2008年

1月31日(木)

冬牡丹無益と知りし月の下

データが消えました。
といっても、
使うか使わないか分からないけれど保存しておこうかなぁ、
という程度のものです。
「ないならないで困らない」と分かっていながらも、
なんとなく納得できない、しっくりしない、損した気分。
不便なものですねぇ。

ふゆぼたん むえきとしりし つきのした
季語=冬牡丹

※冬季に、ワラで囲われた牡丹を見たことはないでしょうか?
本来、牡丹は初夏の代表的な花。春にその蕾をつみ取り、真冬に咲くように調整したものが冬牡丹です。
ワラ囲いは、寒さで花を痛めない目的と、観賞するための演出なのだとか。日本人って、ほんと器用だ。


1月30日(水)

憧れもほどよく薄れ冬かもめ

喜劇王チャップリンは
「今までの最高傑作は?」と聞かれると
決まって「次回作」と答えたそうなぁ。かっこいい。
制作現場では、かなり理不尽な人だったらしいですけどね。

あこがれも ほどよくうすれ ふゆかもめ
季語=冬かもめ

※カモメは、四季問わず居るものだと思っていましたが、冬の渡り鳥なんですって、へぇ〜。
しかも海猫もカモメの一種。さらに、へぇ〜でした。


1月29日(火)

指切りの桜の冬木古びけり

詫び(わび)とか、寂び(さび)とか、ほんとうのところよく分かりません。
俳諧味(はいかいみ)という言葉も、
どこらへんがどんな味なのか、ちょいとピントのずれた感じ。
ただ、「きれい寂び」と言われると、
なんとなく、それこそぼんやりと、分かるような気もしないでもないです。
ぼんやりとですが・・・・。

ゆびきりの さくらのふゆき ふるびたり
季語=冬木の桜(枯れ桜)

※「きれいさび」とは、茶人・吉田織部の弟子で、
庭造りの名人ともいわれた小堀遠州という人が好んだ美意識らしいです。


1月28日(月)

鯛焼きや夕焼け小焼けぎっしりと

まいにち、まいにち〜♪ って、ほんとに、たいへんだ。
楽しいからいいけれど、
いやいや、思っていた以上に、なんてゆーか、じつに、ぶっちゃけ、うれしいかも。
いったん書き上げたものから、いっしょけんめい工夫して
「毒」を削る作業が、思っていた以上に大変なんですけどねぇ〜。
おもしろくない人には、おもしろくないだろうけれど、そこまではムリじゃ。

たいやきや ゆうやけこやけ ぎっしりと
季語=鯛焼き

※鯛焼きの尻尾の先まで餡が詰まっているとちょっと得した気分。
でも食感の変化とか口直しのために尻尾の部分をカリカリにしていると言われると、なるほど〜とも思う。



1月27日(日)

歯に衣着せぬ言葉があふれ煙霧かな

人が話している最中に次ぎの話題を考えているような人ですら、
「自分は人の話を、比較的よく聞く人間だ」と思っているみたい。
ふしぎだ。
まぁ単なる勘違いなのでしょうけど、ふしぎだ。
くどいようだけど、ふしぎだ。
ぼく? ふふっ、もちろん、ぼくのことだよん。

はにきぬきせぬ ことばがあふれ えんむかな
季語=煙霧

※ちり・煙・黄砂・降灰などが霧とまじって、濃霧のように空を薄暗くおおう現象のこと。
都心部周辺、冬季に多く見られる。気象予報では視界が1キロ以下を煙霧(スモッグ)というらしい。


1月26日(土)

さよならはいつでも隣りセロリ噛む

文句を言いたくなるのは自分の思い通りに事が運んでいないから。
人を育てるために、あえて文句を言うということもあるのでしょう。
それに素直に従うかどうかは、従う人の中の利害の大きさで決まるもの。
好きも嫌いもあるのだし。切ないけれど・・・・。

さよならは いつでもとなり せろりかむ
季語=セロリ

※健康には良いけれど、独特の強い香りで好き嫌いがぱっきり分かれる代表選手。
料理も人間関係も大切なのはバランスなのね。そうなのね。


1月25日(金)

わらわらと手の平のなか焚き火かな

どう感じようが、どう読もうが、それはその人の自由。十人十色。
俳句は『読み手』のもの。だから、おもしろい。
正解はコレだと断言・断定したくなる気持ちもよく分かります。
主張しない、主張できない『詠み手』を小馬鹿にしたくなる気持ちも理解できます。
でも、それは単なる奢り。奢りもつまりは、幻想でしょ?

