今日の俳句、こうのこうき
2017年9月
30日(土)
雑念は余白のごとく杜鵑草
字だけ見ると いろいろ、まぎらわしい。
ざつねんは よはくのごとく ほととぎず季語=杜鵑草 ※ユリに似た小ぶりの花。 ※紫色の花に見えますが、地色は白。無数の紫の斑点がある。 ※花ではなく草。杜鵑花と書けば初夏の「さつき」のこと。 ※鳥も「杜鵑」と書くことも。きょうもありがとうございます。
29日(金)
功罪を紡ぎ直せば小紫
山の木がムラサキシキブ。 園芸種がコムラサキ。
こうざいを つむぎなおせば こむらさき季語=小紫 ※3ミリほどの小さな球形の実で、色は紫そのもの。 ※季語としては小式部が正しい。手持ちの季語集にコムラサキでの記載はなし。 ※ただし植物図鑑等では小紫が正式名で、別名がコシキブです。 ※つまりは同じもの。きょうもありがとうございます。
28日(木)
ものぐさのように俯く花梨の実
バラ科の植物で 表面がボコボコとゆがんでいます。
ものぐさのようにうつくむ かりんのみ季語=花梨 ※夏から実をつけ晩秋ごろに黄色く熟します。 ※リンゴやミカンのようにぶら下がる付き方ではない。 ※果実はかたくて不味く生食には向かない。 ※香りはよい。きょうもありがとうございます。
27日(水)
あきらめてトウモロコシとなりにけり
あのひげと実は、じつは同数。 同じ数だけあるんです。実際に数えたことはないけどね。
あきらめて とうもろこしと なりにけり季語=玉蜀黍 ※日本での本格的な栽培は明治時代。 ※北海道の開拓にともない広まったようです。 ※長いひげはめしべの一部(花柱)なんですって。 ※漢字で書けない。きょうもありがとうございます。
26日(火)
甲虫の怒りにも似て曼珠沙華
むくろにすら光沢がある。死んでることは感じでわかる。
こうちゅうの いかりにもにて まんじゅしゃげ季語=曼珠沙華 ※マンジュシャゲの見ごろは彼岸ごろ。色も褪せはじめた。 ※花のあとにたくさんの細い葉を出します。 ※葉は枯れることなく冬を越して、春になって枯れます。 ※球根植物です。きょうもありがとうございます。
25日(月)
愁思かな送信文に(笑)
我が家の冷蔵庫には、 「堪忍五両、思案十両」 という言葉が貼ってある(笑)。
しゅうしかな そうしんぶんに かっこわらい季語=愁思 ※秋の物思い。いろいろと考えさせるのが、この時期。 ※お疲れ気味のよう。きょうもありがとうございます。
24日(日)
地虫鳴く責めればふえる醜さに
秋の夜はいろんな虫の声が聞こえます。
じむしなく せめればふえる みにくさに季語=地虫鳴く ※ケラなどの土の中で鳴く虫の声のこと。 ※蚯蚓(みみず)鳴く、螻蛄(けら)鳴くとほぼ同意の季語。 ※幻想も含むかも。きょうもありがとうございます。
23日(土)
裏切りはうつらうつらの秋の水
ポットのお湯も ぬるくなるのが、はやくなりました。
うらぎりは うつらうつらの あきのみず季語=秋の水 ※秋の水は、冬に向かって澄みはじめ、徐々に冷たさを感じるようになります。 ※川や湖、沼などでなくとも、生活の中の水でもよい。 ※風呂の残り湯ですら。きょうもありがとうございます。
22日(金)
ありもせぬ話あります秋彼岸
秋の彼岸はわかりやすい。 曼珠沙華が咲くから。
ありもせぬ はなしあります あきひがん季語=秋彼岸 ※秋分の日を中心に前後3日を含む1週間が秋の彼岸です。 ※土曜日が秋分の日。きょうもありがとうございます。
21日(木)
コスモスのまだ揺れている人の好さ
メキシコ産の一年草の花。毎年植えているの?
こすもすの まだゆれている ひとのよさ季語=コスモス ※キク科。優しい姿に似合わず、生命力が強い。 ※とにかく強い。きょうもありがとうございます。
20日(水)
つまらない人にすなわち秋夕焼
猫に小判、豚に真珠。なんちゃらにナンチャラ。
つまらないひとに すなわち あきゆうやけ季語=秋夕焼 ※冬に向かって空気が澄み始めることから、秋は夕焼けが美しい(といわれています)。 ※秋は夕焼けが美しければ次の日は晴れ。夏なら大荒れ。昔からの言い伝え。 ※明日は晴れみたい。きょうもありがとうございます。
19日(火)
トイレットペーパーの芯に似て秋
役目を終えれば、空っぽ。
といれっとぺーぱーの しんににて あき季語=秋 ※ぽっかり。きょうもありがとうございます。
18日(月)
のけぞりて台風一過ここにあり
真夜中の風はすさまじかった。 目が覚めたら暑かった。
のけぞりて たいふういっか ここにあり季語=台風 ※台風一過は、台風の過ぎた後は一転して上天気になること。 ※「台風の目」は季語だけど、「台風一過」は季語じゃない。 ※かつて台風一家と思ってた。きょうもありがとうございます。
17日(日)
台風に用心せよと飯を盛る
ネットで話題になっていましたが、9月17日は台風襲来の特異日(統計的に台風の多い日)なんですってね。
たいふうに ようじんせよと めしをもる季語=台風 ※記憶にないけど迷惑だ。きょうもありがとうございます。
16日(土)
いちいちが甘き顔してうすら寒
「損せぬ人に儲けなし」とはいうけれど‥‥ 「貧乏暇なし」なら、今も実感しているぞ。
