• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2014年10月

31日(金)

面倒なことはさておきハロウィーン

年々どこかでは盛り上がっているみたい。

めんどうな ことはさておき はろーうぃん
季語=ハロウィーン
※毎年10月31日に行われるキリスト教のお祭りのひとつ。
※カボチャのお面を飾り、仮装など様々なイベントが行われます。
※日本のお盆のようなものなのか(?)、死者の霊が帰る日らしい。
※眺めたのみですが。きょうもありがとうございます。

30日(木)

まだ何も言わぬうちから梅もどき

都合のいい嘘はたいてい目立つから、
時が来ればバレるのでしょうね。

まだなにも いわぬうちから うめもどき
季語=梅擬
※美し赤い実を付けることから庭木として人気があります。
※実は5ミリ程度と小さいですが、枝ぶりや葉が梅に似ています。
※落葉後も実は残ります。きょうもありがとうございます。

29日(水)

鳴きそうで鳴かぬ蚯蚓はのたれ死に

特殊なものではなく、もっと現実的なもの。

なきそうで なかぬみみずは のたれじに
季語=蚯蚓鳴く
※秋の夜、耳を澄ますとジーッと切れ目なく鳴く虫の声があります。
※昔の人は、その声の主を土の中のミミズと考えました。
※実際はコオロギに似たケラの鳴き声。羽をこすりあわせて音を出しています。
※ある種の勘違いから生まれた季語ですが、現在でもよく使われています。
※変化するもの。きょうもありがとうございます。

28日(火)

無自覚の毒もひとつの秋簾

さすがに用済みですかね。

むじかくの どくもひとつの あきすだれ
季語=秋簾
※秋になっても使っているスダレのこと。
※または巻き上げたままのスダレもこれに含まれます。
※片付けねば。きょうもありがとうございます。

27日(月)

あっさりと引くに引けない野分かな

ただの強風であったとしても、
生活者にとっては迷惑なことだ。

あっさりと ひくにひけない のわきかな
季語=野分
※「のわき」もしくは「のわけ」は、野原の草木を吹き分けるという意味。
※台風という言葉のなかった時代に、その凄まじさを表すものでした。
※現在では、雨を伴わない秋の強風として使われることが多いようです。
※夜からすごい風。きょうもありがとうございます。

26日(日)

いつの日か色付くまでの青蜜柑

それぞれの木に青々となっています。

いつのひか いろづくまでの あおみかん
季語=青蜜柑
※この頃のミカンの皮はまだ濃い緑色で、晩秋から冬にかけてゆくっりと熟します。
※見慣れたオレンジ色のミカンは冬の季語です。
※昔と違いお店で売られているミカンは青くても甘いけど。
※気づけば庭木にけっこう多い。きょうもありがとうございます。

25日(土)

忘れ物したかのように泡立草

近所の公園のわきに咲いているのは、
たぶん、アワダチソウだと思う。あまり自信はない。

わすれもの したかのように あわだちそう
季語=泡立草
※アワダチソウは高さ30~80センチほどの秋の茶花とされる草花です。
※その名の通り気泡のような細かい黄色い花を付けます。
※わりと至るところに自生していますが、大きくはびこることはないそうです。
※同種で背が高く、荒れ地などに大群生しているのは、背高泡立草と呼ばれる
北米原産の帰化植物です。
※ブタクサにも似ているね。きょうもありがとうございます。

24日(金)

こじらせて色失いて白式部

びっしりと色付けば気づきそうなものですが、
その花を知らないのです。

こじらせて いろうしないて しろしきぶ
季語=白式部
※その美しい実を愛でる紫式部の変種。
※紫式部の実が紫色そのものなら、白式部の実もまさに白色です。
※姿形は同じでも、紫色に比べたら地味な印象かもしれません。
※「清らか」ともちょっと違うかも。きょうもありがとうございます。

23日(木)

どんぐりの好みを聞きし役立たず

知らずドングリを踏み潰しては、
その音に驚いています。

どんぐりの このみをききし やくたたず
季語=団栗
※ドングリとは、クヌギやカシ、ナラなどの木の実を総称した呼び名です。
※古代では食用とされていたそうです。
※現代ではまず食べないし、子どもが独楽として遊ぶこともありません。
※でも、その愛らしさは今も昔も変らない。きょうもありがとうございます。

22日(水)

身に入むや散るものは散り美しく

二度咲きしたのか、
この雨でキンモクセイが、花を散らしていました。

みにしむや ちるものはちり うつくしく
季語=身に入む
※それっぽく言うならば、肌感覚をとおして身体の内にしみ込んでくる心情的な寒さ。
※「身に染む」とも「身に沁む」とも書きます。
※単純に言えば、「心も体も寒いの!」ということでしょうか。
※そろそろ柳も散る頃か? きょうもありがとうございます。

21日(火)

