今日の俳句、こうのこうき
2013年10月
31日(木)
真っ赤だと許されるのか烏瓜
深夜営業の店が閉まるまで、始発の電車が動き出すまで、空が白々と明るくなるまで、眠くなるまで、 1日の長さは、みなそれぞれ。
まっかだと ゆるされるのか からすうり季語=烏瓜 ※もう夜明け近いというのに、明日の朝一までの仕事がまだ終わらない! ※ということで、最速で思ったまま書いた。きょうもありがとうございます。
30日(水)
祈りとも夢ともつかぬ菊日和
春は桜、秋は菊といいますが、菊の花はわざわざ観に行くイメージで、ほとんど身近ではありません。子どもの頃には、この時期になるとよく食卓に出ていたけれど。 菊の花びら、どこが美味いのかよくわからなかったなぁ。
いのりとも ゆめともつかぬ きくびより季語=菊日和 ※秋晴れの日のこと。菊の花が盛りのころ。 ※嫌いではないが好物でもない。きょうもありがとうございます。
29日(火)
鼻先にぶらさげている秋の暮
鼻風邪を引いたらしい。先日、久しぶりに銭湯に行きたくなって、ふと湯上りに散歩がしたくなって‥‥湯冷めしたのかも。 (鼻風邪が)妥当かもしれない。
はなさきに ぶらさげている あきのくれ季語=秋の暮 ※秋の日暮れのことです。 ※紅葉も見てないけれど冬が近い。きょうもありがとうございます。
28日(月)
団栗を置いてきぼりに赤い月
「かわってますね」と言われることがそんなにうれしいことなのかい?、 と、ひねくれたことを考えるようになったのは、いつから?ドングリとクリは同族、でも、いっしょにはしない。
どんぐりを おいてきぼりに あかいつき季語=団栗 ※どんぐりコロコロどんぶらこ。きょうもありがとうございます。
27日(日)
ありありと顔に滲みし秋の色
本当は特別なりたいものではないのだけれど、何となく憧れてしまうものってありますよね。
ありありと かおににじみし あきのいろ季語=秋の色 ※秋の色というとき、通例として紅葉のことを指していることが多いようです。 ※広くは秋の景色のことをいい、秋の気配、秋の気分という漠然としたものまで含まれます。 ※ポーカーフェイスとか。きょうもありがとうございます。
26日(土)
口数の多さに茂り末枯るる
今日は毎月参加している定例句会のはずだったのですが、会場に行くと誰もいなかった‥‥。
くちかずの おおさにしげり うらがるる季語=末枯 ※草木の先端から枯れはじめることを末枯(うらがれ)といいます。 ※木々は枝先から、草は葉先から色づき枯れて行きます。 ※ざんねん。きょうもありがとうございます。
25日(金)
台風や鏡にうつるうす汚れ
妙なタイミングで妙なことが気になるもので。普段は気にもしていないのに。
たいふうや かがみにうつる うすよごれ季語=台風 ※そんなものか。きょうもありがとうございます。
24日(木)
漫然と耳傾ける夜寒かな
今年は台風がいやに多い。関東地方にはこの土曜日にまた接近するらしく、台風情報が気になります。
まんぜんと みみかたむける よさむかな季語=夜寒 ※晩秋の夜の寒さです。まだ日中との気温差があるだけに、よけいに寒さを感じます。 ※そして夜がしんとしてきた。きょうもありがとうございます。
23日(水)
おぼろげな事情を察し秋の雲
ある時期、ビジネス文章の決まり文句のひとつとして「事情ご賢察のうえ」という一文をけっこう便利に使っていました。 今はまず使いません。まるで察してくれない人もいると知ったので。文章だけで真意を伝えるなんて、そもそも無理な話なのよね。
おぼろげな じじょうをさっし あきのくも季語=秋の雲 ※今日は台風の影響で1日中曇り空でしたね。きょうもありがとうございます。
22日(火)
からくりの中にさかえし木の実かな
「木の実」とは、いかにも食べられそうな語感ですが、通常は食べることのできない団栗などの実を指します。 それらは秋になると自然と地上に落ちますが、地中に埋めない限り発芽はしません。 埋めるのは、それを餌とするリスなどの小動物です。自然のサイクルとは、見事なものですね。
