今日の俳句、こうのこうき
2017年3月
31日(金)
捨て置けよやがてあたりに花はこべ
捨てる神あらば、拾ってくれる神も、いるとかいないとか。
すておけよ やがてあたりに はなはこべ季語=はこべ ※あんがい上品な、小さな白い花を付ける。 ※どこにでも生えるが、春の七草のひとつで若葉を食用します。 ※過剰に期待しない。きょうもありがとうございます。
30日(木)
ありふれた切手をもとめ桜まじ
日曜日には満開となるそうだ。 ほんとに風があたたかい。
ありふれた きってをもとめ さくらまじ季語=桜まじ ※南風または南寄りの風のことを「まじ」といいます。この一語だけなら夏の季語です。 ※桜まじはサクラの咲く頃の南からの風。春の季語です。 ※漢字は真風で、まじ!? きょうもありがとうございます。
29日(水)
たんぽぽや鼻ふくらませさようなら
まだ少ないなぁ、と、思っていたら。 すでに綿毛になっているものを見つけたよ。
たんぽぽや はなふくらませ さようなら季語=蒲公英 ※世界中で咲いている春の花。 ※約ひと月で綿毛に。きょうもありがとうございます。
28日(火)
三月の箱いっぱいの揺らぎかな
今年の旧暦三月のはじまりは今日から。 やっと暖かくなるようだ。
さんがつの はこいっぱいの ゆらぎかな季語=三月 ※3月は春といっても、雨も風も何気に多い。 ※年度替わりですね。きょうもありがとうございます。
27日(月)
境遇の似ればたじろぐチューリップ
黄色いチューリップが咲いていたよ。
きょうぐうの にればたじろぐ ちゅーりっぷ季語=チューリップ ※日本には江戸末期に渡来したとされています。 ※はじめてみた日本人は、どんな感想をもったのでしょうかね。 ※いまや多種多様。きょうもありがとうございます。
26日(日)
冷静は多くを含み牡丹の芽
寒に戻ったかのような静かな一日。
れいせいは おおくをふくみ ぼたんのめ季語=牡丹の芽 ※芽吹きは早いが、開花は4月中旬くらいから。 ※その色や形状からよく炎にたとえられます。 ※雨音も冷たい。きょうもありがとうございます。
25日(土)
緩やかに忘れな草の目覚めかな
藍色の小花よりもその名前の方が印象的ですね。
ゆるやかに わすれなぐさの めざめかな季語=勿忘草 ※ヨーロッパ原産のムラサキ科。正式には勿忘草と書きます。 ※園芸種は3月ごろから咲きはじめます。 ※花束にも。きょうもありがとうございます。
24日(金)
空耳の続きの見ゆる紫木蓮
空にまっすぐ、大きな花をいっせいにひらく。
そらみみの つづきのみゆる しもくれん季語=紫木蓮 ※ハクモクレンに遅れて咲きます。 ※単にモクレンといえば、ムラサキ色の花をさす。 ※壮観なもの。きょうもありがとうございます。
23日(木)
合点して急にさみしく猫柳
華やかだけど、花には見えない花。
がてんして きゅうにさみしく ねこやなぎ季語=猫柳 ※見た目はぜんぜん異なりますが、ヤナギの一種。 ※猫の毛のような銀色の花穂(かすい)が目を引きます。 ※陽光にきらきら。きょうもありがとうございます。
22日(水)
偶然の告白めいてクロッカス
アンバランスで、ちょっとばかり神経質そうにもみえる。
ぐうぜんの こくはくめいて くろっかす季語=クロッカス ※短い茎に優勝カップのような花。春咲きと秋咲きがあります。 ※春をクロッカス(ラテン語)と呼び、秋はサフラン(オランダ語)と呼びます。 ※日当りのよい場所に咲く。きょうもありがとうございます。
21日(火)
思い付くままに三椏花となる
遠目には小さな蜂の巣が無数にぶら下がっているかのよう。
