• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2021年9月

30日(木)

半日は雨に埋もれて九月尽

はんにちは あめにうもれて くがつじん
季語=九月尽
※9月が終わること。旧暦の昔は、九月の終わりは秋を惜しむ気持ちが重なった。現在はようやく長い残暑が終わったという感じだろうか。
きょうもありがとうございます。

29日(水)

老獪さほどよく透けて花芒

ろうかいさ ほどよくすけて はなすすき
季語=花芒
※ススキのこと。イネ科の大型植物で、秋の七草のひとつ。ふさふさの動物の尾のようなものは花穂(かすい)。黄褐色の花穂が開くと真っ白な綿毛のようになる。
きょうもありがとうございます。

28日(火)

とっぷりと暮れて黄色いおみなえし

とっぷりとくれて きいろい おみなえし
季語=女郎花
※秋の七草のひとつ。1メートルほどの細い茎の上部が枝分かれし、小さい花を無数に付ける。
きょうもありがとうございます。

27日(月)

ため口の直らぬまんま野菊咲く

ためぐちの なおらぬまんま のぎくさく
季語=野菊
※自生するキクに似た花をまとめて野菊という。これという特定の種類があるわけではない。
きょうもありがとうございます。

26日(日)

のっけから人に厳しく花梨の実

のっけから ひとにきびしく かんりのみ
季語=花梨の実
※カリンの実はかたくて渋いため生食には適さない。楕円形で少し歪んでいる。晩秋から初冬に黄色く熟すため庭木として好まれる。
きょうもありがとうございます。

25日(土)

水澄むや苦手意識は消えずとも

みずすむや にがていきは きえずとも
季語=水澄む
※秋は空気も澄みわたるようで、川などの水も透明度を増す。
きょうもありがとうございます。

24日(金)

団栗を踏んで正しき距離を取る

ソーシャルディスタンス

どんぐりをふんで ただしき きょりをとる
季語=団栗
※クヌギ、カシなどのブナ科の実を総じてドングリという。いろんな種類、形がある。
きょうもありがとうございます。

23日(木)

鮮やかに秋分の日のすれ違い

あざやかに しゅうぶんのひの すれちがい
季語=秋分の日
※国民の祝日で、二十四節気の秋分と同じ日。この日を境に昼と夜の長さが逆転する。
きょうもありがとうございます。

22日(水)

あり様を決めて真っ赤な鶏頭花

ありようをきめて まっかな けいとうか
季語=鶏頭花
※ニワトリのトサカのような奇妙な形の赤い花。観賞用の花で、古くから仏花としても好まれる。
きょうもありがとうございます。

21日(火)

雑念を刻むがごとく秋彼岸

ざつねんを きざむがごとく あきひがん
季語=秋彼岸
※秋分の日を中心に、その前後3日間を含む1週間をいう。
きょうもありがとうございます。

20日(月)

何げなく眺めた先に敬老日

なにげなく ながめたさきに けいろうび
季語=敬老の日
※9月第三月曜日は敬老の日。
きょうもありがとうございます。

19日(日)

ぎっしりと明るき色の葡萄食う

ぎっしりと あかるきいろの ぶどうくう
季語=葡萄
※世界中で栽培され、その品種の数は1万以上といわれている。
きょうもありがとうございます。

18日(土)

欠伸して遥かに釣瓶落しかな

あくびして はるかに つるべおとしかな
季語=釣瓶落し
※「秋の日は釣瓶落し」のたとえから生まれた季語。秋の夕暮れはとても早い。
きょうもありがとうございます。

17日(金)

秋の蝶枯葉のように踏まれけり

あきのちょう かれはのように ふまれけり
季語=秋の蝶
※秋に飛ぶ蝶。夏の蝶とは異なり小ぶりものが多い。
きょうもありがとうございます。

16日(木)

営々と近づきつつも草の花

えいえいと ちかづきつつも くさのはな
季語=草の花
※秋は草の花の季節といわれている。華やかな春や夏にくらべ、秋は淡い色の花が多い。
きょうもありがとうございます。

15日(水)

