2007年

12月31日(月)

鏡には大写しなり大晦日

やっと半年、まだ半年、ほんの半年、でも半年。
ありがとうございます。これからもよろしく。
では、またあした。
これ。

かがみには おおうつしなり おおみそか
季語=大晦日

※大三十日とも書きます。元日を明日にひかえた1年の最終日。陰暦では12月30日だったそうです。
大晦日は「おおつごもり」ともいいます。


12月30日(日)

日記買う昨日のことが見えぬよに

待つことが、ちょぴっと苦手です。
ほとんどの人に賛同してもらえないと思うけれど、
何よりも苦手なのが宅配便の再配達。
「何時から何時の間にお願いしま〜す」と自分で指定しておいて、
家の中にじっ〜としていられなくなるんですね。
急に本屋とかコンビニとかに行きたくなったりなんかして。
不思議なんですよね〜。

にっきかう きのうのことが みえぬよに
季語=日記買う


12月29日(土)

明日には忘れてしまう冬の雨

いろんなことにこだわり出すと、いろんなことが見えなくなるよ。
とか、偉そうなメモ書きを自分のパソコンに付箋しておきながら、
それを毎日眺めながら、雨が降る日を待っていました。
この句をタイミングよく掲載したいがためにね、待ってたんです。
でも考えてみれば地域によるよなぁ、今日みるばかりじゃないしなぁ〜。
まぁ、いっか。

あしたには わすれてしまう ふゆのあめ
季語=冬の雨

※冬の雨というと暗い感じのするものですが、意外に寒さはやわらぎます。
冬にしては暖かいから雨になるのだそうで、なるほど北国では冬の雨はめずらしいんだってさ。



12月28日(金)

安普請漢字ど忘れ霜夜かな

これ、伝統的な作句方法では、
まず喜ばれない三段切れというつくりに当てはまります。
「安普請」と「漢字ど忘れ」と「霜夜」と三つの単語を、
ただつなげてくっつけただけのように見えるでしょ?
一見、無作為の偶然のように見えるでしょ?
ダメという人には一切合切ダメそうでしょ?
その通りなんですけどね。何の反論もありません。
今日は仕事納め、ちょっぴり他人事みたいに載せてみます。


やすぶしん かんじどわすれ しもよかな
季語=霜夜

※霜のおりるきびしい寒さの夜を霜夜といいます。
しんしんと冷えて、風がなくて、よく晴れた夜ほど深い霜がおりるそうです。

(とかいいながら、何とも言えない魅力があるんです〜。あるんですから〜。)


12月27日(木)

いのちには二つの種類大毛皮

「普通」って、なんなのでしょうね?
「普通」という概念がなくなれば、
ものすごく気持ちが楽になる人たちがいっぱいいるのだろうね。
でも、逆にものすっんごくしんどくなる人たちもいるのだろうね。
年末になって、パソコンの動きが妙に鈍くなってきちゃったぞ。こまったぞ。

いのちには ふたつのしゅるい おおけがわ
季語=毛皮

※毛皮の使用については、古くは「古事記」や「万葉集」にも記述があるそうです。


12月26日(水)

ありがとうありがとう熊穴に入る

ちょっと、聞いてくださいます?
12月になったあたりから、ほんとにもう、書きにくいったらないんですのよ。
年末だからやっぱり明るくて楽しいことを書きたいなぁ〜と思うのが人情でございましょ?
でもね、そういう成分の持ち合わせが足りないんですね、きっと。
それだけなんですけどね。聞いてくれて、ありがとう。では。

ありがとう ありがとう くまあなにいる
季語=熊穴に入る

※熊の冬眠のことです。熊は正確には冬眠ではなく冬ごもりなのだそうです。時には外に出ることもあるのだとか。
さらに、この時期に子を生み育てるというだから、なんかすごいね、くまさん。



12月25日(火)

枯れ桜寛容という調べかな

がんばっている人に「がんばって」という言葉は、じつは禁句なのだそうです。
「無理せず、がんばって」は、どうしろと?
大方は意に介さないのかもしれないけれど・・・・。
でも、こころの容量は人それぞれで、がんばり方も千差万別でしょ?
「がんばって」よりも「ありがとう」の方がずーっと使い勝手がいいみたいですよ。
ということで、いつもありがとうございます。

かれざくら かんようという しらべかな
季語=枯れ桜

※用法・用量は気にせずお使いください。ピンポン


12月24日(月)

にんじんを塩ゆでにしてクリスマス

いきなりですが、ジャンケンしましょう。
用意はいいですか?
それでは、ジャンケンポン!(←ここをクリックしてくださいね。)

にんじんを しおゆでにして くりすます
季語=クリスマス



12月23日(日)

いっさいがめんどうになり山眠る

日本のクリスマスもバレンタインも、
もともとは企業側が発信した広告宣伝の一部だったとか(詳しくは知らないよ)。
ときどき考えて面倒ですぐに放り投げるのですが、
ほんとうに一握りの人たちが意図的に、計算づくで、
ブームや流行、文化などを創ることができるものなのでしょうかね?

