• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2020年2月

29日(土)

真昼間の雲ひとつなく落椿

まひるまの くもひとつなく おちつばき
季語=落椿
※枝から落ちた椿の花のこと。花びらが散るのではなく、花のかたちのまま落ちます。ぽとりと地面にぶつかる音が聞こえます。
きょうもありがとうございます。

28日(金)

ありふれたものに真実春ごたつ

ありふれたものに しんじつ はるごたつ
季語=春炬燵
※春といっても寒いため、例年3月いっぱいはコタツを使用している。
きょうもありがとうございます。

27日(木)

折り合いをつけて優しく春の花

おりあいを つけてやさしく はるのはな
季語=春の花
※伝統的には「春の花」という季語は好まれません。季語として存在しないわけではない。一般的には、季語である「花」の一語で、桜を表し、春の花すべてを表したりします。
きょうもありがとうございます。

26日(水)

菜の花や晴れのち曇り慎ましく

なのはなや はれのちくもり つつましく
季語=菜の花
※菜の花といえば一面に咲くイメージかもしれませんが、畑や公園の隅っこに数本咲く菜の花もまたよくある風景です。一般的にはアブラナの花のことで、そのほとんどが西洋アブラナです。
きょうもありがとうございます。

25日(火)

逃げ道を閉ざすがごとくヒヤシンス

にげみちを とざすがごとく ヒヤシンス
季語=ヒヤシンス
※一本の花茎に小さなユリに似た花を鈴なりに付けます。もとは地中海沿岸の野生種で、花色は青紫。今では数多の園芸種があり、花色も白からピンク、赤、黄色などじつに多彩です。
きょうもありがとうございます。

24日(月)

沈丁の咲いて新たな夜の匂い

じんちょうのさいて あらたな よのにおい
季語=沈丁
※沈丁花(じんちょうげ)のこと。花よりもその香りを楽しむ常緑低木で、内側が白く外側が紅い小さな花が十数個かたまって咲きます。盛りのころには遠くからでも香り、その存在を知ることができます。
きょうもありがとうございます。

23日(日)

気の緩みつまらぬことに冴え返る

きのゆるみ つまらぬことに さえかえる
季語=冴え返る
※春の季語。春の訪れから、再び冬に逆戻りすること。一時的なものですが、寒さをより厳しく感じたりもする。
きょうもありがとうございます。

22日(土)

眠気とも戦いながら春一番

ねむけとも たたかいながら はるいちばん
季語=春一番
※立春後に初めて吹く南風のことで、古くから春本番の知らせと言われています。優し気な名前ですが、もともとは漁師言葉が発祥と言われるように船を転覆させたりと油断のできな強風です。
きょうもありがとうございます。

21日(金)

オンオフをこころえ春の水となる

オンオフをこころえ はるのみずとなる
季語=春の水
※身近なところであれば、冷たさを感じなくなった水道水。川や湖、公園の池など、春を感じる海以外の水全般を指します。人間の身体のそのほとんど(約50~75%)も水ですよね。
きょうもありがとうございます。

20日(木)

悪筆をながむ三寒四温なり

あくひつをながむ さんかんしおんなり
季語=三寒四温
※三日ほど寒い日が続くと四日は暖かな日となる、その繰り返しを「三寒四温」といいます。本当にそうかといえば、実際はさほどの規則性はありません。春の気配を伝える晩冬の季語です。
きょうもありがとうございます。

19日(水)

春の雲おもわず丸くなりにけり

はるのくも おもわずまるく なりにけり
季語=春の雲
※くっきり、ぽっかりと浮いている雲ではなく、ふわりとした薄い雲であることが多い。
きょうもありがとうございます。

18日(火)

春寒やかたまりとして往来す

はるさむや かたまりとして おうらいす
季語=春寒む
※日差しは春めいても寒さが残ること。風が冷たい。
きょうもありがとうございます。

17日(月)

ありそうな不安と不信春の風邪

ありそうな ふあんとふしん はるのかぜ
季語=春の風邪
※一般的に春の風邪は、冬に比べて症状が軽いと言われています。
折も折なので、風邪など引きませぬように。
きょうもありがとうございます。

16日(日)