わらわらと てのひらのなか たきびかな
季語=焚き火

※詠み手は、詩などの作り手のこと。読み手は、それを受け取る側の意味。まぎらわしいなぁ〜。
とかいいながら、将来、「これ以外の読み方は絶対に許さない!」とか言う
偏屈ジジになっていたら、ごめんね。笑って許してね。


1月24日(木)

雪女我が身の解けぬように生き

短詩の基本は一人称です。
ので、安易に「わたし」などの人称を入れることを嫌う傾向が強いみたい。
日本語は省略できるし、何よりも短詩の魅力は省略にあるから。
でもね、ちょっと変わった視点のものって、
じつは三人称なのじゃないかしらと、ふと感じることがあります。
好きも嫌いも含め、気になる他者の目線を拝借しているって感じかなぁ?
まぁ、それもグルッと回転させれば
「短詩も人なり」ということなのかもしれませんが・・・・。複雑ですね。

ゆきおんな わがみのとけぬ ようにいき
季語=雪女

※小説や説話などに登場する雪の妖怪、または雪の精のようなもの。江戸中期頃には、すでに季語として使われていたようです。ちなみに季語としての分類は、冬の気象・天文。


1月23日(水)

親友も悪友もなく冬ざくら

「冬桜」というものをご存知でしょうか?
単純に、冬に咲く桜なんですけどね。
梅に似た少しさみしげな花だけど、まがう方なき桜なの。
春の桜より冬の桜になりたい、と、思ったりなんかもしたりして。
決して華やかではないけれど、なんかいいんだよねぇ、フユザクラって。

しんゆうも あくゆうもなく ふゆざくら
季語=冬桜

※だいたい12月から翌年の1月にかけて一重の白い花を咲かせます。
ちなみに、春咲きの桜が季節はずれに咲くのは「帰り花」といいます。


1月22日(火)

寒月や呪いをいくつかけましょう

それでも、正直こそが最良の策だと思っています。
往々にしてトラブルの原因となるのは、まちがった正直さ。
言い換えれば「まちがった正直さ」とは、「まちがった愛情表現」、
もっと言えば「呪いのようなもの」なのかもしれない。
呪いのようなものとは・・・・・・・・。
正解などないことだけど、そんな気がします。

かんげつや のろいをいくつ かけましょう
季語=寒月

※きょうは満月です。日本語にはことのほか月に関する表現が多い。
寒月は、冬(寒中)のさむざむとした鋭さを表す場合に用いるようです。



1月21日(月)

しつこさを洗い流して寒の水

古くから「正直こそが最良の策」といわれているそうな。
とはいえ、自分自身の中にある先入観や嫉妬心、猜疑心、恐怖心、自負心などに
馬鹿正直に従ってみても、恵みの雨が降るはずもないけどね。
これらを誤魔化すために、虚勢を張ってみても情けないだけだしねぇ。
むずかしいね。

しつこさを あらいながして かんのみず
季語=寒の水

※きょうは大寒です。1年でもっとも寒いとされる日。
きょうから節分までの約15日間を大寒ということもあるそうです。


1月20日(日)

冬薔薇購う罪の深さとも

許せないことは許せない。とうぜん、とうぜん。
それでも、
相手を無用に責め立てたり、追い込んだりしない方が、
長い目で見るとやはり賢いようです。
気が短くて口が悪かったばかりに、かなり損をしてきたような気がします。
紆余曲折、くねくねです。

ふゆそうび あがなうつみの ふかさとも
季語=冬薔薇

※現在の園芸用のバラのほとんどが四季咲きなのだそうです。
手入れ次第でいつでも花を咲かすことができます。
冬の薔薇は、健気さや哀れさなど、古くから形骸的な美を連想させるもののようです。


1月19日(土)

潤目鰯もう泣いてなどおりません

大抵の言葉は自分自身に跳ね返ってくるのよね。いたい、いたい。
舌先三寸、人畜無害、玉石混合、羊頭狗肉、だからどうした馬耳東風みたいな。
ひとりで何言っているんでしょうね?

うるめいわし もうないてなど おりません
季語=潤目鰯


※ウルメイワシは、イワシの中でも目が大きくうるんだように見えるからウルメといいます。
脂肪が少ないため、煮付けや塩焼きではダメらしく、ウルメといえば干物。とくに冬、食通のこだわりらしい。


1月18日(金)

葉牡丹やわりを食う人食わぬ人

長いこと夜型である人間を一気に朝型に変えるというのは、どうやら無謀なことらしい。
気長に少しずつ時間のサイクルをずらしていくのが良策なのだとか。
時間を有効利用するために「毎朝、5時に起きています。」とか言ってみたい。
二度寝も惰眠も大好きだ。
習慣って、ほんと、おそろしいものでございますね。

