• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2020年6月

30日(火)

涙腺のありて金魚は逃げ出せず

るいせんのありて きんぎょは にげだせず
季語=金魚
※金魚は夏の季語です。鮒の変種を何世代にも渡って品種改良したもの。中国から日本に渡来したのは400年ほど前だと言われています。
きょうもありがとうございます。

29日(月)

すれ違う距離にも遠慮姫女苑

すれちがう きょりにもえんりょ ひめじょおん
季語=姫女苑
※至る所に咲く雑草のたぐい。キクに似た白い小さな花で、線路沿いによく咲いていることからテツドウバナとも呼ばれています。
きょうもありがとうございます。

28日(日)

空白というもの見つけ梅雨夕焼

くうはくというもの みつけ つゆゆやけ
季語=梅雨夕焼
※梅雨どきの夕焼けのこと。夕焼けはとくに夏の時期が美しいとされています。
きょうもありがとうございます。

27日(土)

ばからしくなりてながめるさくらんぼ

季語=さくらんぼ
※正式名は西洋実桜。日本原産のようにも見えますが、栽培がはじまったのは明治時代から。今も手作業が多く、また日持ちもしないことから高値となります。
きょうもありがとうございます。

26日(金)

鼻息の丸く明るくかたつむり

はないきの まるくあかるく かたつむり
季語=蝸牛
※梅雨時に多くなる軟体動物で、陸生の巻貝の総称。若芽や若葉を食べるためか、年々見かけなくなった。
きょうもありがとうございます。

25日(木)

草茂る人はいろいろ考える

くさしげる ひとはいろいろ かんがえる
季語=草茂る
※夏に茂るもろもろの草のこと。夏草。
きょうもありがとうございます。

24日(水)

足踏みのとかく果てなく凌霄花

あしぶみの とかくはてなく のうぜんか
季語=凌霄花
※強烈なオレンジ色の花。つる性の落葉樹で、アサガオのような形の花をたくさん付けます。そして、なにでも巻き付き、よく散ます。
きょうもありがとうございます。

23日(火)

ガーベラに迷いて常におもしろし

がーべらに まよいてつねに おもしろし
季語=ガーベラ
※夏らしい力強さのある花でキク科。赤、白、黄、オレンジ、ピンクと花色が豊富です。とはいえ、祝い時の切り花としても定番の花なので、夏というイメージはないかもしれません。
きょうもありがとうございます。

22日(月)

よこしまに眺めて飽きる桜の実

よこしまに ながめてあきる さくらのみ
季語=桜の実
※桜の木の実。梅雨の時期に熟します。ただし、日本のサクラの実は食用しない。小さくて赤黒くあまり美味しいそうには見えない。サクランボ、または桜桃は、西洋実桜の実で、別もの。
きょうもありがとうございます。

21日(日)

思い出を思い出すとき夏至という

おもいでを おもいだすとき げしという
季語=夏至
※一年で最も昼の時間が長くなる日のこと。
きょうもありがとうございます。

20日(土)

王冠という名のねじれ夏マスク

おうかんというなの ねじれ なつますく
季語=夏
※「夏マスク」という言葉が意味を持つのは今年だけ、で、ありますように。きょうもありがとうございます。

19日(金)

長々と伸びて梅雨空ひとしきり

ながながとのびて つゆぞら ひとしきり
季語=梅雨空
※梅雨の期間は約1か月。雨の日も雨じゃない日もあって、例年6月末くらいが梅雨のピークに当たるそうですよ。
きょうもありがとうございます。

18日(木)

点描のように現れ蜘蛛に糸

てんびょうのように あらわれ くもにいと
季語=蜘蛛
※クモは節足動物の総称で昆虫ではない。日本だけでも千種類以上はいるというから驚きです。昔から家グモは殺すなと言われていますが、あまり気持ちのいいものではありません。
きょうもありがとうございます。

17日(水)

水滴のひとつひとつを沙羅の花

すいてきの ひとつひとつを しゃらのはな
季語=沙羅の花
※別名を夏椿といいます。白い透明感のある花で、その終りもツバキと同じく花ごと落ちます。仏典に出てくる沙羅双樹とは別物。
きょうもありがとうございます。

16日(火)

螺旋というネジをはずして梅雨晴間

ねじという ねじをはずして つゆはれま
季語=梅雨晴間
※梅雨の最中の晴れのこと。中休み的なものであり、「梅雨晴れ」または「梅雨晴間」といいます。「梅雨晴れ」に関しては、梅雨明け後に使うこともあります。
きょうもありがとうございます。

15日(月)

