• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2018年10月

31日(水)

ひと先ずはあえて冷まじ朝ぼらけ

このところ秋晴れが続きますが、
朝はたいてい、心配なくらいの曇り空。

ひとまずは あえてすさまじ あさぼらけ
季語=冷まじ
※真冬っぽい響きですが、晩秋の季語です。
※涼しいを通り越して、やや寒いくらいの感覚をいいます。
※「朝ぼらけ」は、夜明けのこと。
※冬間近という感じ。きょうもありがとうございます。

30日(火)

秋雲や西に迷えばのびのびと

夕焼け空に
天の川のような雲が
さやさやと浮かんでいたよ。

しゅううんや にしにまよえば のびのびと
季語=秋雲
※「あきぐも」ではなく「しゅううん」です。
※秋の雲のこと。秋は鰯雲などの特徴的な雲が多い。
※緩やかに流れる。きょうもありがとうございます。

29日(月)

松茸が並んでいるぞだからなに

「秋の味覚」のひとつ、マツタケ。
アメリカ産(香りは弱いらしい)
というのもあるんですね。

まつたけが ならんでいるぞ だからなに
季語=松茸
※マツ林にしか自生せず、人工栽培もできない、きのこの王様。
※すべて天然もののため、いまでは中国産や韓国産などが多い。
※国産はほんと高価だね。きょうもありがとうございます。

28日(日)

秋茄子と一円玉を拾いけり

「秋なすは嫁に食わすな」
という俗語は、今さらですね。

あきなすと いちえんだまを ひろいけり
季語=秋茄子
※秋になるナスは、やや小粒だけど美味。
※一円玉もお金だよ。きょうもありがとうございます。

27日(土)

秋簾さりげなさより失せにけり

夏の日差しには、
あんなに馴染んでいたのにね。

あきすだれ さりげなさより うせにけり
季語=秋簾
※残暑の日差しを避けるために外せない、すだれも。
※真夏の太陽にくたびれてしまった、すだれも。
※夏の間の雨風にさらされ傷んだ、すだれも。
※なにか残念なもの。きょうもありがとうございます。

26日(金)

ものわかりよさげにつとめ水は澄む

近くの公園の池ですら
水底まで見えるかのようです。

ものわかり よさげにつとめ みずはすむ
季語=水澄む
※秋は水の透明度が増すことを指す季語です。
※川や沼、池、さらには水道水まで、海水以外の水。
※長雨も台風も、もうない? きょうもありがとうございます。

25日(木)

引け目という目玉ころがる月夜かな

きれいな月でしたが、
なんかおどろおどろした色だなぁ、
と、思ったりなんかしたよ。

ひけめという めだまころがる つきよかな
季語=月夜
※秋は大気が澄むため、月がきれいに見えるといわれています。ので、大昔から月といえば秋。
※満月の夜。きょうもありがとうございます。

24日(水)

埋め合わせするでもなしに秋うらら

昨夜、慌ててコタツを出したけど、
思いがけず、あっぱれな秋晴れでした。

うめあわせ するでもなしに あきうらら
季語=秋麗
※「麗(うらら)か」はもともと春の季語で、明るく穏やかなこと(様子)を指します。そんな春のような日が秋麗です。
※空も水も。きょうもありがとうございます。

23日(火)

霜降や真面目というをこじらせる

所によっては、
もう霜が降りはじめたのでしょうか。

そうこうや まじめというを こじらせる
季語=霜降
※晩秋最後の二十四節気で、立冬の15日前にあたる。またはこの日から立冬までの15日間をいう。
※「霜が降りはじめるころ」という意味ですが、東京ではもうひと月ほど待たないと。
※つまりは、冬の兆し。きょうもありがとうございます。

22日(月)

身にしみて忌々しさにまたしみて

今年は冬も、異常気象とかで、
そうとうに寒いのですかね?