からくりの なかにさかえし このみかな季語=木の実 ※毎年、ドングリを見ると感心します。きょうもありがとうございます。
21日(月)
傘立ての傘にたまりて秋の水
昨日の雨が傘立てのたたまずにさした傘の中に溜まっていました。 ただそれだけのことなのですが、その水が思いのほか澄んでいたのでした。
かさたての かさにたまりて あきのみず季語=秋の水 ※暑さが去ると水が不思議なほど澄みはじめます。 ※曇りのない秋の水は、ときに研ぎ澄まされた刀のたとえとして使われるそうです。 ※今回の「創刊号の巻頭句」は、杉田久女の俳誌「花衣」です。よろしければ、どうぞ。 ※夜が寒くなりましたね。きょうもありがとうございます。
20日(日)
それらしく並びはじめて吊し柿
最後に柿を食べたのはいつのことだったけ?というくらい柿を食べていない気がします。といって、好んで食べるわけでもないのですが、気になります。
それらしく ならびはじめて つるしがき季語=吊し柿 ※吊るすことで、渋柿を甘くします。 ※一日雨でしたが、2度ほど外に出てみたら2度ともどしゃ降りというバッドタイミング。 ※明日はいいことあるかしら。きょうもありがとうございます。
19日(土)
秋深し手づくりパンの塩加減
買い物をして、ついでにどこかによって、 そこで買い物した品を置き忘れてしまい、帰り道の途中で気づいて慌てて取りに戻ってみても、 だいたいは、そのまま置いてあります。
あきふかし てづくりぱんの しおかげん季語=秋深し ※気温差の激しいこの頃、インフルエンザも出はじめているみたいですね。 ※体調管理はしっかりと‥‥。きょうもありがとうございます。
18日(金)
朝焼けの凹凸にいて馬肥ゆる
「天高く馬肥ゆる秋」といいますが、競走馬はどうしているのでしょうか。
あさやけの おうとつにいて うまこゆる季語=馬肥ゆる ※鳥獣にとって、秋は厳しい冬に備えて脂肪を蓄える時期です。馬も例外ではありません。 ※人間はどうだっけ? きょうもありがとうございます。
17日(木)
学びても足らざる如く十三夜
寒くなると同じものがどこか寂しげに見えたりするだけなのかもしれませんね。
まなびても たらざるごとく じゅうさんや季語=十三夜 ※旧暦の九月十三日の月を指します。 ※前月八月十五日の名月に対して「後の月」とも呼ばれます。 ※栗や豆を供えて月見をするため、栗名月・豆名月とも呼ばれています。 ※上着が必要だ。きょうもありがとうございます。
16日(水)
たおやかにまるく紫式部の実
そういえば、何年か前に 「品格」って言葉がやたらと流行っていましたよね。 あれ、どこにいったんだ?
たおやかに まるくむらさきしきぶのみ季語=紫式部の実 ※花よりも実に観賞価値があるとされるクマツヅラ科の落葉植物。 ※直径3ミリほどの小さい実を枝垂れするほどにびっしりと付けます。 ※赤みをおびた紫色の実に、誰もが気品のようなものを感じるようです。 ※名前は、その美しさを平安時代の才女・紫式部に重ねたものです。 ※対生する緑の葉とのコントラストもさることながら、葉がすべて落ちたあとの姿も美しく実紫とも呼ばれます。 ※台風26号が通過した日に。きょうもありがとうございます。
15日(火)
台風や惑うかどうか神無月
今日は、なんだか知りませんが、近所の安売りスーパーマーケットのものすごい混雑ぶりに驚かされました。 午前も早めなのに休日の数倍。ほとんどがお年寄り。たぶん台風情報の影響。レジ前は見たこともない長蛇の列となっていました。
たいふうや まどうかどうか かんなづき季語=台風 ※その深夜、風雨が窓を激しく叩いています。きょうもありがとうございます。
14日(月)
所在なく残る林檎を裏返す
林檎が季語となったのは江戸時代の元禄以降だといいます。 当時は秋ではなく夏の季語だったそうです。芭蕉が亡くなったのは、元禄7年(=1694年)のことです。享年51歳。 もしかして芭蕉は林檎の句を詠んでいないのか???