はぼたんや わりをくうひと くわぬひと
季語=葉牡丹

※葉牡丹にも改良による品種がいろいろあるそうです。東京ハボタン、名古屋ハボタン、大阪ハボタンの三系統が代表的。いまどきの花屋さんにあるハボタンは、けっこうおしゃれよね。


1月17日(木)

年々に血の濃くなりて冬の草

文法というものは、
文法家がある時期の言語を整理しただけのもの、
という見た方もあるんですって。
整理整頓が目的だったのに、いつの間にか「規範」にされちゃった!?
世の中には、よくある話だけど。ちょっとおもしろい。

ねんねんに ちのこくなりて ふゆのくさ
季語=冬の草

※枯れたものもそうでないものも、冬の中にあるすべての草の総称。


1月16日(水)

ふたつほど悲しみ残し寒鴉

「説明できない雰囲気」みたいなものって、
ほんとうは何よりも貴重で、得難いものなんだろうなぁと思うんですよね。

ふたつほど かなしみのこし かんがらす
季語=寒鴉

※冬のカラスのことです。餌のなくなる冬場のカラスはけっこう怖いらしいぞ。


1月15日(火)

水仙のとりなしている遠さかな

「ヨクボウ」というものは、
手に入れた瞬間から飽きる方向にむかっているんですって。
「ヨクボウ」というと他人事みたいだけど、ごくごく身近なこと。
アレが欲しいとかコレが欲しいとか、アレがしたいとかコレがしたいとか、そんなこと。
なるほど、なるほど。

すいせんの とりなしている とおさかな
季語=水仙

ギリシャ神話ではナルキッソスの化身。ナルシストの語源として有名です。
スイセンは東洋のものと思っていたから、はじめてギリシャ神話を読んだとき妙に違和感があったよ。
原産は地中海沿岸、中国経由で平安末期に渡来し、各地で野生化したのだそうです。


1月14日(月)

雑炊の味気の無さの懐かしさ

文法的に正しいとか正しくないかよりも、
攻撃的な文章の方がよっぽど不快だろうに、と思っちゃいます。
「品格」は「厳格」に似ているからね。
体調が悪いと、ちょっと読んだだけでどっと疲れてしまいます。

ぞうすいの あじけのなさの なつかしさ
季語=雑炊

※雑炊は古くは「増水」と書くことが多かったとか。
少ない米に屑野菜などを混ぜてふやす質素なものだったからでしょう。
独立した季語として扱われたのは虚子以後らしいです。


1月13日(日)

枯れ木立ふさがる日々に逆らわず

風邪なんって、すぐ直るだろうと思っていたのに・・・・、甘かった。甘かったよ〜。
正月太りは解消されたけど、そんなこと少しもうれしくないくらい。
これから風邪を引く予定の方、ほんとお気をつけてくださいね。

かれこだち ふさがるひびに さからわず
季語=枯れ木立


1月12日(土)

にんげんの悴むほどの迷いかな

「目くそ鼻くそ」と言うのなら、
「俺は目くそがいいぞ」とか
「いいや、ここは男らしく鼻くそだろう」とか
「なんで耳はくそじゃないんだよ」とか、そんなこと考えたことあります?

にんげんの かじかむほどの まよいかな
季語=悴む


1月11日(金)

さむぞらの拒みしものは僕でした

正月明け早々に、りっぱな風邪を引いたようです。
ひさしぶりにクラクラで、フラフラでした。
風邪、流行ってますか?
お気をつけくださいね。ではまた、あした。

さむぞらの こばみしものは ぼくでした
季語=寒空

※空の語源は、「反る(そる)」とか「背裏(そうら)」とか言われているんですって。
詳しいことは分かりません。いつか調べてみよう。



1月10日(木)

存在の脆さは軽さ雪つぶて

勝手に期待して、勝手にアテにして、
自分の思い通りにならないとガッカリしたり、ムッとしたり、
不平を言ったり、ときには大声を出したり。
人間関係がこじれる要因なんて意外と単純なことらしいぞ。
どんな関係にも「ほどよく他人行儀」というものが必要みたい。

そんざいの もろさはかるさ ゆきつぶて
季語=雪つぶて

※雪投げ、雪合戦の礫(つぶて)です。子どもの頃に礫とは言わなかったなぁ。
なんと呼んでいたっけ・・・・、わすれた。今年も東京には雪が降らないのかしら?