二度見する泰山木の美しく

にどみする たいざんぼくの うつくしく
季語=泰山木
※いかにも東洋的なイメージですが、北アメリカ原産の高木。高所に上向きに、大きな白い花を付けます。庭木なら2階から観賞。
※近ごろでは、高さの手ごろな「リトル・ジェム」という園芸品種が登場し、人気のようです。
きょうもありがとうございます。

14日(日)

冷房の中の休日こだまする

れいぼうのなかの きゅうじつ こだまする
季語=冷房
きょうもありがとうございます。

13日(土)

新聞をガサリと開きさみだれる

しんぶんを がさりとひらき さみだれる
季語=五月雨
※梅雨どきの雨のことを、五月雨といいます。つまり梅雨は、五月雨の続く期間のこと。だらだらと続く「さみだれ式」の語源です。ちょっとややこしいですね。
きょうもありがとうございます。

12日(金)

南天の花わりと優しくそればかり

なんてんのはな わりとやさしく そればかり
季語=南天の花
※南天は正月飾りなどに使われる、丸くて小さい赤い実を付ける縁起木です。「難を転じる」と言われ、古くから庭木として使われます。赤い実とは対照的に、梅雨どきに咲く白い花は地味そのものです。
きょうもありがとうございます。

11日(木)

ぶつ切りの言葉ほどよく梅雨に入る

ぶつぎりの ことばほどよく つゆにいる
季語=梅雨に入る
※入梅のこと。今年の梅雨入りは、思ったより早かった‥‥。
きょうもありがとうございます。

10日(水)

青梅もいずれ黄色くなりにけり

あおうめも いずれきいろく なりにけり
季語=青梅
※梅雨入りするころに、梅の実も目立ちはじめます。といっても、実はまだ青く、青葉に隠れているので、知らないと気づかないかも。熟すと黄色くなり、それを実梅と呼びます。
きょうもありがとうございます。

9日(火)

くちなしの花よ黄色く笑いけり

くちなしのはなよ きいろく わらいけり
季語=山梔子の花
※香りの高い6弁の大きな白い花。咲きはじめは純白で、しだいに黄色く変色して行きます。1本の木にたくさんの花を付けるため、時がたつと白い花と黄色い花が混在しはじめます。
きょうもありがとうございます。

8日(月)

カタカナの呼び名もありて美女柳

かたかなの よびなもありて びじょやなぎ
季語=美女柳
※未央柳(ビヨウヤナギ)の傍題。雄しべが金糸のように長くて美しい黄色い花で、園芸店では同種の金糸梅(キンシバイ)ともに「ヒペリカム」と呼ばれます。公園や神社、洋風の庭にも人気の景観樹です。
きょうもありがとうございます。

7日(日)

青羊歯やどこまでとなく晴れており

あおしだや どこまでとなく はれており
季語=青羊歯
※青々とした夏のシダの葉。涼しげであり力強さがある。
きょうもありがとうございます。

6日(土)

雷のどこかに落ちて耳すます

かみなりの どこかにおちて みみすます
季語=雷
※雷のもととなる積乱雲は夏に最も多く発生します。「雷」をはじめ、「落雷」「遠雷」「雷雨」なども夏の季語。
きょうもありがとうございます。

5日(金)

捩花や生きる分だけみな捻じれ

ねじばなや いきるぶんだけ みなねじれ
季語=捩花
※ピンク色のかわいらしい雑草。真っ直ぐに伸びる茎に、多数の小さな花をらせん状に付けます。ラン科の多年草で、どこにでも咲きます。都心でも公園の芝生などでよく見ますよ。
きょうもありがとうございます。

4日(木)

しっかりと見つめ返して夏の月

しっかりと みつめかえして なつのつき
季語=夏の月
※夏の月といえば、日中が暑いだけに涼しげなイメージがあります。月が赤く見えるのも夏の月。当たり前ですが、梅雨のあれば、熱帯夜の日もあります。
きょうもありがとうございます。

3日(水)

よそ行きの顔して枇杷の実りあり

よそゆきのかおして びわの みのりあり
季語=枇杷
※寒い冬に地味な白い花を咲かせ、初夏に鮮やかなオレンジ色の実を結びます。住宅地を歩けば、今まさに鈴なりに実っていますよ。
きょうもありがとうございます。

2日(火)

昼顔に見覚えのありただそれだけ

ひるがおに みおぼえのあり ただそれでけ
季語=昼顔
※アサガオとよく似ていますが、朝ではなく日中に咲きます。道端や空き地、どこにでも生え、植え込みやフェンスに巻き付いています。淡いピンクの花色で姿かたちはよくとも一般的には雑草です。
きょうもありがとうございます。

1日(月)

六月も無事を祈りて手を洗う

ろくがつも ぶじをいのりて てをあらう
季語=六月
※6月といえば、梅雨の時期です。祝日はひとつもありません。雨でない日も今年は暑そうです。
きょうもありがとうございます。