今日の俳句、こうのこうき
2016年5月
31日(火)
常の日のあじさいなるも常のなく
近ごろ、アジサイも多彩です。
つねのひの あじさいなるも つねのなく季語=紫陽花 ※日本から世界に広がったアジサイ。梅雨どきの代表的な花木。 ※大型の白いアジサイはアメリカ系のものらしいよ。 ※色も形もいろいろ。きょうもありがとうございます
30日(月)
万緑の陰こみあげて二重線
アジサイ、例年よりもだいぶ早い開花らしい。
ばんりょくの かげこみあげて にじゅうせん季語=万緑 ※圧倒されるような草木の緑を強調した季語。一面、見渡す限りの緑。 ※雨の一日。きょうもありがとうございます。
29日(日)
気を抜けばいつかつまずく花あざみ
日当りのよい場所なら、どこにでも。
きをぬけば いつかつまずく はなあざみ季語=花薊 ※キク科の多年草。丸い花は筒状の花弁で、キクのような花びらではない。 ※梅雨前のこの時期に咲いているのが本種です。種類が多い。 ※季語としては春に分類されますが、盛りは夏。 ※葉には鋭い棘があります。きょうもありがとうございます。
28日(土)
恋しさに余剰のありぬ立葵
同じ場所で、同じ数だけ咲いている。
こいしさに よじょうのありぬ たちあおい季語=立葵 ※高さは120~200センチ、花も大きく直径10センチ以上の大型のアオイ。 ※観賞用の花で、夏のあいだ咲いています。 ※銭葵も咲いているよ。きょうもありがとうございます。
27日(金)
青梅の転げ芯までいじらしく
風の強い日が続くと、 たくさんの実が地面に転がっています。
あおうめの ころげしんまで いじらしく季語=青梅 ※まだかたく青い実のこと。 ※黄色く熟した実は、実梅と呼ばれます。 ※梅雨どきより熟しはじめます。 ※泥にまみれて。きょうもありがとうございます。
26日(木)
喋るほど黙るほど散る竹落葉
「竹に油を塗る」とは、 舌が滑らかすぎるひとのたとえ。
しゃべるほど だまるほどちる たけおちば季語=竹落葉 ※新陳代謝のひとつ。初夏になると新葉と古葉を入れ替えます。 ※舞い落ちる葉にも、降り積もる葉にもそれぞれに風情があります。 ※竹も常緑樹のひとつ。きょうもありがとうございます。
25日(水)
柿の花よくよく歩くよく歩く
柿の木のない街はない。
かきのはな よくよくあるく よくあるく季語=柿の花 ※緑色のガクに淡黄色の小さい花。 ※初夏の若葉が美しく、秋の紅葉も趣があります。 ※花は若葉に負けてしまい、まず気づかれない。 ※定番の家庭果樹か。きょうもありがとうございます。
24日(火)
止める自由続ける自由花南天
白い花ですが、地味すぎて目立ちません。
やめるじゆう つづけるじゆう はななんてん季語=南天の花 ※枝先の長い穂に、地味な小花を多数つけます。 ※秋には深紅の実に。きょうもありがとうございます。
23日(月)
しもつけの花を交えて明々と
明々白々は、「明白」以上に明白だぜ、という意味。
しもつけの はなをまじえて めいめいと季語=しもつけ ※バラ科の落葉低木。日当りのよい山野に自生します。 ※ピンクの小さな花が半円形に寄り集まって咲きます。 ※最近は鮮やかな黄緑色をした葉の園芸種が人気のようです。 ※「しもつけ草」とは別もの。きょうもありがとうございます。
22日(日)
さわやかに別れしあとの山法師
濁点があれば街でよくみる花の名前。 ないなら歴史の教科書で習った僧兵のこと。
さわやかに わかれしあとの やまぼうし季語=山法師の花 ※街路樹でよく見る花木。日本の山で自生しています。 ※俳句では白い花ですが、庭木にはピンクや紅、黄色もあり。 ※比叡山延暦寺の僧兵の場合は「やまほうし」と読みます。 ※外来栽培種のハナミズキによく似ています。 ※ではまたあした。きょうもありがとうございます。
21日(土)
小満やどのみち我はわれであり
