今日の俳句、こうのこうき
2013年7月
31日(水)
生い立ちを明るく話す水中花
涼しくて時間のつぶせる場所は、夏休みの子どもたちでいっぱいですね。
おいたちを あかるくはなす すいちゅうか
季語=水中花
※辞書などには「水の中に入れる玩具」と説明されています。
※いいなぁ、夏休み。きょうもありがとうございます。
30日(火)
かき氷崩さぬように気づかいし
はじめて、きな粉のかき氷というものを食べました。
かき氷にきな粉をかけただけなのですが、
それが思いのほか美味しかったのです。
かきごおり くずさぬように きづかいし
季語=かき氷
※蒸し暑くなりましたね。きょうもありがとうございます。
29日(月)
蝉しぐれまた一週間の月曜日
「この一週間、何をやっていたのだろう?」
誰でもあるものでしょう?
せみしぐれ またいっしゅうかんの げつようび
季語=蝉時雨
※多くのセミが一斉に鳴きだす様子を蝉時雨と呼びます。
※俳句研究家の最高峰とも言われる山本健吉は、蝉時雨を「沛然と驟雨が到ったような感じ」と表現しています。
※「沛然(はいぜん)」とは、雨が激しく降る様子。「驟雨(しゅうう)」は、にわか雨のこと。
※むずかしいね。きょうもありがとうございます。
28日(日)
水打ってひとまず白も黒もなく
砂塵を防ぐために道路に水を撒いて走る車があります。
散水車、もしくは撒水車(さっすいしゃ)というそうです。
どこかで見たことがあるような気がするのですが‥‥
みずうって ひとまずしろも くろもなく
季語=水打つ
※暑い日に庭や玄関、道路などに水を撒くこと。
※まだ走ってますかね。きょうもありがとうございます。
27日(土)
大雷雨留まることもなく歩く
句会の帰りに大雨にあいました。
駅には、折り畳み傘を持ってはいるが、
雨脚が弱まるのを待っている人たちがわりと多くいたようでした。
だいらいう とどまることもなく あるく
季語=雷雨
※びしょ濡れになりました。きょうもありがとうございます。
26日(金)
煩雑な仕事を逃れ雲の峰
話題のジブリ映画「風立ちぬ」を観てきました。
賛否両論みたいですね。
少なくとも、子どものためのアニメーションではないかな。
はんざつな しごとをのがれ くものみね
季語=雲の峰
※積乱雲のこと。入道雲とも呼ばれます。
※山のようにうず高く盛り上がった雲で、一般的に雷を伴い雨を降らす雲です。
※暑い日が続きますね。きょうもありがとうございます。
25日(木)
戸惑いを小さく抱え百日紅
百日紅が咲いています。
毎年言いますが、百日紅、知らなければ確実に読めない漢字ですよね。
こういう機能的でない懐の深さが日本語のいいところなのでしょうか。
実生活でこの漢字が読めなくとも、誰も恥ずかしいとは思わないだろうしな。
とまどいを ちいさくかかえ さるすべり
季語=百日紅
※100日もの間、枝先の小さい花が、散っては咲くことから「百日紅」の名が付きました。
※仏縁の木として、江戸時代に中国から渡来したそうです。
※漢名の「百日紅」のまま、サルスベリと和名で読ませる不思議。
※何回、難解と言うのかな。きょうもありがとうございます。
24日(水)
まるごとを押しては引いて兜虫
最近、NHKの大河ドラマ「八重の桜」を録画しています。
ここ数日で取り溜めた幾つかを観ましたが、せつねぇですね。
まるごとを おしてはひいて かぶとむし
季語=兜虫
※どの季語集にも糸を付けて遊ぶとありますが、確かに子どもの頃に糸を付け遊んだ記憶があります。たぶん、親にデパートででも買ってもらったんだ。
※角に糸を付けてものを引かせてみたり、糸を付けて飛ばしてみたり。勢いカブトムシが素肌にガッシと止まって、引き離すのに痛くて泣きそうになったけど。
※武士道って何さ? きょうもありがとうございます。
23日(火)
落し文うらやんでみてうわの空
落し文とは、もっとロマンチックなものなのかと思っていましたが、
道端にわざと落とす「政道批判の文」であるとか、
家などに投げ込む「脅迫の文」であるとか、
そもそもは中世・近世に流行った
政治や個人を批判・風刺する匿名文のことだったようです。
今では、「落し文」という行為はすたれたといいますが‥‥。
おとしぶみ うらやんでみて うわのそら
季語=落し文