秋雨に話の分かるそぶりして

雨が続くと困ることもそれなりに。

あきさめに はなしのわかる そぶりして
季語=秋雨
※秋は梅雨時のように降り続くことも多い季節です。
※気温がぐっと下がると、そこそこの雨ですらもの寂しくなったりして。
※自然には逆らえませんが。きょうもありがとうございます。

20日(月)

風呂敷にくるりと包む愁思かな

寂しがり屋というのも
自己申告的なところがありますね。

ふろしきに くるりとつつむ しゅうしかな
季語=愁思
※秋に感じるもののあわれ。秋ゆえの物思い。
※秋はとかく寂しい気分になりやすい(ということらしい)。
※最近の風呂敷はカラフル。きょうもありがとうございます。

19日(日)

栗ごはんいがみ合うなど馬鹿らしく

毬(いが)が割れて
栗が顔をのぞかせている様子を
笑栗(えみぐり)というそうですよ。

くりごはん いがみあうなど ばからしく
季語=栗飯
※栗の焚き込みご飯。茹で栗や焼き栗よりもずっと手間がかかります。
※秋は美味しいものが多いのだから。きょうもありがとうございます。

18日(土)

いらいらもそこそこ抱えいのこずち

衣服に付くとなかなか取れません。

いらいらも そこそこかかえ いのこずち
季語=いのこずち
※人にも動物にも付く、どこにでも生えるヒユ科の雑草です。
※花のあと棘のある実となります。きょうもありがとうございます。

17日(金)

慌てよがいいこと尽くめ菊日和

聞く耳を忘れずと言いながら、忘れそう。

あわてよが いいことづくめ きくびより
季語=菊日和
※菊の花の盛りのころ、秋晴れの穏やかな日。
※苦心のすえの大輪の菊も、花壇の菊も、野に咲く菊も。
※春は桜、秋は菊と言われる日本の花の代表格。
※うららかでしたね。きょうもありがとうございます。

16日(木)

諦めのはやさを競い小鳥来る

見慣れない小鳥を見かけましたよ。

あきらめの はやさをきそい ことりくる
季語=小鳥来る
※秋になって日本に渡って来る小鳥のこと。
※郊外にも都心にも。きょうもありがとうございます。

15日(水)

喜べばまたこみ上げる柿たわわ

甘柿なのか渋柿なのか、
どれもがしっかりと柿色ですね。

よろこべば またこみあげる かきたわわ
季語=柿
※実りの秋を表する果実。海外でもKAKIの名で通っています。
※じつは縄文時代から栽培されていたとも言われています。
※枝に付けたまま熟れるまで放っておくと、甘い熟柿となります。
※夕焼け色とも。きょうもありがとうございます。

14日(火)

ひっそりと咲いて落ち着くほととぎす

一度見たら忘れない花ですが、
ふつうに見過ごすくらい地味かと。

ひっそりと さいておちつく ほととぎす
季語=杜鵑草(ほとどぎす)
※地味ですが、ユリに似た小ぶりな花を咲かせます。
※花びらにある紫色の斑点が特徴のユリ科の多年草。
※この斑点が名前の由来で、鳥のホトトギスの胸の模様に似ているとか。
※山地の茂みに自生する花ですが、花壇や鉢植えに楽しまれています。
※味があります。きょうもありがとうございます。

13日(火)

台風にたずねる如く体育の日

いつだって一方的な感じじゃないですか。

たいふうに たずねるごとく たいいくのひ
季語=台風
※熱帯性低気圧のこと。秋ごろに襲来することが極めて多い。
※まさに暴風雨だ。きょうもありがとうございます。

12日(日)

下冷えすまわりくどさに呆れつつ

衣更えも曖昧なままですが、
秋はたしかに深まっていますね。

したびえす まわりくどさに あきれつつ
季語=下冷
※肌に感じる寒さより控えめな「冷気」のこと。「冷やか」と同じ。
※秋の初めの「涼味」は歓迎されますが、「冷気」は少々迷惑ですよ。
※深夜ともなるとね。きょうもありがとうございます。

11日(土)

落胆も勘定に入れ草の花

一気に名前を覚えるのはむずかしい。

らくたんも かんじょうにいれ くさのはな
季語=草の花
※秋にはさまざまな草の花が咲きます。
※秋に咲く花には、青や紫などひかえめな色合いのものが多いのかも。
※近ごろは西洋の花も多くて。きょうもありがとうございます。

10日(金)

大樹なき街を眺める秋の空

秋のはじまりは夏で、終わりは冬。
今が一番ちょうどいい。

たいじゅなき まちをながめる あきのそら
季語=秋の空
※この季語のお約束は、高く澄んだ秋らしい空であること。
※秋は、今日のようにからりと晴れることも多いですが、雨も多く台風の季節でもあります。
※からりと割り切って。きょうもありがとうございます。

9日(木)