梅雨入りが気になりはじめるころ。
しょうまんや どのみちわれは われであり季語=小満 ※二十四節気のひとつ。立夏から15日目。 ※立夏と芒種(田植えを始める時期)の中間です。 ※小さく満ちる(=万物がすくすく成長している)ころ、という意味。 ※今年は昨日が小満でした。きょうもありがとうございます。
20日(金)
すずらんの明日に甘えのあるように
行儀よくぶら下がってはいるけれど。
すずらんの あすにあまえの あるように季語=鈴蘭 ※鈴のような小さな白い花が、数個並んでつきます。 ※街中で見るのはドイツスズランがほとんどのようです。 ※君影草(きみかげそう)は在来種にこそ似合う別名かも。 ※じつは有毒植物なの。きょうもありがとうございます。
19日(木)
十薬に白の流れし路傍より
日陰に咲く白い十字架の花。
じゅうやくに しろのながれし ろうぼうより季語=十薬 ※誰もが知るドクダミの別名。十の効用があると言われています。 ※昔から利用されてきた民間薬のひとつ。 ※咲きはじめたと思ったらあっという間に埋め尽くします。 ※一つひとつは清楚な花。きょうもありがとうございます。
18日(水)
ろうたける言わずもがなの花いばら
「茨の道」というときの、イバラの花のこと。
ろうたける いわずもがなの はないばら季語=花茨 ※とげのある野生のバラ科の総称です。 ※野バラともいいます。多彩な園芸種のもと。 ※清楚な白い五弁花で、飾り気のない感じいい。 ※優しい香りがする。きょうもありがとうございます。
17日(火)
ざわめきが大粒となり白牡丹
雨のなかにも気品があります。
ざわめきが おおつぶとなり しろぼたん季語=白牡丹 ※大きなものは約20センチの大輪に。 ※大昔から「百花の王」と呼ばれます。 ※豪華な花だけに散り際も美しく趣があります。 ※原産は中国。日本には薬草として平安時代に渡来したといわれています。 ※やわらかい。きょうもありがとうございます。
16日(月)
雑踏に足跡多し若楓
大は小を兼ねるが、ぴったりに勝るものはない。
ざっとうに あしあとおおし わかかえで季語=若楓 ※カエデの若葉のこと。鮮やかな薄緑が印象的です。 ※柿若葉、椎若葉などといいますが、若楓というのはカエデだけ。 ※「そくせき」でも。きょうもありがとうございます。
15日(日)
値踏みしてはじめ楽しき薔薇の花
立木バラと、つるバラがあります。
ねぶみして はじめたのしき ばらのはな季語=薔薇 ※バラがもっとも隆盛なのは初夏。 ※四季咲きと言いますが、開花期は5月から12月初旬くらいまで。 ※品種は1万種以上。きょうもありがとうございます。
14日(土)
他人ごとのように眺めしクレマチス
園芸種だけに多種多様です。
ひとごとの ようにながめし くれまちす季語=クレマチス ※キンポウゲ科のつる性植物で、鉄線花や風車が原種。 ※つる性植物の女王とも。きょうもありがとうございます。
13日(金)
皮肉ともとれし自由や風薫る
年齢は上手に重ねたいものでございます。
ひにくとも とれしじゆうや かぜかおる季語=風薫る ※新緑の頃の風。青葉の匂いを運ぶような南風が吹く。 ※五感による季語。きょうもありがとうございます。
12日(木)
老鶯や空広ければ深く沁み
日常のなかで「あ、ろうおうが鳴いている」とは、言ったことも聞いたこともないけどね。
ろうおうや そらひろければ ふかくしみ季語=老鶯 ※夏のウグイスのこと。年老いたウグイスではありません。 ※夏になると囀りに春ほどの生気がなくなるので、老鶯といいます。 ※実際は春と夏の囀りの違いなどよくわからない。 ※繁殖期が終わればホーホケキョとは鳴かなくなります。 ※念のため。きょうもありがとうございます。
11日(水)
しばらくは答えをもたぬ薄暑かな
この場合の「薄」は、何かに「近づく」という意味。薄暮や肉薄などと同じ使い方ですね。
