今日の俳句、こうのこうき
2016年10月
31日(火)
吉凶をわけて紫式部の実
今どきの庭によく合う小粒の小式部を、よくみる。
きっきょうをわけて むらさきしきぶのみ季語=紫式部の実 ※紫色に熟した小さな実が美しく、長い枝にびっしりと付きます。 ※全国の山野に自生。寺院などで観賞用に植えられています。 ※落葉しても実は残る。きょうもありがとうございます。
30日(日)
親指の動きに合わせ冬を待つ
街の様子で、明日はハロウィンか、と気づく感じ。いまだに。
おやゆびの うごきにあわせ ふゆをまつ季語=冬を待つ ※冬がもう間近に来ていること。 ※10月も終わりだよ。きょうもありがとうございます。
29日(土)
老若の垣根を見たり破芭蕉
認めれば、楽かもしれない。
ろうにゃくの かきねをみたり やればしょう季語=破芭蕉 ※雄大な芭蕉の葉も秋風によって無数に裂けていきます。 ※男女もしかりか。きょうもありがとうございます。
28日(金)
仕事してよく夢を見て秋の水
冷たいけれど、明るい。
しごとして よくゆめをみて あきのみず季語=秋の水 ※秋の冷やかに澄んだ水のこと。 ※自然の水に限らず、生活の中の水ですら澄んできたように感じる。 ※コップに汲んだ水ですら。きょうもありがとうございます。
27日(木)
どんぐりの儚さ目立つ木曜日
多くのことは運任せ。
どんぐりの はかなさめだつ もくようび季語=団栗 ※クヌギやカシなどの木の実の総称。 ※冬の貴重な保存食とするためにリスなどの小動物が地中に埋めます。 ※結果、食べ残されたものが春に芽吹くという自然のしくみ。 ※足元にご注意。きょうもありがとうございます。
26日(水)
優しさに気づきし林檎紅くなる
年中店頭に並んでいるけどね。
やさしさにきづきし りんごあかくなる季語=林檎 ※今が旬。リンゴが美しく色づくのは秋。 ※果皮のべたつきは、熟した時に分泌される成分によるもの。農薬ではないそうだ。 ※なら安心。きょうもありがとうございます。
25日(火)
底意地の悪さに傾ぐ夜寒かな
寒さは、何気なく、我慢しがちだけれども。
そこいじの わるさにかしぐ よさむかな季語=夜寒 ※晩秋の夜の寒さ。昼夜の寒暖差が激しいだけに強く感じる。 ※重ね着だけでは足りぬ日。きょうもありがとうございます
24日(月)
博愛も柿も明るく並びおり
甘柿と渋柿があります。
はくあいも かきもあかるく ならびおり季語=柿 ※栽培は奈良時代から。その昔は甘柿などほとんどなかったそうですよ。 ※渋柿は手間を加えることで、甘柿に勝るとも劣らないものに。 ※二日酔いに良いらしい。きょうもありがとうございます。
23日(日)
てんでんに三歩さがって冬支度
冬こそおしゃれを、と、いうよな。
てんでんに さんぽさがって ふゆじたく季語=冬支度 ※冬に備えて様々な準備をすること。 ※てんでんといえば、ばらばら! きょうもありがとうございます。
22日(土)
しおらしく愁思ときどき腑に落す
真夜中ともなると足もとが冷えてくる。
しおらしく しゅうしときどき ふにおとす季語=愁思 ※秋らしい物思い。いろいろと感じることの多い季節、なのだろう。 ※確実に冬へと向ってますな。きょうもありがとうございます。
21日(金)
たっぷりと土の匂いの芋洗う
本来はイモという漢字にも区別がありました。
たっぷりと つちのにおいの いもあらう季語=芋 ※季語では「芋」の一字でサトイモを指します。 ※ジャガイモは馬鈴薯(ばいれいしょ)、サツマイモは甘藷(かんしょ)、そしてサトイモが里芋。 ※ちなみに、サトイモのぬめりには、脳細胞を活性化させる成分が含まれているのだとか。 ※お芋、お薯、お藷~。きょうもありがとうございます。
20日(木)
やっかいをときどき広げ秋深む
柿の実がいい感じに色づいています。
やっかいを ときどきひろげ あきふかむ季語=秋深し ※今年もあと2か月ちょっとよ。きょうもありがとうございます。
19日(水)
そもそもが釣瓶落しや捨ておけよ
季節外れの夏日といえど、洗濯物がなんとなくすっきり乾かない。
そもそもが つるべおとしや すておけよ季語=釣瓶落し ※何かが急速に落ちるたとえ。秋の夕景は短い。 ※気づけば暗い。きょうもありがとうございます。
18日(火)
読みかけを長らく閉じて秋の昼
少々蒸し暑い一日でした。
よみかけを ながらくとじて あきのひる季語=秋の昼 ※まさかの真夏日。きょうもありがとうございます。
17日(月)
今年米流れに任せ新しく
ほんとのところ、 「新米」と言えるのは、いつまで?