しょざいなく のこるりんごを うらがえす季語=林檎 ※リンゴはカキやブドウに並ぶ秋の代表的な果物ですが、明治初期に西洋林檎が輸入され栽培が盛んになったのだそうです。 ※西洋リンゴがあるなら、和リンゴというものもあるのです。 ※ざっと芭蕉の全発句集を探してみましたが‥‥、また今度ゆっくり探してみます。 ※ざっと見た感じでは、無い、かな。きょうもありがとうございます。
13日(日)
ひょっとして渋柿なのかそうなのか
どこ家の庭木の柿も、見る間に立派な柿色になりましたね。夜は、だんだん、寒くなってきました。
ひょっとして しぶがきなのか そうなのか季語=渋柿 ※渋柿はそのままでは渋くて食べることができないため、吊し柿や干柿などに加工します。 ※または、甘く熟すまでほうっておいて熟柿にします。 ※甘柿は鎌倉時代に登場。きょうもありがとうございます。
12日(土)
金木犀こぼれこの世の澱となる
キンモクセイが咲いています。夏の疲れがたまっています。キンモクセイの香りに引き込まれそうです。
きんもくせい こぼれこのよの おりとなる季語=金木犀 ※中国が原産で、江戸時代に日本に渡って来ました。 ※オレンジの花の金木犀、白い花の銀木犀がよく知られています。 ※淡い黄色の花を咲かせる薄黄木犀(うすぎもくせい)というものもあるらしい。 ※単にモクセイという場合はそれらの総称になります。 ※モクセイはその甘い香りと零れ積もった花筵(はなむしろ)に、多くは、風情を感じているのかもしれません。 ※寝不足がねぶい。きょうもありがとうございます。
11日(金)
爪切りの音にまぎれし秋の音
うっかり、お風呂上がりに爪を切ったら、少し深く切りすぎてしまったかもしれない。
つめきりの おとにまぎれし あきのおと季語=秋の音 ※虫の声、雨風、床の軋み、水音、定期をかざす音、電車の音、メールの着信音、猫の鳴き声、自転車のブレーキ音、 もれ聞こえる人の声、耳に聞こえるすべての音、秋の気配を感じたのであれば、それは秋の物音なのかもしれない。 ※金木犀が香っていますね。きょうもありがとうございます。
10日(木)
何よりも青く小さく山葡萄
山ブドウは熟すと真っ黒になります。食べたことはありませんが、 食すと口の中まで真っ黒になると何かの本で読んだ。そうなんですかぁ~
なによりも あおくちいさく やまぶどう季語=山葡萄 ※山に自生するから山ブドウです。実は小粒ですが、食べれるそうです。 ※そうそう、午前中に「創刊号の巻頭句」をアップしていました。昭和4年創刊の「かつらぎ」(阿波野青畝)の巻頭句です。よろしければ、どうぞ。 ※旧体育の日はやっぱり晴れ! きょうもありがとうございます。
9日(水)
結末を聞くとはなしに秋の雲
「おーい雲よ、ゆうゆうと‥‥」ではない。近々観たい映画がある。楽しみにしていたのだ。 が、しかし、コーヒーショップで偶然隣り合わせた映画帰りの女性たちの会話で、その微妙な結末を知ってしまった。 聞こえて来る前にスマホで音楽を聴こうとしたのだが、そういうときに限って、ヘッドフォンがなかなか見つからない。
けつまつを きくとはなしに あきのくも季語=秋の雲 ※雲は秋だけど気温は夏並の一日でしたね。店内は冷房の効き過ぎで寒かった。 ※(俄然みたくなった!) きょうもありがとうございます。
8日(火)
晩秋のたこ足配線余りなく
晩秋だというのに、いま、扇風機がまわっています。台風の影響で夏に逆戻り。 これでは夏バテならぬ秋バテが心配になってきますね。(秋バテ、朝の情報番組で知りました)