※季語であるオトシブミは、オトシブミという昆虫が卵を産み付けた葉っぱをクルクルと器用に巻いて、
ひと目の付くところにわざと落としていく何らかのオトシブミと似ていることから、オトシブミと呼ばれるようになったようです。名前が先か、行為が先かはわかりません。
※文月の23日で、「ふみの日」なのか。きょうもありがとうございます。
22日(月)
ときどきは大あくびして熱帯魚
逃避と息抜きは別物ですが、
ときどき混同していることも、あったりなかったり。
ときどきは おおあくびして ねったいぎょ
季語=熱帯魚
※金魚にも、目高にも、熱帯魚にすら本来シーズンなどありません。
※これらは、涼味を観賞するという意味で古くから夏の季語とされてきました。
※暦の上では、明日23日が大暑なのですが‥‥。
※そろそろ泳ぎたい。きょうもありがとうございます。
21日(日)
頑健というには遠く土用中
土用といえば、土用の丑の日です。
平賀源内が考案した日本初のキャッチコピーとも言われています。
そんな雑学的なことは知っていましたが、
そもそもの「土用」については、ほとんど知らないままでした‥‥。
がんけんというにはとおく どようなか
季語=土用
※土用は一年で最も暑い、いわゆる酷暑の時期です。
※本来は春夏秋冬それぞれの季節に移り替わるまでの18日間を、
土の支配する「土用」の時期とされていたようです。由来は、中国の五行説から。
※現在では7月20日前後から立秋までの18日間を「土用」と呼んでいます。
※心も体も元気でありたいね。きょうもありがとうございます。
20日(土)
きびきびとありふれたもの夏料理
気になってはいたのですが上映期間中に見のがした
『ペンギン夫婦の作りかた』
という映画を先日DVDで観ましたよ。
数年前に大ブームとなった「食べるラー油」の
発信源となった石垣島の夫婦のお話。
可愛らしい映画です。
でも、観たら今さらのように
「食べるラー油」が食べたくなるかもしれません。
食べたらしばらくは止まらなくなるかもしれません。
きびきびと ありふれたもの なつりょうり
季語=夏料理
※食欲の落ちる暑い時期に見た目の涼しさなどを工夫した料理のこと。
※何やら特別なものでなく、器や味付けを少し気遣うこともりっぱな夏料理かと。
※止まりません。きょうもありがとうございます。
19日(金)
烏瓜の花を見染めて斜に見る
薄暗がりでは、たいていのものが、
より一層、なんとなく、それなりに
美しく見えたりなんかして‥‥。
からすうりの はなをみそめて はすにみる
季語=烏瓜の花
※まるでレースを広げたような白い花を、本来は真っ暗なはずの夜に咲かせます。
※そして夜明けにしぼんでしまう不思議な花です。
※つる性植物で、さまざまなものに絡まって花を咲かせます。
※昔々、月明りのみで見るカラスウリの花はさぞ幻想的だったのではないでしょうか。
※街灯の下でも十分ですが。きょうもありがとうございます。
18日(木)
コンビニは二十四時間夏の月
帰宅途中の往来で、
「オムライスみたい」という
すれ違う若いカップルの言葉が聞こえた。
なんとなくつられて空を見上げた。
言われてみれば確かに、
オムライスのようなカタチをした月が出ていた。
こんびには にじゅうよじかん なつのつき
季語=夏の月
※青白い夏の月だったけどね。きょうもありがとうございます。
17日(火)
涼しさにさとる大人の都合かな
今さらのように、もちろん健康のために、
実はすごいという『大人のラジオ体操』
を始めることにしました。
どんなにすごいものも、継続できなければ‥‥、ただ続けているだけじゃ‥‥
それをストレートに言わないのが、
大人のたしなみ、というものなのだろう。
すずしさに さとるおとなの つごうかな
季語=涼し
※夏の暑さの中で思いがけない涼しさを感じたときに用いる季語です。
※あくまでも夏の暑さが前提のため、秋に近づく涼しさとは区別されます。
※続くかなぁ~。きょうもありがとうございます。
16日(火)
くっきりとひとつがひとつ油照
あれだけ暑い日が続いたのに、
なんだか今日は涼しい1日でしたね。
といっても、これが例年並みの暑さなのかもしれませんが。
くっきりと ひとつがひとつ あぶらでり
季語=油照
※脂汗がしみ出るような、じりじりとした暑さのことを油照といいます。
