今日の俳句、こうのこうき
2016年11月
30日(水)
一角の満面の笑み枇杷の花
決して美しい花ではありません。
ひとかどの まんめんのえみ びわのはな季語=枇杷の花 ※寒さに耐えるために、花のまわりは柔らかな毛で覆われています。 ※なかなか咲いていることに気づかない花です。 ※ただ気づけば、わりと庭木として見かけます。 ※その歴史は意外に古く、奈良時代にはすでに生食されていたそうです。 ※地味ゆえに俳人好みの花なのです。きょうもありがとうございます。
29日(火)
蹴散らして清々しさに日記買う
ど、ど~~~しても腹立たしことは、すべて文字化すると案外すっきりする。 (ただし、誰にも見せてはいけない!という条件付きで)
けちらして すがすがしさに にっきかう季語=日記買う ※すでに本屋には、大量の日記がところせましと並んでいます。 ※蹴散らして! きょうもありがとうございます。
28日(月)
断ち切りて頭の四角紅葉散る
半径数メートルの範囲にも、いろいろあるよね。
たちきりて あたまのよすみ もみじちる季語=紅葉散る ※「紅葉且(か)つ散る」は秋の季語。「紅葉散る」は冬の季語。 ※なぜにまた? きょうもありがとうございます。
27日(日)
消しゴムや伝染伝播冬景色
早いのか、遅いのか、標準なのかが、よくわからないけど。
けしごむや でんせんでんぱ ふゆげしき季語=冬 ※すっかり落葉した樹木も。きょうもありがとうございます。
26日(土)
曖昧を晒せばいつか凩に
凩の字が、凧に似ている、なんて思った、けど。
あいまいを さらせばいつか こがらしに季語=凩 ※ふつうは木枯しと書きます。条件は風速8メートル以上だそうです。 ※アイ、マイ、ミーなんて。きょうもありがとうございます。
25日(金)
目論んで十一月の掛け違う
予定は未定というけどさ。
もくろんで じゅういちがつの かけちがう季語=十一月 ※それにしても寒いですね。きょうもありがとうございます。
24日(木)
初雪や都会しんしんと死に体に
雨音かと思ったら、大粒の雪の音だった。
はつゆきや とかいしんしんと しにたいに季語=初雪 ※朝からよく降ったけれど積もらなかったですね。 ※東京で11月に降る54年ぶりの雪。「死に体」はもともと相撲用語。 ※それは早朝のこと。きょうもありがとうございます。
23日(水)
勤労に感謝する日や働いて
仕事があることにも、感謝。
きんろうに かんしゃするひや はたらいて季語=勤労感謝の日 ※国民の休日となる前は、新嘗祭(にいなめさい)という宮中の行事。 ※新穀を神に感謝して、また食すことでともに喜び合ったそうです。 ※みんなに、かぞくに、じぶんに。きょうもありがとうございます。
22日(火)
足し引いて銀杏黄葉のふくよかに
すっかり調えば、黄金色とも言いたくなる。
たしひいて いちょうもみじの ふくよかに季語=銀杏黄葉 ※半分くらいかな。きょうもありがとうございます。
21日(月)
白菜の罪滅ぼしの如く煮え
2日続けて、キムチ鍋。
はくさいの つみほろぼしの ごとくにえ季語=白菜 ※日本での栽培の始まりは、日清・日露戦争の頃といわれています。 ※鍋に欠かせない食材も江戸時代にはなかったんですね。 ※白菜の大部分は水分。きょうもありがとうございます。
20日(日)
去り際の不自由桜紅葉かな
それらしく赤く染まるものもある。
さりぎわのふじゆう さくらもみじかな季語=桜紅葉 ※モミジとはいえ、枝先で乾いた感じの葉が多いのが実際だろう。 ※都心部の身近なモミジ。きょうもありがとうございます。
19日(土)
山茶花の散ればその名をつぶやけり
咲いているだけじゃ、今もって迷う。
さざんかの ちればそのなを つぶやけり季語=山茶花 ※冬の庭を彩るサザンカはほぼ園芸種で、ツバキにそっくり。 ※見分け方があるそうだ。きょうもありがとうございます。
18日(金)
返り花渇いた口を尖らせて
返り花と書くのは「返り咲き」だからだろう。
かえりばな かわいたくちを とがらせて季語=返り花 ※小春日が続くとサクラやウメなどが数輪咲いたりする。 ※お帰りの「帰り花」とも書くし、そのじつ「帰り咲き」とも書きます。 ※ツツジが咲いていた。きょうもありがとうございます。
17日(木)
こじらせて冬の紅葉となりにけり
身近なモミジより、遠くのモミジ?