みにしみて いまいましさに またしみて
季語=身にし入む
※秋の冷たい空気が身にしみるということ。
※身体的なことだけでなく、心情にも使われる。
※もともとは秋の「哀れ」を表現する和歌の言葉。
※ぞわぞわするかのよう。きょうもありがとうございます。

21日(日)

鼻かんでゆらゆらゆらと秋深し

日中は23℃もあったけれど、
十三夜だった、らしい。

はなかんで ゆらゆらゆらと あきふかし
季語=秋深し
※秋が深まること。すっかり秋だなという感じ。
※気づかなかった‥‥。きょうもありがとうございます。

20日(土)

ずっしりと音たくましく南瓜切る

見ているだけで怖い。
まるで力任せのように‥‥。

ずっしりと おとたくましく かぼちゃきる
季語=南瓜
※よく目にするのは「えびすかぼちゃ」と呼ばれる品種。
※国産ものの旬は5月~9月といわれています。
※切らなければ、そのまま1~2か月は保存できるのだとか。
※すべておまかせ。きょうもありがとうございます。

19日(金)

寝て覚めて寝て覚めてしてそぞろ寒

なんとなく読み下しにくい。
30回くらい「そぞろざむ、そぞろざむ‥‥」
と、つぶやいてみる。

ねてさめて ねてさめてして そぞろざむ
季語=そぞろ寒
※秋も深くなり、「寒いかも」と感じるくらいの寒さ。
※そぞろは「そぞろ歩き」の漫ろと同じ。漫ろ=なんとなく、わけもなく。
※「そぞろざむ」だ。きょうもありがとうございます。

18日(木)

ゆるゆると言ほぐように冬用意

うちの奥さんがご機嫌に
ファッション通販サイトをのぞいていた。
日に日に寒くはなるが、女性にとっては、
おしゃれの楽しい時期でもあるようだ。

ゆるゆると ことほぐように ふゆようい
季語=冬用意
※冬を迎えるための準備など。主季語は冬支度です。
※「支度/仕度」より「用意」の方が穏やかな感じがある。
※言ほぐ=お祝いを述べる。喜びを言葉にする。
※おしゃれな男性も。きょうもありがとうございます。

17日(水)

「ばか」という言葉よぎったきのこ飯

まつたけじゃないよ。
まいたけとしめじだよ。

「ばか」という ことばよぎった きのこめし
季語=茸飯
※キノコを焚き込んだご飯のこと。
※「匂い松茸、味しめじ」。見つけると舞うほどにうれしいから「まいたけ」。キノコもいろいろ。
※美味しくて食べ過ぎた。きょうもありがとうございます。

16日(火)

目を細め細めたときの秋の暮れ

そろそろコタツ?
まだはやい?

めをほそめ ほそめたときの あきのくれ
季語=秋の暮
※「意味もなく、なんだかさみしい。」というのが、いわゆる「秋の夕暮れ」の大昔からのイメージ。
※清少納言とか、定家とか。きょうもありがとうございます。

15日(月)

祈りとも疲れともみえ桜紅葉

サクラの紅葉は時期的に早く、
気づけば半ば落葉していることも。

いのりとも つかれともみえ さくらもみじ
季語=桜紅葉
※カエデにも劣らない美しさがありますが、その期間が短い。
※サクラだけに。きょうもありがとうございます。

14日(日)

美味しさはあたまとこころ今年米

今日から我が家も、新米です。

おいしさは あたまとこころ ことしまい
季語=今年米
※新米のこと。新米が出回ると、昨年の米は古米となる。
※届いたことに喜び、味わい楽しむ気持ちが「新米」。
※消費者としての。きょうもありがとうございます。

13日(土)

結び目は容易くほどけ濃竜胆

この時期、花屋さんで
置いていないところは、たぶんない。

むすびめは たやすくほどけ こりんどう
季語=竜胆
※青紫色した美しい花。日があるときに開き、夜や雨、曇り空では開かない。
※古くから切り花として人気のある秋の名花。
※紫が濃いから濃竜胆。きょうもありがとうございます。

12日(金)

あれこれと知らぬふりして夜寒かな

あれだね、
さすがに中高生は
学ランを着ていたね。

あれこれと しらぬふりして よさむかな
季語=夜寒
※晩秋、冬にはまだ早いが、深夜ともなるとさすがに寒い。
※半袖姿も多かった日。きょうもありがとうございます。

11日(木)

りんごにも裏と表と手のひらと

安いリンゴは、袋がけをしていない?