おもいつくままに みつまた はなとなる季語=三椏の花 ※それぞれの枝先に黄色い花が丸く群れて咲きます。 ※枝先がすべて、必ず三つに分かれています。 ※識別しやすい花木です。きょうもありがとうございます。
20日(月)
未練より未練は生まれヒヤシンス
群がり咲く、ひとつひとつを見れば、小さなユリの花のよう。
みれんより みれんはうまれ ひやしんす季語=ヒヤシンス ※もとはギリシャ地方の野生種で、青紫色の花は原種に近い。 ※園芸種は黄、白、ピンクなどカラフルで、香りも良い。 ※春分の日ですね。きょうもありがとうございます。
19日(日)
尻たたき迷うことなく桃の花
街中で見るものは、 花を愛でるための花モモ。
しりたたき まようことなく もものはな季語=桃の花 ※時期としてはウメ→モモ→サクラの順番で咲きます。※実際は混在していますけどね。 ※花モモの花色は、いわゆる桃色から白、紅、絞りまである。 ※たぶん、モモ。きょうもありがとうございます。
18日(土)
まざまざと揺れてもつれず雪柳
「えくぼ花」とも呼ぶそうだ。でも、たぶん、通じない。
まざまざと ゆれてもつれず ゆきやなぎ季語=雪柳 ※庭や公園など観賞用の花木として広く親しまれています。 ※細くしなやかな枝に、たくさんの白い小花が、それこそ降り積もる雪のような美しく咲く。 ※小米花、小米桜とも。きょうもありがとうございます。
17日(金)
窮屈な彼岸桜や水くさし
暑さ寒さも彼岸まで。 毎年この言葉に、感心するというかなんというか、じつに見事と思います。
きゅうくつな ひがんざくらや みずくさし季語=彼岸桜 ※彼岸の頃に咲くからヒガンザクラ。淡いピンクの花色をしています。 ※少し前から咲いている濃いピンクのサクラは、カンヒザクラ(寒緋桜)という種類。名前からしてまぎらわしい。 ※彼岸入り。きょうもありがとうございます。
16日(木)
欠伸より鶯の声調いぬ
窓を開けたら ウグイスの初音が聞こえてきました。
あくびより うぐいすのこえ ととのいぬ季語=鶯 ※はじめて聞くホーホケッキョの声が、初音(はつね)。 ※東京ではだいたいこの時期。早いところでは2月頃から。 ※別名は春告鳥。きょうもありがとうございます。
15日(水)
菜種梅雨忘れまじとて爪を噛む
「大恩は忘れる」、 たしかに、そんなものだと思う。
なたねづゆ わすれまじとて つめをかむ季語=菜種梅雨 ※菜の花の咲く頃の、長雨、やさしい雨、恵みの雨。 ※でも寒かったですね。きょうもありがとうございます。
14日(火)
白旗は大きく降れよなずな咲く
ぺんぺん草のこと。薺だけでは新年の季語。
しろはたは おおきくふれよ なずなさく季語=薺の花 ※小さな白い花が茎の頂で密集するように咲きます。 ※荒れ地にも群生するから、貧乏草ともいうそうだ。 ※見かけるようになった。きょうもありがとうございます。
13日(月)
「信じる」は容易くはなし土佐水木
咲きはじめは特撮映画の何かみたい。
しんじるは たやすくはなし とさみずき季語=土佐水木 ※書いて字のごとく、土佐(高知県)にだけ自生するマンサク科の落葉低木。でも、ミズキの仲間ではないのよ。 ※ひとつのつぼみから、7つ、8つと黄色い花が束となって突如としてあらわれます。 ※庭木や街路樹、公園などに植えられています。 ※シベは赤い。きょうもありがとうございます。
12日(日)
青空を駆け出す如くさんしゅゆ
「さんしゅゆ」、平仮名にするとなんか妙だね。
あおぞらを かけだすごとく さんしゅゆ季語=山茱萸 ※満開になると木全体が黄色く見える。 ※別名を春黄金花(はるこがねばは)といいます。 ※咲きはじめ。きょうもありがとうございます。