しばらくは こたえをもたぬ はくしょかな季語=薄暑 ※梅雨前のほんのり汗ばむような暑さのこと。 ※そういえば秋のススキは「薄」とも書くのだったね。 ※台風のような風が吹きました。きょうもありがとうございます。
10日(火)
マーガレット近道探すややこしく
ぱっと見の清楚なイメージと、たくましさと。
まーがれっと ちかみちさがす ややこしく季語=マーガレット ※キク科の白い花。基本的には一重ですが、八重などの品種も。 ※観賞用低木状多年草というらしい。越冬を繰り返すといずれ木質化する。 ※花壇などにて。きょうもありがとうございます。 <昨日の訂正> 道ばたでよく見るオレンジの花は、ナガミヒナゲシというものらしいです。
9日(月)
身中の虫ゆらゆらとポピー摘む
半野生化しているのは、オレンジ色の花が多い気がします。
しんちゅうのむし ゆらゆらと ぽぴーつむ季語=ポピー ※一般的にはアイルランドポピーのこと。 ※ヒナゲシの仲間でよく似ています。 ※その他の花色は赤、色、黄色など。 ※道ばたにある。きょうもありがとうございます。
8日(日)
見わたせばあきれ果てたる夏の空
年寄りの自慢話ほど、面倒くさいものはない。ただし、人柄と相性による。
みわたせば あきれはてたる なつのそら季語=夏の空 ※今日も暑かったね。きょうもありがとうございます。
7日(土)
破れ鍋に綴じ蓋のある衣更え
好みのものと、似合うもの。そうそういつまでも同じではない。
われなべに とじぶたのある ころもがえ季語=衣更え ※その昔は陰暦四月一日が衣更えをする日と決まっていたそうです。 ※現在は曖昧で、これまでの服を夏服に替えることを言います。 ※個人の自由だけど。きょうもありがとうございます。
6日(金)
紫蘭咲くつぶさに訊ね訝しむ
多くのことは、無いものねだり。
しらんさく つぶさにたずね いぶかしむ季語=紫蘭 ※名前の通りの紫色のラン。 ※育てやすく観賞用として人気がある。 ※本来は湿地や崖などに自生する花で、じつは準絶滅危惧種。 ※まれに白花もある。きょうもありがとうございます。
5日(木)
まめやかにすべて平らげ子どもの日
ちまきも、菖蒲も、大昔の武家社会の名残り。
まめやかに すべてたいらげ こどものひ季語=子どもの日 ※五月五日の節句。 ※漢字で書くとすると、「まめやか」は「忠実やか」。 ※思いやりがないとね。きょうもありがとうございます。
4日(水)
ご機嫌な色あふれだすみどりの日
晩春であり、初夏であり、黄金週間。
ごきげんな いろあふれだす みどりのひ季語=みどりの日 ※国民の祝日のひとつ。 ※広辞苑には「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ日」とあります。 ※愉快な快晴。きょうもありがとうございます。
3日(火)
鼻歌もまじり憲法記念の日
今年も様々な主張があるようで‥‥。
はなうたもまじり けんぽうきねんのひ季語=憲法記念日 ※昭和22年5月3日に日本国憲法が施行。その記念日。 ※ゴールデンウィークの一日。きょうもありがとうございます。
2日(月)
だんまりもひとかたならぬ栃の花
仰ぎみるのは白い花。楓のような大きな葉っぱ。
だんまりも ひとかたならぬ とちのはな季語=栃の花 ※20メートル以上になる高木で、円錐状に立ち上がる花穂が涼しげです。 ※公園や街路樹でみるものは「西洋栃の木(マロニエ)」のようです。 ※日本に自生する「栃の木」とそっくりで、素人目にはわからない。 ※ツノみたい。きょうもありがとうございます。
1日(日)
水させば水に躓く五月かな
今年は猛暑なのかしら?(昨年はどうだったっけ?)
みずさせば みずにつまづく ごがつかな季語=五月 ※新緑の季節で、1年のなかでもとくに心地よい月でしょうか。 ※秋もよいけど。きょうもありがとうございます。