1月9日(水)

何処にも三寒四温鼻をかむ

ほめ方の上手な人、というより、自然体な人は、けっこう多いような気がしています。
「叱る」と「怒る」は違うと言うけれど、
にんげんって、「叱る」も「怒る」も基本的に区別できないものなんじゃない?
はじめて聞いたときは、へぇ〜って、こころから感心したもんだけどさ。
少なくとも、元来、区別がヘタだってことは、忘れたくないかな。

いづこにも さんかんしおん はなをかむ
季語=三寒四温

※もともとは華北・満州・朝鮮方面で使われ、戦時中に輸入された天候のことば。
冬期、寒い日が三日続くと四日暖かい日が続くことが多いのだとか。
最近はお天気ニュースでも耳にします。クイズ番組でも見たことあるかな?
ただし、日本で安易に使うことを疑問視する俳人も多いのだとか。肝に銘じます。


1月8日(火)

臘梅や言葉尻など捨て置きて

ヒョウタンから困ったさん。
くだらないことを思いついては、喜んでいます。
いちいち目くじらを立てていたら、ふふふ、一から十まで楽しめません。
わかっちゃいるけど、ほんとうにむずかしい。いやもんだね、目くじらゴジラ。

ろうばいや ことばじりなど すておきて
季語=臘梅

※名前の通り、半透明でろう細工のような梅に似た花です。ほんとうに、まるっきりろう細工に見える。
いちど見てみてね。有名な庭園には大抵あるみたい。原産は中国。寒に咲く香り高い花として珍重されています。


1月7日(月)

泣き言が仕事始めの合図です

いろいろありますよね。
何にしても、笑ってもらえたら、うれしいです。にっ。

なきごとが しごとはじめの あいずです
季語=仕事始め


1月6日(日)

狐火や答えの出せぬ胸の中

机の上を整理していたら、「不自由がからんで自由」とメモした紙切れが出てきました。
けっこうメモ魔なのですが、
自分で思いついたものなのか、テレビやラジオなどでたまたま耳にしたものなのか、
思い出せません。なんとなく違うような気がしています。

きつねびや こたえのだせぬ むねのなか
季語=狐火


1月5日(土)

二日目の懺悔を残し枯れ茨

「懺悔」という言葉、テレビなどのイメージも手伝って、
もとは仏教用語だということをつい先日まで知りませんでした。
というか、仏教ではないと思っていました。
自分の無知を棚上げしてなんなんですが、
刷り込みってすごいなぁ〜とつい感心してしまいました。
「言葉は正しく使いましょう」ということに、ほとんど興味はないんですけどね。
もちろん気をつけてはいますが・・・・。

ふつかめの ざんげをのこし かれいばら
季語=枯れ茨

※仏教用語では「ざんげ」ではなく「さんげ」と読むそうです。江戸時代の中期以降には、仏教に限らず自分の罪を告白し悔い改めることを「ざんげ」とすでに言っていたそうですよ。


1月4日(金)

枯れ草や土の中より土の使者

好きな句です。自分で言うのもなんですが、決して万人ウケはしませんが良い句です。
ただ何かここに書こうと思うと、あえて伝えようと思うと、どうにもこうにも説教臭くて。
いけませんね。だから今日は何にも書かないことにしました。

かれくさや つちのなかより つちのししゃ
季語=枯れ草


1月3日(木)

ふたつみつ不都合もあり里神楽

自分自身で矛盾したことを書いているなぁ〜と、笑ってしまうことがあります。
そのうち書いたかどうかすら、あやふやになってくるのでしょうね。
大いに自信があります。

ふたつみつ ふつごうもあり さとかぐら
季語=里神楽

※民間や地方の神社で行われる神楽を総称して里神楽といいます。神を祭るためにかぐら歌をうたい、舞い踊ります。神楽の起源は天岩戸開きにあるのだそうですよ。


1月2日(水)

虚と実の張り付いている初暦

つまんないことかもしれませんが、
常におもしろいことを考えている人が、おもしろいのであって、
おもしろい人だから、おもしろいわけではないんですよね。
つまんないことばかり考えていると、つまんないものになっちゃうのね。
いろいろあるけど、笑うカド屋の福袋、ってことで。
つまんない? でしょ〜。

きょとじつの はりついている はつごよみ
季語=初暦 

※その昔は、たぶん明治の頃まで、暦は軸物という形状だったようです。
軸物というと掛け軸や絵巻と同じ? くるくる巻いてある暦を右から開いて定期的に巻き取っていくのかしら?
現物が見たくてネットで検索してみたのですが、見つけられなかった。見たい。


1月1日(火)

今日だけは信心深く初日の出

あけましておめでとうございます。
とりあえずまた半年つづけます。半年つづいたら、また半年つづけます。
そしたらまた・・・・。目標は小刻みにネ。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

きょうだけは しんじんぶかく はつひので
季語=初日の出

※今年は、そうそうに初詣に行きましたが、おみくじは引きませんでした。
凶が出たら大吉が出るまで引きたくなるからね。

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