11日(土)
春の日の机の上を転がりぬ
空論より空想かな。
はるのひの つくえのうえを ころがりぬ季語=春の日 ※春の日差しもいえば、春の一日をいうことも。 ※きょうもありがとうございます。
10日(金)
人生の斜め後ろにシクラメン
ふつうに見えるけれど、まあふつうじゃない。
じんせいの ななめうしろに しくらめん季語=シクラメン ※上向きの花のようで、じつは花弁が反りかえっています。 ※紅色の花はまるで炎のようで、篝火草とも呼ばれます。 ※白もピンクも八重もある。きょうもありがとうございます。
9日(木)
右の手のつめたさ残る薄紅梅
今日は「ありがとうの日」なのだそうだ。
みぎのての つめたさのこる うすこうばい季語=薄紅梅 ※紅梅は白梅よりも開花が若干遅いと言われています。 ※薄紅梅は艶やかだけど静かな花だと思います。 ※39(サンキュー)なのだ。きょうもありがとうございます。
8日(水)
方便の即ち暗し春の雪
くじ引きみたいなもの、かもしれない。
ほうべんの すなわちくらし はるのゆき季語=春の雪 ※はらはらとすぐに消えてしまう淡い雪。 ※空が明るいときもあれば、暗いときもある。 ※大きくて重みのある牡丹雪も春の雪。温かいときの雪。 ※当たり外れがある。きょうもありがとうございます。
7日(火)
欲すれば緩みにまかせ冴え返る
ぱらぱらと雪が舞ったよ。
ほっすれば ゆるみにまかせ さえかえる季語=冴え返る ※春を感じはじめたころに、また寒さが戻ること。 ※冬より寒いかも。きょうもありがとうございます。
6日(月)
あんパンのへそ真っ直ぐに白木蓮
一斉に咲き、ともすればすぐに黄ばんでしまう。
あんぱんの へそまっすぐに はくもくれん季語=白木蓮 ※モクレンの一種で白い花を付けます。 ※紫木蓮(しもくれん)の木より背が高く、開花も早い。 ※モクレンの仲間は、地球上で最も古い花木なのだとか。 ※彼岸桜も咲きはじめた。きょうもありがとうございます。
5日(日)
暮らしぶり馴染めば甘く沈丁花
つぼみは赤く、開けば白い花。
くらしぶり なじめばあまく じんちょうげ季語=沈丁花 ※主に香りを楽しむ花で、遠くからでもよく匂います。 ※星型の小さな花が毬のように密集し、可愛らしく咲きます。 ※ぽつぽつ咲きはじめたよ。きょうもありがとうございます。
4日(土)
漫然と偏りやすく諸葛菜
かたすみに咲きはじめました。
まんぜんと かたよりやすく しょかつさい季語=諸葛菜 ※紫色の十字の花。どこかスミレに似た花です。 ※名前は三国志の英雄・諸葛孔明に由来します。 ※3月ごろに咲きはじめ、いたるところで群生します。 ※やや雑草かも。きょうもありがとうございます。
3日(金)
平日は平日として雛の日
言われていみれば。 端午の節句は祝日で、桃の節句は平日ですよね。
へいじつは へいじつとして ひいなのひ季語=雛の日 ※3月3日は雛祭り。旧暦なら桃の花の盛りのころです。 ※雛祭りには桃の花。きょうもありがとうございます。
2日(木)
隙あらば春雨のごと忘れけり
思いのほか空が暗くなることも。
すきあらば はるさめのごと わすれけり季語=春雨 ※春雨は古くから、しっとりとした雨、やさしい雨、やわらかな雨、そんなイメージ。 ※恵みの雨というもの。きょうもありがとうございます。
1日(水)
たしなめてざらつく舌よ落椿
ツバキの場合は、散るではなく、落ちる。
たしなめて ざらつくしたよ おちつばき季語=落椿 ※寒い時期から咲いていますが、花の盛りは3月です。 ※花期がかなり長く、散るときは花ごとぽとりと落ちます。 ※独特な花。きょうもありがとうございます。