いちいちが あまきかおして うすらさむ季語=うすら寒 ※ちょっとした上着がほしい寒さ。文字通りうっすらと寒い。 ※主題季語は「うそ寒」。ほぼ同じ意味で「やや寒」「そぞろ寒」などがあります。 ※むずかしいもの。きょうもありがとうございます。
15日(金)
食欲はやっぱり落ちぬ曼珠沙華
秋の彼岸が近づくと いっせいに咲きはじめます。
しょくよくは やっぱりおちぬ まんじゅしゃげ季語=曼珠沙華 ※天界に咲くとも言われる印象的な赤い花。 ※炎にも例えられる。きょうもありがとうございます。
14日(木)
静けさや林檎の季節わたしにも
リンゴに袋がけをするのは表面の色つやをよくするためのひと手間。 そのため無袋栽培されたものに、「サン」の名が付くそうだ。
しずけさや りんごのきせつ わたしにも季語=林檎 ※早いものでは8月下旬ごろから出荷がはじまります。 ※リンゴの美味しい季節は9月~11月です。 ※太陽に当たれば、美しくはないが蜜や甘みが増してくる。 ※わかりやすい。きょうもありがとうございます。
13日(水)
蓮の実のぽかりと開いた自由かな
レンコンの花の実です。 レンコンはハスの球根です。
はすのみの ぽかりとあいた じゆうかな季語=蓮の実 ※アニメの蜂の巣をひっくり返したような花托(かたく)に、ピストルの弾のような実が詰まっています。 ※熟れると飛び出す。きょうもありがとうございます。
12日(火)
悪人のなき物語り秋の蝶
悪人のいない物語といえば、 タイムリーなのが朝ドラ「ひよっこ」でしょうか。 毎日欠かさず、かなりおもしろい。
あくにんのなき ものがたり あきのちょう季語=秋の蝶 ※清楚な感じが秋の蝶。アゲハのような大きなものは夏蝶。 ※穏やかに。きょうもありがとうございます。
11日(月)
マネキンの腕より秋のはじまりぬ
マネキンに長袖の服を着せているところをみた。 腕を取り外した状態でまず着せて、服の衿元から腕を突っ込んで取り付けていたよ。
まねきんの うでよりあきの はじまりぬ季語=秋 ※すっかり秋らしくなったけれど、日中はまだ夏模様。 ※なるほど!、と思った。きょうもありがとうございます。
10日(日)
焦がれたるかたちの弱さ秋の雲
「旅心を誘う」と言われれば、そんな気もする。
こがれたる かたちのよわさ あきのくも季語=秋の雲 ※晴れ渡れば空は高く、自然雲の位置もはるか上空に感じる。 ※ありありと白く、そのかたちは変化に富んでいる。 ※風の吹くまま。きょうもありがとうございます。
9日(土)
正解のなきままたどる天の川
俳句では天の川は天の川。 たいていは七夕伝説とは別もの、として詠まれます。
せいかいの なきままたどる あまのがわ季語=天の川 ※昔から秋がもっとも見えやすい、とされています。 ※見えますか。きょうもありがとうございます。
8日(金)
争いが匂いとなりぬ花すすき
花に見えない花。
あらそいが においとなりぬ はなすすき季語=芒 ※どこにでも生えている草なのに、風情がある。 ※動物の尻尾に見立てて尾花とも呼ばれます。 ※花芒は副題。きょうもありがとうございます。
7日(木)
肩書はひとつでけっこう草の花
秋の花の色は、 青や紫などの寒色系が多いらしい。
かたがきは ひとつでけっこう くさのはな季語=草の花 ※春は木の花、秋は草の花。 ※キキョウとかね。きょうもありがとうございます。
6日(水)
罪悪となりてたまさか青い虫
蝉時雨と同じように、一斉に鳴く様子を虫時雨ともいう。
ざいあくとなりて たまさか あおいむし季語=虫 ※秋に鳴く虫のことを、俳句では「虫」の一語で表します。 ※和歌からの伝統だそうです。 ※鳴くのはすべて雄。きょうもありがとうございます。
5日(火)
秋日和まわりくどさも新しく
久しぶりに、気持ちよく晴れましたね。
あきびより まわりくどさも あたらしく季語=秋日和 ※秋らしく、過ごしやすい天気のこと。 ※単なる晴れは、秋晴れ。きょうもありがとうございます。
4日(月)
ほころびを抓むが如く秋の暮
これといった花もないし、まだ紅葉もしていない。
ほころびを つまむがごとく あきのくれ季語=秋の暮 ※秋の夕暮れのことです。どこかもの寂しい。 ※庭園も寂しい感じ。きょうもありがとうございます。
3日(日)
秋刀魚焼く気になることは前のめり
一般的にも、季節感のある魚です。毎年、ニュースにもなるし。
さんまやく きになることは まえのめり季語=秋刀魚 ※値段が安く、昔から庶民の魚とされてきましたが‥‥ ※安いものは解凍もの!? きょうもありがとうございます。
2日(土)
面倒はなきことにして未草
未は十二支のひとつ。昔の時間の数え方にも用いられました。
めんどうは なきことにして ひつじぐさ季語=未草 ※スイレンのこと。ハスに似た花で池など水面の上に咲く。 ※未の刻(午後2時)ごろに咲くと言われています。 ※まだ咲いています。きょうもありがとうございます。
1日(金)
あれこれと二百十日の肩のこり
この日だけは、 「厄日」すら季語になります。
あれこれと にひゃくとうかの かたのこり季語=二百十日 ※2月4日もしくは5日の立春から数えて210日目のこと。 ※この日は台風などの災害の多い日として昔から知られています。まさに「厄日」ですね。 ※関東大震災もこの日。きょうもありがとうございます。