかよみが とくいでなつは ふしあわせ季語=夏 ※玄関を掃除した。きょうもありがとうございます。
3日(土)
平仮名の「平」ってなんだ風通す
平社員の「平」と同じみたい。 つまり、ふつうということ。
ひらがなの ひらってなんだ かぜとおす季語=風通す ※窓を開き風通しをよくすること。 ※35℃前後の暑さ、街中の空調機も勢いよく回っている、令和元年の夏って、これからこれがふつう? ※換気もまさかの忍耐か?? きょうもありがとうございます。
2日(金)
強さより優しさもとめ夜の涼し
今日はそれでも風があったから。
つよさより やさしさもとめ よのすずし季語=涼し ※暑い夏だからこそ感じる「ふとした」涼しさのこと。 ※気温は相変わらずの、炎夏。きょうもありがとうございます。
1日(木)
切れ端の重み鋭く遠花火
ドーンとなった花火が‥‥
音だけ聞こえる。
きれはしの おもみするどく とおはなび
季語=遠花火
※遠くに見える、または感じる打ち上げ花火のこと。
※8月だよ。きょうもありがとうございます。