理不尽に取り澄ましては白椿

りふじんに とりすましては しろつばき
季語=白椿
※寒い時期から咲いてはいますが、「椿」と書く通り、春を告げる花のひとつ。数えきれないほどの園芸種がある。
きょうもありがとうございます。

15日(土)

梅の花うがい手洗い息づかい

うめのはな うがいてあらい いきづかい
季語=梅の花
※梅の花にもいろいろは種類がある。
きょうもありがとうございます。

14日(金)

春浅し何もないから透き通る

はるあさし なにもないから すきとおる
季語=春浅し
※二月の前半、沈丁花のつぼみが目立ちはじめるころ。
春らしさは感じるが、まだ寒い。
きょうもありがとうございます。

13日(木)

雨上がり気配の近き寒桜

あめあがり けはいのちかき かんざくら
季語=寒桜
※まだ寒い時期に咲く、早咲きの桜で、華やか。
もともとは沖縄などの暖かい地域のサクラです。
※12月に咲く桜は冬桜と呼ばれる種類で、少々さみしい感じ。
きょうもありがとうございます。

12日(水)

関節の軋み可笑しく寒明ける

この寒さも今日までらしい。

かんせつの きしみおかしく かんあける
季語=寒明け
※暦の上では立春と同じ2月4日ごろ。春の季語。
きょうもありがとうございます。

11日(火)

ものの芽の十を数えて痛み分け

もののめの とおをかぞえて いたみわけ
季語=ものの芽
※萌え出る草木の芽のこと。その総称。
たいていのものは名前を知らないし、咲くまで見分けがつかない。
きょうもありがとうございます。

10日(月)

賽の目のごとくに転げ春を待つ

一般的に、寒い冬を、
惜しむ人などいない。

さいのめの ごとくにころげ はるをまつ
季語=春待つ
※冬の終わりごろの季語。
きょうもありがとうございます。

9日(日)

驕るとき白き梅より紅き梅

デフォルメされた
梅のイラストは、たいてい赤い。

おごるとき しろきうめより あかきうめ
季語=紅梅
※昔々は梅といえば白でした。そのため「紅梅」という独立した季語があるのだと、言われています。
きょうもありがとうございます。

8日(土)

底冷えのするもの含み酔いにけり

そこびえの するものふくみ よいにけり
季語=底冷え
※身体の芯まで冷えること。
きょうもありがとうございます。

7日(金)

考えることの不自由如月という

大昔、機械的に暗記した、
記憶がある。

かんがえることの ふじゆう きさらぎという
季語=如月
※2月の異名。今年は今月24日が旧暦二月一日らしい。
きょうもありがとうございます。

6日(木)

愛着のあるかのごとく古コート

あいちゃくの あるかのごとく ふるコート
季語=コート
※冬用の厚手の上着。
デザインや形、時代によって呼び方が変わる。
きょうもありがとうございます。

5日(水)

二月にて夢の中にて夢を見る

にがつにて ゆめのなかにて ゆめをみる
季語=二月
※2月は暦の上では初春。
そこかしこに春らしさを感じるが、厳しい寒さは終らない。
きょうもありがとうございます。

4日(火)

梅咲いて四角四面の浮き沈み

今日より立春。

うめさいて しかくしめんの うきしずみ
季語=梅
※梅はやっぱり春の花、という感じです。
きょうもありがとうございます。

3日(月)

豆を撒くどこのうちにも鬼ひそみ

まめをまく どこのうちにも おにひそみ
季語=豆撒き
※節分の行事のひとつ。
実り多き春を迎えるために「福は内、鬼は外」と唱え、邪気を払う。
きょうもありがとうございます。

2日(日)

段取りのための段取り日脚伸ぶ

小さな虫たちが
活動をはじめたみたい。

だんどりのための だんどり ひあしのぶ
季語=日脚伸ぶ
※春に近づくにつれて、日中の時間が次第に長くなる。
きょうもありがとうございます。

1日(土)

今日一日の丸めて捨てるマスクとる

今このとき、電車、バス、
マスクをしていない人の方が、
圧倒的に少ない。

きょういちにちの まるめてすてる ますくとる
季語=マスク
※花粉症の時期にも需要の高いマスクですが、一般的には風邪対策のものなので冬の季語です。ときには寒さ対策という人もいるみたい。
きょうもありがとうございます。