ことしまい ながれにまかせ あたらしく季語=今年米 ※今年とれた新米のこと。 ※新米が出回ると昨年の米が古米となります。 ※早稲などもありますが、一般には10月が新米の時期。 ※やはり美味い。きょうもありがとうございます。
16日(日)
あぶれ蚊や負い目一先ず払いおり
実際はどうであれ、厄介もの。
あぶれかや おいめひとまず はらいおり季語=溢蚊(あぶれか) ※秋深くまで残る蚊。数も少なくなり動きも鈍い。 ※秋の蚊、残る蚊、別れ蚊、蚊の名残りなどともいう。 ※羽音もかすか。きょうもありがとうございます。
15日(土)
月光の虚空に埋もれ仇となる
モノでこころは満たせない。
げっこうの こくうにうもれ あだとなる季語=月光 ※きれいな満月でしたね。きょうもありがとうございます。
14日(金)
内面の滑らかなりし梨をむく
水分の多めのシャリシャリとした食感がナシらしい。
ないめんの なめらかなりし なしをむく季語=梨 ※独特の食感は、果肉の中の石細胞によるもの。秋の味覚。 ※ナシの栽培は弥生時代にはすでに始まっていたとか。 ※今なお季節もの。きょうもありがとうございます。
13日(木)
あり方のつとめて丸く秋なすび
夏から秋にかけて実を結ぶ。
ありかたの つとめてまるく あきなすび季語=秋茄子 ※秋になるナスのこと。夏のナスに比べて小ぶり。 ※昔から美味という。きょうもありがとうございます。
12日(水)
秋果とて淋しきゆえに甘くなる
東京都心部で大規模停電。そんなこともあるんですね。
しゅうかとて さみしきゆえに あまくなる季語=秋果 ※秋の果物のこと。秋に実るものが多い。 ※ここは10分ほどで復旧した。きょうもありがとうございます。
11日(火)
明るさもひとつの気取り貴船菊
秋らしい? ショッキングピンクの八重咲の花。
あかるさも ひとつのきどり きふねぎく季語=貴船菊 ※キクに似た明るい花。別名を秋明菊(しゅうめいぎく)といいます。 ※中国原産のキンポウゲ科の多年草。庭園やお寺などでよく見る。 ※花のように見えるものはガク。きょうもありがとうございます。
10日(月)
清福の密度の相違油点草
遠目からは全体が紫色の花に見えます。
せいふくの みつどのそうい ゆてんそう季語=油点草 ※ユリ科の多年草。杜鵑草(ほととぎす)の別名。 ※六枚の白い花びらに紫色の無数の斑点があります。 ※山野に自生する花で、庭でも栽培されます。 ※清福は、精神的な幸福のこと。きょうもありがとうございます。
9日(日)
つきものの遠のくほどにおけら鳴く
ジージーと鳴く。
つきものの とおのくほどに おけらなく季語=おけら鳴く ※コウロギ科の昆虫で、モグラのように土中に生息しています。 ※なのに飛ぶことも泳ぐこともできるスーパー昆虫。 ※ゆえに器用貧乏とも。きょうもありがとうございます。
8日(土)
常識に取り囲まれて吾亦紅
バラ科だけど、散らない花。
じょうしきに とりかこまれて われもこう季語=吾亦紅 ※花びらを持たない小花が無数に寄り集まって俵型の穂を形成します。 ※咲きはじめは紅紫色、しだいに褐色へと近づいて行きます。 ※秋の野の花。きょうもありがとうございます。
7日(金)
はやされてえのころ草のみぎひだり
さみしげで、のんきそうだ。
はやされて えのころぐさの みぎひだり季語=狗尾草 ※イネ科。仔犬のしっぽのような穂をもつ。 ※がんばり過ぎない。きょうもありがとうございます。
6日(木)
貪欲という自由のほしき赤とんぼ
一匹だけ見た。
どんよくという じゆうのほしき あかとんぼ季語=赤とんぼ ※いずれは、かたまる。きょうもありがとうございます。
5日(水)
あげつらう風強き日の夜なべかな
諸説あるようですが、夜なべの「なべ」は「鍋」らしい。
あげつらう かぜつよきひの よなべかな季語=夜なべ ※夜に仕事をすること。会社であれば残業のこと。 ※昔は農作業のあとに藁仕事などをしたので、秋の季語。 ※夜食は過食になりやすい。きょうもありがとうございます。
4日(火)
幻滅をほじくりだして鳥おどし
立場がちがえば、すずめもただの害鳥。
げんめつを ほじくりだして とりおどし季語=鳥威し ※実った穀物などに、野鳥を近づけないための様々な仕掛け。 ※最近では、ペットボトルやアルミ缶でつくった風車などをよく見る。 ※いろいろある。きょうもありがとうございます。
3日(月)
秋雨や頼まれごとのうら返る
キンモクセイが、散りはじめた。
あきさめや たのまれごとの うらがえる季語=秋雨 ※秋は晴天も多いが、雨の日も多い季節。 ※秋雨前線と台風。きょうもありがとうございます。
2日(日)
ぶどうの種ついでのような負け惜しみ
ブドウらしくはないけれど、 皮ごと食べられるなんて、うれしいかぎりだ。
ぶどうのたね ついでのような まけおしみ季語=葡萄 ※ブドウの美味しい季節になりました。 ※たまにはね。きょうもありがとうございます。
1日(土)
染まりつつ途方に暮れる烏瓜
目立ちたいような、目立ちたくないような。
そまりつつ とほうにくれる からすうり季語=烏瓜 ※山野はもちろん、藪や公園の木々など、ところかまわずからみつく。 ※すっかり葉が落ちても、赤く熟した実はそのままぶら下がっています。 ※葉に隠れ、今はまだオレンジ色。きょうもありがとうございます。