なるようになれと願いて曼珠沙華

なるようになれと ねがいて まんじゅしゃげ
季語=曼珠沙華
※マンジュシャゲとは、古代インドの言葉で「(天界に咲く)赤い花」を表すという。別名は彼岸花といい、秋の彼岸が近づくと、どんなに暑い日が続こうが決まって咲く。
きょうもありがとうございます。

14日(火)

コスモスやしばし考えまた揺らぐ

こすもすや しばしかんがえ またゆらぐ
季語=コスモス
※メキシコ原産のキク科の1年草で、ふわりとした見た目だが生命力が強い。
きょうもありがとうございます。

13日(月)

金木犀一直線に香りけり

きんもくせい いっちょくせんに かおりけり
季語=金木犀
※細やかに群れ咲く花、甘い香りで秋を告げる。オレンジ色の花がキンモクセイ。白い花はギンモクセイと呼ぶ。
きょうもありがとうございます。

12日(日)

不機嫌と桃の実そっと切り分ける

ふきげんと もものみ そっときりわける
季語=桃の実
※秋を代表する果実。家庭によっていろんな切り方があるようだ。
きょうもありがとうございます。

11日(土)

細やかに伸びてこぼれて秋の雲

こまやかに のびてこぼれて あきのくも
季語=秋の雲
※代表的なのは鰯雲。秋の雲は高々と空に浮かび、変化に富んでいる。 きょうもありがとうございます。

10日(金)

不愉快をいちいち数えきりぎりす

ふゆかいを いちいちかぞえ きりぎりす
季語=螽斯
※ギーチョン、ギーチョンと繰り返し鳴く。いわゆる秋の虫の美しい声ではない。昼間によく鳴いている。
きょうもありがとうございます。

9日(木)

つぎ足して日本の秋やほどよくも

天気予報によると、明日からまた夏日

つぎたして にほんのあきや ほどよくも
季語=秋
きょうもありがとうございます。

8日(水)

一人より少しはましに秋なすび

ひとりより すこしはましに あきなすび
季語=秋茄子
※秋なってから収穫するナスのこと。やや小ぶりで紫が濃い。
きょうもありがとうございます。

7日(火)

太陽の沈むに合わせ鉦叩き

たいようの しずむにあわせ かねたたき
季語=鉦叩き
※植え込みなどからチンチンチンとかすかに聞こえてくる秋の虫のひとつ。コオロギ科の昆虫で、澄んだ美しい声で鳴く。
きょうもありがとうございます。

6日(月)

幾重にも祈りを重ね虫に闇

いくえにも いのりをかさね むしにやみ
季語=虫の闇
※コオロギやキリギリスなど秋に鳴く虫のこと。昼よりも暗くなってからの方がよく鳴く。鳴くのは雄のみ。
きょうもありがとうございます。

5日(日)

地虫鳴くどこか近しき思いあり

じむしなく どこかちかしき おもいあり
季語=地虫鳴く
※秋の夜、土の中から聞こえてくる不思議な虫の声。その正体はジージーと鳴くケラの声といわれているが‥‥。ある種の空想的季語。
きょうもありがとうございます。

4日(土)

長雨や慌ただしくもつづれさせ

ながあめや あわただしくも つづれさせ
季語=つづれさせ
※綴刺蟋蟀(つづれさせこおろぎ)のこと。どこにでもいる身近なコオロギで、リリリリと澄んだ声で鳴く。
きょうもありがとうございます。

3日(金)

緩やかな線画のごとくいぼりむし

ゆるやかな せんがのごとく いぼりむし
季語=いぼりむし
※カマキリのこと。鎌のような前足で獲物を捕らえる。人間にとっては害虫を捕食してくれる益虫でもある。
きょうもありがとうございます。

2日(木)

秋霖の輪郭ほのかなりにけり

しゅうりんの りんかくほのか なりにけり
季語=秋霖
※秋の長雨のこと。夏の終わりを感じさせるからか、初夏の長雨にはないうら寂しさある。
きょうもありがとうございます。

1日(水)

気まずさと密を避けつつ九月かな

きまずさと みつをさけつつ くがつかな
季語=九月
※近年では9月といっても相当暑い日が続く。それでも、秋の彼岸を過ぎるころには決まって暑さも落ち着くので不思議だ。
きょうもありがとうございます。