いっさいが めんどうになり やまねむる
季語=山眠る

※風も雪もない穏やかな冬の日の山を擬人化した季語です。
富士山などのように見事な山よりももっと身近な山、あるいは近所の雑木山などの方がぴったりの語感のようです。
ちなみに春は「山笑う」といいます。なんかいいでしょう?


12月22日(土)

ひたむきに炭なればこそ炎を求む

「言葉の暴力」もほんとうは「言葉の暴力」しか生まないのだと思います。
もしも、そんなことはないと強弁できるのであるならば、
それはその人にとってだけ都合のいい環境下に今いるだけだ、たぶん。
しずかに澱のように蓄積して、いつか何らかの支障をきたす。
健康な人なら、つまらない「我慢」だけは誰に何と言われようとしないもの。
一見、ちょっと弱々かもしれないけれど、昔々とは時代がちがうのね。

ひたむきに すみなればこそ ほをもとむ
季語=炭


12月21日(金)

兎狩る日の沈み行く方向に

必要に迫られて、ビジネス書系を2年ほどの間で
130冊以上読んだことがあります。
その中で、断トツでおもしろく、今もなお開く良書があります。
ピーター・ドラッカーの「経営者の条件」という本です。
おじいちゃんおばあちゃん、おとうさんおかあさん、働く人働かない人、
おおよそ「人間」に興味のある人すべてに、おすすめです。
まぁご想像通り、小難しかったりもするのですが・・‥。


うさぎかる ひのしずみゆく ほうこうに
季語=兎


※そういえば、昔、さみしいと兎は死んじゃう、みたいな歌がありました。
まるで正確には覚えていないのですが、たしかそんな感じ。


12月20日(木)

掛け違う会話の中の冬の蜂

どんな本でも、映画でも、マンガでも、1度ですべてわかる人よりも、
何度でも同じモノを楽しめる人の方が、数段、かしこいのかもしれません。
読んだことを忘れて同じ本を買ってしまったり、
観たことを忘れて同じDVDを借りてしまったりは、例外。
意外とよくあるんだ、これが。ないですか?

かけちがう かいわのなかの ふゆのはち
季語=冬の蜂


12月19日(水)

腹黒に石ころつめて冬木立

「逃げることは恥!」というのは、たぶんウソなのだと思います。
だって逃げたい人が発する言葉ではないでしょう?
逃げられたら困る立場の人の言葉か、
もしくは、そういうことに極めて鈍感な人の言葉みたい。
こころが壊れるまで我慢しちゃったら、本末転倒もいいところだもんね。
年末なのに(年末だから?)嫌な事件が目に付きます。

はらぐろに いしころつめて ふゆこだち
季語=冬木立


12月18日(火)

マネキンの咳くことのありもせで

コンプレックスを隠せる人と隠せない人。
一生懸命何とかしようとしている人とあくまでも自然体の人。
他人のそれを指摘したがる人としない人。
他人のそれを笑う人と笑わない人。いろいろ。
どちらであろうが構わない。
ただ、自分の欠点を許せない人は、他人の欠点をも許せないそうです。
もっともかなしいことかも。

まねきんの しわぶくことの ありもせで
季語=咳く

※ 咳くは、ごほんごほんの「せき」の動詞です。咳く=せきをする。


12月17日(月)

にべもなく木菟に月深々と

健康雑誌でたまたま見たんだけどさ、人間の身体は85%が水らしいよ。
ちょっと前までは60〜70%とか言われていたけど、今はほら、ナノの時代だからさ。
ナノ? えっとね、地球と比較するとピンポン球ってぇ〜感じに、
小さい小さいちっちゃいぞ〜ってくらい小さいこと。
10億分の1まで見えちゃうってんだからすごいやねぇ〜、現代科学は。
だからさ、好きなのさ、理屈を通り越せる不思議ってやつがさ。

にべもなく みみずくにつき ふかぶかと
季語=みみずく

※「しんしん」と読まれても結構です。ルビをどちらにしようか悩みましたが、
言葉のリズムというものは人それぞれでしょう?



