• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2016年8月

31日(水)

確信にふれず染まりぬほおずきは

秋らしさを深めるアイコン。

かくしんに ふれずそまりぬ ほおずきは
季語=鬼灯
※ナス科の多年草。秋に色づく赤い袋が美しい。
※袋の中心には、光沢のある赤い実がなっています。
※赤い実を鳴らして遊んだ記憶がありますよ。
※夏日はいつまで。きょうもありがとうございます。

30日(火)

淋しさを指折り数え力草

引き抜こうにも、なかなかしぶとい。

さみしさを ゆびおりかぞえ ちからぐさ
季語=力草
※しっかりと力強く根を張っているので、この名があります。
※茎の頂に指を広げたように花穂を付けます。
※よく見る雑草。きょうもありがとうございます。

29日(月)

雑念と暴風域の南瓜煮る

カボチャは世界中で
栽培されています。

ざつねんと ぼうふういきの かぼちゃにる
季語=南瓜
※日本に最初に伝わったのは16世紀だといわれています。
※夜中より大雨。きょうもありがとうございます。

28日(日)

ひやかしのように増え行くえのこ草

頭でっかちで、風によく揺れる。

ひやかしのようにふえゆく えのこぐさ
季語=えのこ草
※狗尾草(えのころぐざ)のこと。別名は、猫じゃらし。
※雑穀の粟は、このエノコログサを改良したもの、なのだとか。
※粟、食べてます。きょうもありがとうございます。

27日(土)

あやうさを堪えて満ちる百日紅

咲きこぼれても、花盛り。

あやうさを こらえてみちる さるすべり
季語=百日紅
※よくよく見れば、紫の色のサルスベリも、けっこう植えられていますね。
※もうしばらくは。きょうもありがとうございます。

26日(金)

葛ざくら仲良きことにほだされて

甘いものは、やめられない。

くずざくら なかよきことに ほだされて
季語=葛桜
※和菓子。葛饅頭のこと。うまい。
※サクラの葉に包むことから、東京では葛桜と呼びます。
※クズの葉ではないんだね。きょうもありがとうございます。

25日(木)

ものかげに隠れて近き虫の声

どこで鳴いているんだ、
と思うくらいだ。

ものかげに かくれてちかき むしのこえ
季語=虫の声
※鈴虫などの秋に鳴く虫の総称として。ただし、草むらで鳴く虫。
※2階の窓から聞く。きょうもありがとうございます。

24日(水)

サルビアの咲いてわびたる思いして

ムラサキ色だったよ。

さるびあの さいてわびたる おもいして
季語=サルビア
※基本は真っ赤な花。園芸品種には紫や白、ピンクなどがあります。
※花屋さんに並んでいたよ。きょうもありがとうございます。

23日(火)

水引のわたしを好むワタシかな

ひっくり返すと、
赤い花が白い花に見えます。

みずひきの わたしをこのむ わたしかな
季語=水引の花
※たで科の多年草。祝儀袋にかける水引に、言われてみれば似ている。
※よくしなる長い茎に点々と赤い小花を付けます。
※3弁花で、上2枚が赤く下1枚が白いため、上下で違って見えます。
※手品みたいね。きょうもありがとうございます。

22日(月)

せめてもの気安さ残し花ふよう

ふんわり、次々と咲きます。

せめてもの きやすさのこし はなふよう
季語=芙蓉
※淡い紅や白の大輪の花。1日でしぼんでしまいます。
※昔々は美人の形容とされ、最大のほめ言葉だったそうですよ。
※どしゃ降りは災難。きょうもありがとうございます。

21日(日)

甘辛く煮て盛り付ける残暑かな

とにかく暑い日は、
夕日がきれいなんだ、と思う。

あまからくにて もりつける ざんしょかな
季語=残暑
※暦的には、立秋後の暑さを残暑とします。
※気持ち的には、9月以降のほうがしっくりきますが。
※秋の虫が鳴いています。きょうもありがとうございます。

20日(土)

台風に情の乏しきにわか雨

逸れてはいても、
油断はできない、って感じかな。

たいふうに じょうのとぼしき にわかあめ
季語=台風
※夏から秋にかけてが多い。台風のあとには晴れ渡る。
※東京は水曜日まで雨の予報なんですね。
※困ったもんだ。きょうもありがとうございます。

19日(金)

立ち止まることも覚えし流れ星

地上に落ちれば、隕石と呼ばれます。

たちどまることもおぼえし ながれぼし
季語=流れ星
※この時期が、もっとも目撃しやすいといわれています。
※星の終焉。きょうもありがとうございます。

18日(木)

アイスコーヒーまぜて老いたる思いして

スコールのような雨が、
降ったり止んだり。

あいすこーひーまぜて おいたるおもいして
季語=アイスコーヒー
※そんな日の外出はめんどうで。きょうもありがとうございます。

17日(水)

八月のとやかく言わぬありがたさ

この時期は、いろいろ、
つまっていそう。

はちがつの とやかくいわぬ ありがたさ
季語=八月
※暦的には、残暑と呼ばれる時期で、初秋。
※連日、とけそう。きょうもありがとうございます。

16日(火)

耳貸さぬへくそかずらや大人しく

毎年、だいたい、同じ場所で見ます。

みみかさぬ へくそかずらや おとなしく
季語=屁糞葛
※俳句では灸花(やいとばな)が本題で、傍題がこれ。
※が、植物名としてはヘクソカズラが正式。ひどく残念な名前です。
※日本全土のやぶや道端に自生する雑草で、臭いがある。
※つる性の多年草。きょうもありがとうございます。