※ホッとして気を抜かないように。きょうもありがとうございます。
15日(月)
それぞれに持ちつ持たれつ夏帽子
この連休に妻と二人で麦わら帽子を買いました。
似合うか、似合わないか。
それぞれ相手に意見を求めますが、
どちらも相手の意見など聞いてない。
それぞれに もちつもたれつ なつぼうし
季語=夏帽子
※夏の強い日差しや暑さをしのぐためにかぶる帽子のこと。
※ここ数年、夏といえば麦わら帽子がトレンドのようですね。
※お互いサマー、ということで。きょうもありがとうございます。
14日(日)
初蝉やサービス業とそれ以外
長く続けている、ただそれだけじゃ
何かが足りないみたいです。
はつぜみや さーびすぎょうと それいがい
季語=初蝉
※鎌倉では蝉が鳴いていました。
※東京では? きょうもありがとうございます。
13日(土)
動くもの動かざるもの草いきれ
句会は、若い人も、中くらいの人も、
相当なお年寄りまで
一緒に俳句を楽しむことのできる場なのですが、
同時に世代による隔たりを強く感じる場でもあるんですよね。
うごくもの うごかざるもの くさいきれ
季語=草いきれ
※炎天下、生い茂った夏草に感じる、むわっとする熱気や湿気、そして強い臭気。それを「草いきれ」といいます。
※「いきれ」とは、蒸されたような熱気のこと。
※人の場合は、人いきれ。きょうもありがとうございます。
12日(金)
はっきりとすり切れている冷し酒
夏は冷やで飲むのがうまいそうだ。
しかし、そのうまさがわかるほどには飲み慣れていない。
飲み慣れていないから銘柄の違いなどよくわからない。
ただ雰囲気を味わえれば、それで満足。
はっきりと すりきれている ひやしざけ
季語=冷し酒
※大方は、そんなものだ。きょうもありがとうございます。
11日(木)
夏の夕去るものはみな芝居じみ
夕方ともなれば、さすがに日中よりは過ごしやすくなるものですが、
今年の夏は7月上旬から飛ばし気味ですね。
9月中旬まで、この暑さが続くのかしら?
考えただけで痩せてしまいそうです。
なつのゆう さるものはみなしばいじみ
季語=夏の夕
※夏の日の夕方、日暮れのこと。
※近頃、「少し痩せた方がいいよ」と言われるまでになってしまったようなのですが‥‥。
※あまり自覚はない。きょうもありがとうございます。
10日(水)
冷し中華古めかしくもよしとする
ラーメンの世界は新旧の入れ替わりが激しいようです。
めまぐるしいだけに、「昔ながら」という価値があるのでしょうかね。
ひやしちゅうか ふるめかしくも よしとする
季語=冷し中華
※「冷し中華」も季語なんですよ。きょうもありがとうございます。
9日(火)
片陰を忘れひたすらなりにけり
連日のように「熱中症には十分に気を付けてください」という
アナウンスがあちこちで流れています。
今年で2年目となる仮住まいのリビングは、
西日のさす頃合いともなると、
それはもう、サボテンですら耐えられないんじゃないか
と思えるほどの暑さに見舞われます。
これまで十を超える引っ越しをしてきましたが、
間違いなく最強です。ほとんど洒落になりません。
かたかげを わすれひたすら なりにけり
季語=片陰
※炎天下、道の片側にできる日陰のこと。
※昼どきの炎天下では望めないが、午後になって日が少し傾くと
涼しげな日陰がくっきりとあらわれはじめます。
※ある程度の年齢になれば、片陰を選んで歩くようになるのだろう。
※明日にも簾を付けないと。きょうもありがとうございます。
8日(月)
夕立や致しかたなく仰ぎ見る
ポツポツと来かたと思うと、見る間にざあっと本降りになる。
昔から「馬の背をわける」と言われるほどに、
夕立は局地的なものだ。
街中であるならば慌てて店の軒先にでも逃げ込むのだろう。
そして誰もが、あとどれくらい続くのだろうかと
心配げにその雨脚を仰ぎ見るのだろう。
ゆうだちや いたしかたなく あおぎみる
季語=夕立
※夕方に多いから夕立といいます。
※通常は長くとも一時間くらいで、からりと晴れると言われています。
※雨に限らず、仰ぎ見るもの、見ざる得ないもの、などなど、いろいろありますね。
※大きな虹がみえたとか。きょうもありがとうございます。
7日(日)
七夕に七夕らしく願いごと
夕方の雷と夕立には驚きました。
大丈夫でしたか?