相づちをほどよく打ちて鰯食う

美味しかったからという理由で、
2日続けてイワシの塩焼き。

あいづちを ほどよくうちて いわしくう
季語=鰯
※イワシは回遊魚で、日本近海に多く生息しています。
※秋は大漁となる季節で、脂がのっていてとくに美味い。
※日本人になじみ深い魚。煮干し、シラス、ちりめんじゃこはイワシの稚魚。
※弱いと書いて「嫋(たお)やか」らしい。きょうもありがとうございます。

8日(水)

月赤し丸くなるまで緩むまで

月を見上げると
気持ちがやさしくなるのかも。

つきあかし まるくなるまで ゆるむまで
季語=月
※皆既月食を眺めました。きょうもありがとうございます。

7日(火)

ぞんざいに扱われしも椿の実

いろいろ熟しはじめましたね。

ぞんざいに あつかわれしも つばきのみ
季語=椿の実
※ピンポン玉くらいのツバキの実が熟すと緑色から褐色に変ります。
※さらに乾燥すると厚い果皮がさけ、中から数個の大きな種があらわれます。
※もっぱら美容に用いられるツバキ油は、この種をしぼって採ります。
※その用途は広く、食用はもちろん灯用や機械油としても利用できるそうです。
※ツバキは不老長寿の霊木として信仰されていた時代もあったそうな。
※柿とか栗とか秋ですね。きょうもありがとうございます。

6日(月)

気まぐれも板に付きたり十三夜

午前中は台風情報で、
NHKの朝ドラが放送中止になるほどの、
すごい暴風雨でしたね。

きまぐれも いたにつきたり じゅうさんや
季語=十三夜
※旧暦九月十三日の月のこと。後の月ともいいます。
※古くは十五夜と、ひと月遅れの十三夜の二度月見をする習慣がありました。
※二度目は満月ではなく、少し欠けた月とする配慮がおもしろいですね。
※十三夜は枝豆や栗を添えて月見をするため、豆名月、栗名月という呼び名も。
※見事な後の月でした。きょうもありがとうございます。

5日(日)

悪あがきするでもなくて名残茄子

ベランダ菜園のナスが
小さな実を付けています。

わるあがき するでもなくて なごりなす
季語=名残茄子
※名残茄子は、秋茄子(あきなすび/あきなす)の言い換え(傍題)。
※ナスの花は7月から9月いっぱいまで咲きます。
※ナスは花が咲けばすべて実になる(むだ花がない)といわれていますが、例外はあります。
※秋になるものは小粒で実がしまり美味のため、とくに秋なすと呼ばれ食通に好まれます。
※それほどに美味しいかったのか、「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざも。
※環境によりますね。きょうもありがとうございます。

4日(土)

半分に切り置きされた林檎かな

冷蔵庫の中で
2分の1を残されたリンゴの存在が
妙に気になりました。

はんぶんに きりおきされた りんごかな
季語=林檎
※秋の代表的なくだもののひとつ。品種はかなり多い。
※値段もまちまちで、庶民的なものから1個1,000円以上もするような高級品も。
※ごく普通のリンゴでした。きょうもありがとうございます。

3日(金)

混ぜ返し粘着質のオクラかな

すっかり日本の野菜かと思っていましたが。

まぜかえし ねんちゃくしつの おくらかな
季語=オクラ
※アオイ科の野菜で、その昔は「アメリカねり」という別名があったそうです。
※原産はアフリカ北東部。明治初期に日本にやってきました。
※五角形の実(サヤ)で粘りと香りが特長的です。
※「オクラ」は英語名なんだって。きょうもありがとうございます。

2日(木)

芋の露けして高価であらずとも

「プライド」と「誇り」は、意味合いが少々違うらしい。
(忘れたころにどこかで話題になります。)

いものつゆ けしてこうかで あらずとも
季語=芋の露
※芋の露とは、サトイモの葉に朝の露が集まって大小の玉となっている様子。
※俳句では慣例として芋といえばサトイモを指します。
※でも一般的にはイモといえば、もはやサツマイモ。焼きいもの存在がでかいのかも。
※ちなみにサトイモは縄文時代から、対してサツマイモは江戸時代から栽培がはじまりました。
※そういえば買い物をしていて、サツマイモって意外に高いのな、と思ったことがありましたよ。
※庶民だもの。きょうもありがとうございます。

1日(水)

きんもくせい話しやすさに惹かれおり

キンモクセイに話しかけたくなる、
かどうかは知らないけど、そんな感じはありますよね。

きんもくせい はなしやすさに ひかれおり
季語=金木犀
※木犀の「犀」の字は動物のサイのこと。つまり、木製のサイ(笑)。
※樹皮がサイのそれに似ているから、総称としてモクセイと呼ばれるようになったそうですよ。
※一般的には、金木犀、銀木犀と色分けして呼ぶことがほとんど。
※香りを楽しむ木だけに花は少々素朴というか地味かもしれません。
※モクセイが散り敷かれると秋も本格的に。きょうもありがとうございます。