15日(月)

美味そうに西瓜の並ぶ終戦日

国によっては、
果肉よりも種子を好んで食べるのだとか。
主にはアジア諸国。

うまそうに すいかのならぶ しゅうせんび
季語=終戦日
※あえて、季重ね。きょうもありがとうございます。

14日(日)

あくる日はつがいとなりし蜻蛉かな

水辺のトンボは、
とくに絵になる気がします。

あくるひは つがいとなりし とんぼかな
季語=蜻蛉
※「とんぼ」、「とんぼう」、または「あきつ」と読みます。
※暑い時期から様々な種類が飛んでいます。
※昆虫のなかでも最速の部類。きょうもありがとうございます。

13日(土)

浮き沈みありてまどろむ桔梗かな

古来より、日本人好みの、
清楚な花の代表格。

うきしずみ ありてまどろむ ききょうかな
季語=桔梗
※日本全土に自生する多年草。現在はその数も激減しているのだとか。
※ひどく地味な花にも見えるよ。きょうもありがとうございます。

12日(金)

頬杖のあとサルビアの朱をためて

和名は、緋衣草(ひごろもそう)。
唇形の花。

ほおづえのあと さるびあの しゅをためて
季語=サルビア
※シソ科の一年草で、夏から秋にかけて花壇を彩ります。
※一般的には赤色ですが、白や紫などの園芸種もあります。
※ブラジル原産の花。きょうもありがとうございます。

11日(木)

朝顔に脈絡のなき目覚めかな

アサガオが、
秋の季語とされているのは、
古来よりの名残り、
のようなもの。

あさがおに みゃくらくのなき めざめかな
季語=朝顔
※明け方に咲いて、昼にはしぼんでしまいます。
※涼しくなると午後まで咲いていることも。
※はじめての、山の日。きょうもありがとうございます。

10日(水)

露草のつゆのほどには睦まじく

角度によっては、
小さな蝶のようにも見えます。

つゆくさの つゆのほどには むつまじく
季語=露草
※ツユクサの花弁は3枚あります。
※特徴的な2つの青い花弁と、その下につく小さな白い花弁。
※朝咲いて、午後にはしぼむ半日花です。
※別名は蛍草。きょうもありがとうございます。

9日(火)

口開けて酷暑にかわる顔かたち

もはや体温以上。いろいろお大事に。

くちあけて ごくしょにかわる かおかたち
季語=酷暑
※例年、7月末から8月上旬あたりが暑さのピークになるようです。
※東京都心も37℃強。きょうもありがとうございます。

8日(月)

おしろいの持ちつ持たれつ咲きにけり

夜に咲く花は、ふつう、白か黄色が多い。

おしろいの もちつもたれつ さきにけり
季語=白粉花(おしろいばな)
※基本の花色は赤紫。その他、白、黄色、絞りなど花色が豊富です。
※花期が長く、7~10月くらいまで咲いています。
※咲くのは、夕方の少し前。きょうもありがとうございます。

7日(日)

移り気なこの世の先に吊る風鈴

微かな風すらも感じたい、
という願いだったのかも。

うつりぎな このよのさきに つるふうりん
季語=風鈴
※暑い日に風があることを知らせてくれます。
※立秋です。きょうもありがとうございます。

6日(土)

大いなる片陰もまた静かなり

左右同時にかげはできない。
どちらか一方。

おおいなる かたかげもまた しずかなり
季語=片陰
※炎天下の日陰のこと。主に街中のかげを指します。
※樹木に限定する場合は、緑蔭もしくは木下闇(こしたやみ)といいます。
※くっきりしている。きょうもありがとうございます。

5日(金)

ひまわりは淋しがりやでみな黄色

みごとに横向きに咲くね。

ひまわりは さびしがりやで みなきいろ
季語=向日葵
※北米原産のキク科の一年草。
※ひまわりの本当の花は黄色い花びらの内側。茶色の部分。
※茎にも葉にも毛ような細かい棘があります。
※日車(ひぐるま)とも。きょうもありがとうございます。

4日(木)

曜日という感覚失せし夏木立

夏と冬にはあっても、
春と秋にはありません。

ようびという かんかくうせし なつこだち
季語=夏木立
※夏木立、冬木立はあっても、春木立、秋木立という季語はありません。
※おそらく、印象的な木陰あっての季語なのではないでしょうか。
※木立は立ち並ぶ木々のこと。きょうもありがとうございます。

3日(水)

健やかにのたうつ花や烏瓜

夜に咲いて、夜明けとともに
しぼんでしまいます。

すこやかに のたうつはなや からすうり
季語=烏瓜の花
※複雑な形をした白い花。レース編みのようでもある。
※秋には真っ赤な実がなり、カラスが好んでついばむとか。
※不思議な花。きょうもありがとうございます。

2日(火)

行きよりも帰りに出合う花木槿

儚げというよりも、わりと丈夫そうな花。

いきよりも かえりにであう はなむくげ
季語=木槿
※基本は一日花で、朝咲いて夜にはしぼんでしまいます。
※秋まで次々に咲きます。きょうもありがとうございます。

1日(月)

まっとうなことに呆れし油照り

じっとしているだけで‥‥。

まっとうな ことにあきれし あぶらでり
季語=油照り
※油汗のしみ出るような蒸し暑さのこと。
※薄曇りで風のない日などは、とくにきびしい。
※早くも8月ですね。きょうもありがとうございます。