こじらせて ふゆのもみじと なりにけり季語=紅葉 ※やっとカエデも色づきはじめました。 ※季語としては秋でも、東京は例年今ごろ。 ※日本は縦長。きょうもありがとうございます。
16日(水)
木枯しも見栄も潰えし頃合いに
は、まだまだじゃな。
こがらしも みえもついえし ころあいに季語=木枯し ※秋から初冬にかけて吹く季節風。 ※強く冷たい風が、木を枯らすかのごとくだ。 ※足掻きます。きょうもありがとうございます。
15日(火)
湯豆腐やみな肉食でいて草食
「肉食」と「草食」が逆になると句の雰囲気がまるでかわる気がします。
ゆどうふや みなにくしょくでいて そうしょく季語=湯豆腐 ※これを「鍋」といわれると、なんとなく、個人的には「?」ですが、湯豆腐のおいしい季節になりましたね。 ※どうでしょう。きょうもありがとうございます。
14日(月)
しばらくは八手の花の貸家かな
目立つはずなのに、目の前に咲いていても、気にもされない花。
しばらくは やつでのはなの かしやかな季語=八手の花 ※ピンポン玉くらいの丸い花穂に白い花を無数に付けます。 ※ありふれている? きょうもありがとうございます。
13日(日)
都合よく咲いてくださる石蕗の花
明るい花という人もいれば、暗い花という人もいます。
つごうよく さいてくださる つわのはな季語=石蕗の花 ※キクに似た鮮やかな黄色い花。 ※本来は温暖な地域の海辺などに自生します。 ※葉は常緑で日陰でも育つため、庭や花壇なでよく見る。 ※咲く時期と場所かな。きょうもありがとうございます。
12日(土)
差し当たり退屈しのぐ小春雲
「雲は天才」らしい。そうかもしれない。(啄木さん、ろくに読んだことないけど)
さしあたり たいくつしのぐ こはるぐも季語=小春 ※本格的な冬に入る前に訪れた温暖な日和をたたえる季語。 ※今日のような天気を「まるで春だ」ではなく、「小さい春だ」としたのが、なんとも律儀。 ※一時的なものだしね。きょうもありがとうございます。
11日(金)
何食わぬ寒さのなかに留めたり
笑いがないことを「寒い」とも言うよね。
なにくわぬ さむさのなかに とどめたり季語=寒さ ※肌に感じる寒さ、物や事、心を含むすべてに使える便利な季語です。 ※明日は小春日和とも。きょうもありがとうございます。
10日(木)
親指の小さく割れる神無月
早くもあかぎれ的なものが‥‥。
おやゆびの ちいさくわれる かんなづき季語=神無月 ※陰暦十月の呼び名。ちなみに今日は陰暦の十月十一日。 ※日本中の神々が出雲に集まる時期と伝えられている。 ※雨もつめたそう。きょうもありがとうございます。
9日(水)
半分に割れて野太く冬の月
世界中、予想が外れて、びっくり。
はんぶんに われてのぶとく ふゆのつき季語=冬の月 ※冷え切った月は、扁平でくっきりしてますね。 ※木枯し吹いた。きょうもありがとうございます。
8日(火)
端っこをつまんで悟る冬はじめ
すでに冬物のコートを着ている人も。
はしっこを つまんでさとる ふゆはじめ季語=冬初め ※冬の期間を3つにわけた初めの冬。 ※晩秋から徐々に冬めく11月ごろで、本来は寒さもそこそこ。 ※ちらほらと。きょうもありがとうございます。
7日(月)
冬に入るうわべばかりの小言とも
紅葉が終わるまでは、ふつうに秋なのだろうが‥‥。
ふゆにいる うわべばかりの こごととも季語=冬に入る ※立冬のこと。二十四節気のひとつで、暦上の冬。 ※早くも冷えるね。きょうもありがとうございます。
6日(日)
念じればやさしくなりぬ草紅葉
考え方しだい、なのかな。
ねんじれば やさしくなりぬ くさもみじ季語=草紅葉 ※様々な草が紅葉すること。美しい時期はわりと短い。 ※本格的に寒くなるまで。きょうもありがとうございます。
5日(土)
得手不得手心のうちに菊香る
大小さまざま。その種類は数千にも及ぶとか。
えてふえて こころのうちに きくかおる季語=菊 ※ただキクという場合、俳句では園芸ものをさします。 ※園芸種は長寿の薬草として、古く中国から伝わったといわれています。 ※菊花展の時期。きょうもありがとうございます。
4日(金)
秋惜しむ空の端切れを貰い受け
天高く馬肥ゆる、ひと時の短めの秋なのだろう。
あきおしむ そらのはぎれを もらいうけ季語=秋惜しむ ※過ぎ行く秋に対する心情的な季語。 ※他の季節よりも秋を惜しむ気持ちの方が強いかも。 ※週末は行楽日和のよう。きょうもありがとうございます。
3日(木)
だんまりやそもそも青く花梨の実
ついテレビをつけてしまう。
だんまりや そもそもあおく かりんのみ季語=花梨の実 ※中国原産のバラ科。春に咲く花はボケに似ています。 ※大きな楕円の果実は、少し歪んでいます。黄色く熟す。 ※香りは良いが堅くて酸味が強い。砂糖漬けなど加工して食す。 ※空が高い。きょうもありがとうございます。
2日(水)
霜降や東の空になみだ濃く
東京の初霜は、まだ先です。
そうこうや ひがしのそらに なみだこく季語=霜降 ※二十四節気のひとつ。10月23日頃から立冬までの15日間。 ※霜が降りはじめ、ぐっと寒くなるという意味。 ※秋の終わり。きょうもありがとうございます。
1日(火)
銀杏や踏めば何やらあからさま
銀杏(ぎんなん)と、銀杏(いちょう)は、同じ漢字でした。
ぎんなんや ふめばなにやら あからさま季語=銀杏 ※ひどく匂うのは、ギンナンを包む球形の黄色い種皮。 ※9月ごろから。きょうもありがとうございます。