12月16日(日)

恍惚が捻れて流れ冬の虹

文学であるとか、古典であるとか、はたまた芸術であるとか、
似合わない色眼鏡をちょっと脇に置いちゃってさ。
芭蕉は稀代の天才コピーライター。
子規は不世出の天才編集者。
虚子は偉大な天才経営者。
今風に言うとこんな感じかな?ちがう?ごめんね。
いずれにしても、皆さん、それぞれに時代を突き抜けちゃっていたのでしょうね。

こうこつが ねじれてながれ ふゆのにじ
季語=冬の虹


12月15日(土)

人生の真ん中あたり着膨れる

ここを、クリックしてみてくださいね。

じんせいの まんなかあたり きぶくれる
季語=着膨れる


※寒さを防ぐために何枚も服を重ね着して、からだがふくれてみえることです。


12月14日(金)

不平不満すべて平らげ蕪汁

たばこを止めて2年ほどになります。
読むだけで止められる?「禁煙セラピー」という本で、止めることができました。
正確には1回禁煙して、半年くらいでまた吸って、
さらに半年経てまた禁煙しようと思い立って、
もう一度、はじめから「禁煙セラピー」を読み直して成功したんですけどね。
もちろん、いまのところ。

ふへいふまん すべてたいらげ かぶらじる
季語=蕪汁

※「この本は一度しか効果がありません」的なことが、真ん中当たりにはっきりとうたってありました。
けど、気にしなければ大丈夫。
※蕪(かぶ)の味噌汁のことです。ちょっぴりお上品な感じがしますか?


12月13日(木)

たましいの抜け落ちている置きごたつ

何も書くことが思いつきません。
書いては消して書いては消してと、かれこれはれほれ2時間以上繰り返しています。
そろそろ寝ないと明日にひびきそうです。
おやすみなさい、本日分についてはもう降参します。お手上げ。
ほんとうのことなのですが、これって、計算づくのようにも見えますね。
あは、意外でした。

たましいの ぬけおちている おきごたつ
季語=置き炬燵


12月12日(水)

かなしみがふくらみすぎて枯野かな

「かれの」とキーボードを打つと「彼の」と変換されます。
オプションのかな漢字変換ソフトなのですが、
「かれの」を「枯野」とは、変換してくれませんでした。
なのに、まったく使えないと思っていた標準装備のソフトでは、2番目の変換候補です。
そうそう、前者はビジネス仕様ですものね。

かなしみが ふくらみすぎて かれのかな
季語=枯野


12月11日(火)

はかりごと多くは無駄に枯芙蓉

あの〜、昨日の「無心伝達」も「無着盛況」ということばも、
ぼくが思いつきで組み合わせただけのもので、
微妙にありそうでなさそうな組み合わせが失敗でしたかね?
勘違いされた方ぁ〜、
意味のあることばでも、現実に使われていることばでもないんですぅ〜。
一応、その、ありがとうございます。ないんだよぉ〜。

はかりごと おおくはむだに かれふよう
季語=枯芙蓉

※生け花の花材に枯芙蓉をよく用いるそうです。総称して「枯れもの」と言うらしいです。
枯芙蓉は枯れもの中でも特にカラカラに乾いているそうですよ。確かに風情があります。


12月10日(月)

手袋の右も左も同じなの

「以心伝心、無心伝達、無着盛況」って、ね、これ、おもしろくない?
え、だめ? どうして〜、おもしろいじゃん?
わかったよ。わかったってば。いいと思うんだけどなぁ〜。
もっと真剣に取り組め?そうなの?眉間にしわ寄せて?厳かな雰囲気で?
簡単なことを複雑にして?するってとなに?速攻で満員御礼商売繁盛っ!?へぇ〜。
でも、なんとなく、その、遠慮しておきます。

てぶくろの みぎもひだりも おなじなの
季語=手袋


12月9日(日)

手の届く限りが愉快師走かな

片付けの下手なひとは、なんでも頭の中も散らかっているのだとか。
ぼくは上手ですよ。うそです。
ほんとうはときどき気まぐれに、実用的なもの以外すべてをひとつの袋に突っ込んで、
そのまま視界の外に置いておくだけ。それで片付けはおわり。でもすっきり。
で、年末に無心で不燃・可燃・資源を分別して捨てるだけ。
まあ、無心というのが一番むずかしいんですよね〜。これがさ。

てのとどく かぎりがゆかい しわすかな
季語=師走


12月8日(土)