ちょうどパソコンに向かいながら
カクカクと船を漕いでいたところで、
突然の雷と大粒の雨音に‥‥
負けることなく、睡魔に負けました。
たなばたに たなばたらしく ねがいごと
季語=七夕
※例年のごとく願い事するのを忘れてた。きょうもありがとうございます。
6日(土)
不可もなく可もなく七夕前夜かな
ここ数日、このサイトにデータベースを付加したくて、
悪戦苦闘していましたが‥‥。
まさに「可もなく不可もなく」といった具合です。
ふかもなく かもなくたなばたぜんやかな
季語=七夕
※陽暦7月7日ごろから半月ほどの期間を小暑といいます。
※いわゆる「暑中見舞い」が始まる時期で、夏本番に向かって急激に暑さが増していく感じです。
※今日もかなり暑かった。熱中症にご注意くださいね。
※いわゆるWebプログラミングは本当にむずかしい。知識0の状態から、なんとなく理解できるようになるまでに約1年。なのに未だによくわかりません。
※一番ほしい「フリーワード検索」のページがどうにも動いてくれません。思うように動かず、疲労困ぱい気味。とりあえず仮眠を取って、7日中には何らかのものをアップできたらと‥‥思います。残念。
※もう七夕ですね。きょうもありがとうございます。
5日(金)
大げさに騒ぎ立てたる団扇かな
暑くなると駅前などでよく団扇を配っていますが、
これもポケットティッシュと同じで、
欲しいときほどもらえなかったりする。
おおげさに さわぎたてたる うちわかな
季語=団扇
※バタバタする感じ。きょうもありがとうございます。
4日(木)
じんわりと汗ばむときの凌霄花
(凌霄の花は)どこか東京の街並みに馴染まないような‥‥。
けして嫌いな花ではありませんが、
毎年この花が咲くと一度はそんな気分になったりなんかしています。
じんわりと あせばむときの のうぜんか
季語=凌霄花
※中国原産の花で、渡来したのは9世紀(平安時代)ごろというのだから、かなり古い。
※この時期少し散策すれば、鮮やかなオレンジ色のノウゼンの花をすぐに見つけることができるのではないだろうか。
※観賞用として好まれるつる性の落葉樹で、様々なものに絡みついています。
※美しい花という人もいて、それぞれです。きょうもありがとうございます。
3日(水)
野ほうずに向日葵らしく愛らしく
人の背丈をもしのぎ、
夏の日差しにも負けない、
強靭な咲きっぷりが、ヒマワリらしくて好きです。
のほうずに ひまわりらしく あいらしく
季語=向日葵
※ヒマワリはキク科の1年草です。原産地は北アメリカ。言われてみれば、そんな感じ。
※別名に、日車、日輪草、天竺葵、日向葵、天蓋花などがあります。
※日本人のよく知る一茎一花のヒマワリは、ロシアひまわりと言うそうです。
※園芸品種には、一茎多花や八重咲、花束にするような小ぶりなものも。
※「野放図」を「野ほうず」と書くことはないと思います。
※漢字を思い出せない時に、こんな風にメモることはあるかも?
※メモ帳は基本ひらがな。きょうもありがとうございます。
2日(火)
めげそうになりがちながら半夏生
手間のかからないはずの観賞植物が、
この暑さでへなへなになりかかっていた。
「手間がかからない」とは、日の当たらないテレビのわきに
ずっと置きっぱなしでもいいですよ、
というものでは‥‥(なかったらしい)。
めげそうに なりがちながら はんげしょう
季語=半夏生
※カレンダーの7月2日に「半夏生」と記載されています。
※一年でもっとも昼の長い夏至から数えて11日目にあたります。
※昔から田植えを終える目安の日とされていたそうです。
※この日までにしっかりと田植えを終えておかないと収穫にひびくのだとか。
※「半夏半作」という言葉があるそうですが‥‥、よくわかりません。
※「半夏生」という言葉を知らないで、音で聞くと「半化粧」かと思う。
※そりゃそうかも。きょうもありがとうございます。
1日(月)
合歓の花なんだかんだと七年目
中野界隈に暮らしはじめて七年になる。
正確には中野と練馬の境目あたり。
七年たって初めて、わりと近所に合歓の木があったことに気付いた。
花の時期にその道を通ったことがなかったのかもしれない。
やはり花が咲いて初めてそれと認識されるものなのだろう。
ねむのはな なんだかんだと ななねんめ
季語=合歓の花
※5~10メートル近くになる落葉樹で、その葉がシダに似ているため、
どこか原始的な感じする木なのですが。
※花はじつに特徴的で、赤と白の薄絹をふわりと扇のように広げた感じがします。
※羽根のような葉は夜になると閉じ、扇のような花は夕方になっていっせいに開きます。
※葉っぱが眠るから「ねむの木」という名が付いたと言われています。
※漢字の「合歓」には、「共に喜び楽しむこと」「男女が共寝すること」という意味があるようです。
※お陰様で、今日といいながら毎回日付のすでに変わった丑三つ時にアップしている「今日の俳句、こうのこうき」も7月1日で7年目にとなりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
※(7月7日全面的に一新する予定)きょうもありがとうございます。