りんごにも うらとおもてと てのひらと
季語=林檎
※通常は皮の色つやをよくするため、袋がけをして栽培する。
※直接日光にさらすと、まだらで色つやは落ちるが、その分甘みが増すという。
※好みの問題ですね。きょうもありがとうございます。

10日(水)

柿実るくたくたとなるまで実る

今年もずっと枝先に
残されたままなのかしら、
などと、近くの柿の木を見上げたりする。

かきみのる くたくたとなるまで みのる
季語=柿
※この時期の風物詩。街中でも鈴なりの柿を目にする。
※庭木は甘柿が多いらしい。きょうもありがとうございます。

9日(火)

華やかに着飾る自由初紅葉

カエデの葉が一枚、
紅葉しはじめていましたよ。

はなやかに きかざるじゆう はつもみじ
季語=初紅葉
※色づきはじめたばかりのモミジをいう。
※または、その年にはじめて出会ったモミジのこと。
※今話題の塩害? きょうもありがとうございます。

8日(月)

いろいろと持ちつ持たれつ秋の風

どんな季節にも、
心地よい風もあれば、
そうでない風もある。

いろいろと もちつもたれつ あきのかぜ
季語=秋の風
※秋らしい風が秋の風。きょうもありがとうございます。

7日(日)

天高し面倒くさいが面倒だ

10月なのに30℃越えの
夏日だった一日。

てんたかし めんどうくさいが めんどうだ
季語=天高し
※秋は空気が澄んでいるため、空が高く感じられる。
※今さらに暑かった。きょうもありがとうございます。

6日(土)

思い出をくさすがごとく芋洗う

調理するにも、ひと手間多くて、
ちょっとめんどくさい。

おもいでを くさすがごとく いもあらう
季語=芋
※俳句の中で「芋」という場合は里芋のこと。今どきの生活感とはズレてますけどね。芋掘りといえば、さつま芋だし。
※旬は9月~11月。縄文時代から食される野菜です。
※「くさす(腐す)」は、悪く言う、けなすの意。
※芋類だけど低カロリ~。きょうもありがとうございます。

5日(金)

苦瓜は刻んでみても苦い瓜

苦いのは未成熟の実を
食べているから。
熟せばとても甘くなるそうだ。
知らなかった。

にがうりは きざんでみても にがいうり
季語=苦瓜
※ゴーヤのこと。「ゴーヤ」は本来、沖縄の方言でした。
※日本の主な生産地は、沖縄や宮崎、鹿児島、そして群馬など。
※熟すとオレンジ色になる。きょうもありがとうございます。

4日(木)

花咲くも咲かぬもまじえ草紅葉

本格的な紅葉はまだ先ですが、
色がだんだん変わりはじめるのだなぁ、
という感じははじまっている。

はなさくも さかぬもまじえ くさもみじ
季語=草紅葉
※あらゆる草が木々と同じように紅葉(黄葉)します。
※葉先から色づく。きょうもありがとうございます。

3日(水)

先んじて金木犀の香と出会う

うちのご近所のキンモクセイは
どういうわけか香りがしないんですよね。
不思議なことに。

さきんじて きんもくせいの かとであう
季語=金木犀
※オレンジ色の小さい花を無数につける。白い花は銀木犀。
※本来、甘い香りは遠くからでもわかる。そのため秋の訪れを告げる花ともいわれている。
※毎年なんです。きょうもありがとうございます。

2日(火)

きゅうきゅうと顔つき合わす鰯雲

いわし雲は一面白く、
色の濃淡、影がほぼありません。

きゅうきゅうと かおつきあわす いわしぐも
季語=鰯雲
※さざ波状の雲がいわしの大群のように見えることから。
※いわしの大漁の兆しとも、雨の前兆ともいわれています。
※秋の雲は空高い。きょうもありがとうございます。

1日(月)

たましいと呼ぶには軽く蟷螂は

えんぴつのような細長いものが
電柱を上へ上へと登って行く。
なにかと思ったら、大きなカマキリだった。

たましいと よぶにはかるく かまきりは
季語=蟷螂
※三角形の小さい頭に、不釣り合いなほど長い体。
※肉食。人間にとっては害虫を食べてくれる益虫。
※鎌を使っていた。きょうもありがとうございます。