笹鳴きの夢みることの疲労かな

人様の評価をいちいち気にしていたら毎日毎日続けることなどできない、そうです。
それでも丁寧さだけは大切。しょうがない。
がんばりすぎると、がんばりすぎない人が急に憎らしくなるから、気を付けねば・・・・。

ささなきの ゆめみることの ひろうかな
季語=笹鳴

※ホーホケキョのウグイスは、秋、冬になるとチャッ、チャッと鳴きます。これを笹鳴きと言います。庭の隅の低い枝などを飛び移りながらチャッ、チャッと(しか鳴けないみたい、この時期は?)。繁殖期の「さえずり」に対して「地鳴き」といいます。ちょっと強めの舌打ちみたいな感じです。


12月7日(金)

冬日向水辺線が反転す

「7」という数字はなんとも不思議な数字なんです。
なにげなく、さりげなく、商売に利用しているお店も多いとか? よく知らないけど。
7つ以上ものが並ぶとですね、
人って、それがいっぱいあるように認識するらしいんですよ。
いっぱいと、そうでもない、の境が「7」なんですって。不思議ですね。
試しに、ちょっと下にスクロールしてみて。どうです?

ふゆひなた すいへんせんが はんてんす
季語=冬日向


12月6日(木)

鏡にも偽りを見せ冬あたたか

ジム・ボタンの機関車大旅行」と「たのしいムーミン一家」を中央図書館で借りたまま、4日ほど返却期限を過ぎてしまいました。
何でも「他の方から予約が入っていますので・・・・」というハガキがきました。
はじめてです。どちらを借りたいのかしら? 

かがみにも いつわりをみせ ふゆあたたか
季語=冬あたたか

※「ジム・ボタン〜」(ミヒャエル・エンデ)の本、意外に高いんですよ。3,360円。
買い渋ったけど、ぼくには値段以上だったかな(でも、やっぱり高い)。ムーミンはまだ読み掛けだけど、返却してきます。


12月5日(水)

じゃんけんがいつも上手で冬の蝶

誤解とか誤訳とかもそれなりに大切にしないと、
なんだか息苦しくなっていくような気がします。
「ことば」に緩やかな余白が一切なくなったら、
お互いに命令しあっているのと同じじゃないですか?
そんなのいやだよぉ〜。

じゃんけんが いつもじょうずで ふゆのちょう
季語=冬の蝶

※数は少ないですが、成虫のまま越冬する蝶もいます。
冬の暖かい日に飛んでいる蝶をみかけたら、おそらくそれが越冬する蝶だと思います。



12月4日(火)

生き方をむずかしくして嚔かな

嚔は俳句では「くさめ」と読みます。
もちろん普通に「くしゃみ」でもいいですよ。好きな方で。
ところで、くしゃみはもともと「くさめくさめ」という、おまじないだったそうです。
どうやったらそう聞こえるのかは謎ですが、
「休息万病(くそくまんびょう)」を早口で言ったものなんですって。
聞こえる?

いきかたを むずかしくして くさめかな
季語=嚔

※一ほめられて、二憎まれ、三惚れられて、四風邪引く


12月3日(月)

跳び箱の中から見えた十二月

あまりに一方的な会話(?)は、気づかずに受け取る側を疲れさせてしまうようです。
ありますよね、そういうことって。
でも、それって、俳句が一般読者を獲得できないと言われている理由に少し似ているかも?
ときどき反省などをしたりしながら、そんなことを考えています。

とびばこの なかからみえた じゅうにがつ
季語=十二月


12月2日(日)

素直には謝りきれず息白し

人と上手くやっていけない自身の醜さみたいなものを肯定されると、
むちゃくちゃ腹が立つようです。愚然ですけど、きのう、はじめて気づきました。
まわりにストレスを与えているはずの人間に「わたしは、わたし」的なことを言われると、
誰彼かまわず噛みつきたくなるのね。 ガァ〜

すなおには あやまりきれず いきしろし
季語=息白し

痛いから、噛みつかないけどねん。


12月1日(土)

うかうかとはしごを登り神迎え

素直に謝ることができなくなると気持ちから老化するそうですよ。
つまり、年齢は関係ない、ということなのかもしれませんね。
見た目はしょうがないじゃん。誰だって年は取るんだし。
なにはともあれ時間だけは平等なんだからさ。

うかうかと はしごをのぼり かみむかえ
季語=神迎え

※陰暦11月1日ごろ、出雲から帰ってくる神々を迎えること。

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