ばんしゅうの たこあしはいせん あまりなく季語=晩秋 ※「創刊号の巻頭句」、今週は阿波野青畝のかつらぎ‥‥のつもりだったのですが‥‥只今、がんばって未完成中です。 ※明日明後日には、たぶん。きょうもありがとうございます。
7日(月)
鰯雲優しい人となりたくも
クライアントの無茶ぶりに、知らず笑顔が引きつってしまいましたよ。帰り道に見た夕日に染まるいわし雲がとても印象的でした。
いわしぐも やさしいひとと なりたくも季語=鰯雲 ※海の白波のような、魚の鱗のような雲の様子です。 ※古来、海岸にイワシが寄り集まる兆しとされ、鰯雲と呼ばれるようになったとか。 ※ものは考えようということで。きょうもありがとうございます。
6日(日)
飲みさしの珈琲に注ぐ星月夜
お気に入りのマグカップがありまして。 先日、ちょうど飲み口のところが欠けてしまって、飲みにくいのですが、捨てにくいのですよ。
のみさしの こーひーにつぐ ほしづきよ季語=星月夜 ※(月のない夜に)月の代わりに満天の星で明るい夜のことをいいます。 ※しかし今日も星ひとつ見えませんな。きょうもありがとうございます。
5日(土)
秋雨やのべつまくなしのっぺりと
紅葉シーズンはこれからだけど、ひと雨ごとに寒くなっていく感じですね。(雨の日に家にいる姿は、さっぱりでもなく、くっきりでもなく、うっかりでもない‥‥)
あきさめや のべつまくなし のっぺりと季語=秋雨 ※秋に降る雨のこと。 ※天気予報のなかで「秋雨前線」という言葉を耳にします。梅雨前線みたいなもので、例年9月中旬から10月中旬まで日本の上空に停滞しているそうです。 ※すっきりしませんね。きょうもありがとうございます。
4日(金)
やや寒やまことしやかに棚曇
今日は一日、少し厚めの羽織ものが手放せなかったですよ。
ややさむや まことしやかに たなぐもり季語=やや寒 ※秋らしくなるにつれ、うっすらと冷気を感じること。 ※早くも足もとがうっすら寒い。きょうもありがとうございます。
3日(木)
秋麗やくすりと笑う薬指
先日、仕事関係の知人が結婚したそうだ。腐れ縁でと笑いながらも、とても嬉しそうだった。めでたい。
しゅうれいや くすりとわらう くすりゆび季語=秋麗 ※もしくは、秋麗(あきうらら)と読みます。 ※「うらら」、「うららか」といえば春の季語ですが、まるで春のそれのように太陽のまぶしい日を「秋うらら」といいます。 ※ほんと、10月か?、てな陽気でしたよね。きょうもありがとうございます。
2日(水)
秋蝶や身代わりとなる虹の果て
雨上がり、小さな蝶と大きな虹を見ました。しかも虹は二重のようで、蝶は黄色かった。だだの大雑把なお話です。
季語=秋の蝶 ※蝶は春から秋にかけて活動します。越冬する蝶もあるそうです。 ※四季を通しているため、それぞれの季節を付けて呼び分けます。ただの蝶は春の季語です。 ※もうしばらくすると秋の花とともに、蝶も見かけなくなります。 ※雨上がりミツバチも活発に動いていましたね。冬に備えて、というところでしょうか。 ※虹に気づきましたか? きょうもありがとうございます。
1日(火)
秋雨やがらごろがらとドロップス
いまだにハッカ味の飴が出てくると、それをまた缶のなかに戻して、いま一度、がらがらと取りなおしたりなんかしています。
あきさめや がらごろがらと どろっぷす季語=秋雨 ※明るい夏と重たい冬に挟まれた秋の雨は、大昔からどこかもの悲しいものとして詠まれることが多いようです。 ※「創刊号の巻頭句」にて、高野素十の俳誌「芹」を追加いたしました。 ※なので最後はハッカ味だけが残ります。きょうもありがとうございます。