今日の俳句、こうのこうき
2020年3月
31日(火)
日持ちせぬ愛想笑いと桜餅
ひもちせぬ あいそわらいと さくらもち季語=桜餅 ※塩漬けした桜の葉で包んだ、桜色のアン菓子。関東と関西では大分趣が異なります。薄皮でアンをロール巻しているのが関東風。おはぎのような丸い形をしているのが関西風。好みは人それぞれでしょうね。 きょうもありがとうございます。
30日(月)
占いの今日明日きのう桜散る
うらないの きょうあすきのう さくらちる季語=桜散る ※桜の花びらが散ることにも、落花、飛花、花吹雪などいろいろな表現があります。今まさに舞い散る花も、すでに散り敷いた花も、「散る桜」です。 きょうもありがとうございます。
29日(日)
ごぼごぼと風呂の水抜く春に雪
ごぼごぼと ふろのみずぬく はるにゆき季語=春の雪 ※春の雪は、水分が多く、溶けやすいのが特徴です。その分、今日のような「ぼた雪」とも呼ばれる大きな粒となりやすい。東京で桜の開花後の積雪は、じつに51年ぶりなのだとか。 きょうもありがとうございます。
28日(土)
休日は昼まで眠る春愁い
きゅうじつは ひるまでねむる はるうれい季語=春愁い ※春ゆえのもの憂い感じをいいます。気温差が激しかったり、曇りがちでなま暖かい日などが続くと、うっかりすると気分も重くなりがち。「コロナ疲れ」にご注意を。 きょうもありがとうございます。
27日(金)
散るまでの咀嚼の深き桜かな
ちるまでの そしゃくのふかき さくらかな季語=桜 ※サクラは離れてみるもの。とくにソメイヨシノは、満開時にある程度の距離を置いて眺めない限り、誰もがイメージするあのピンク色には見えないのではないでしょうか。 きょうもありがとうございます。
26日(木)
住み慣れてなずなの花に親しめり
すみなれて なずなのはなに したしめり季語=薺の花 ※道端や空き地などに自生する、かなり身近な草の花。またの名をペンペン草。まっすぐ伸びる茎の頂に小さい白い花を多数付けます。春の七草のひとつですが、食用するのは花の咲く前の若い葉っぱ。 きょうもありがとうございます
25日(水)
かき集めないものねだり花ずおう
かきあつめ ないものねだり はなずおう季語=紫荊 ※または花蘇枋と書きます。明るい赤紫色の小さい蝶型の花を葉に先駆けて枝いっぱいに付けます。遠目にも美しく、庭木として見かけます。 きょうもありがとうございます。
24日(火)
東京に花冷えの色差しにけり
とうきょうに はなびえのいろ さしにけり季語=花冷え ※桜の咲くころ、急激に冷え込むことを「花冷え」といいます。この時期は気温の変化が激しく、油断していると風邪を引くことにも‥‥。 きょうもありがとうございます。
23日(月)
諸葛菜数多と増えておとなしく
しょかつさい あまたとふえて おとなしく季語=諸葛菜 ※スミレに似た青紫色の花。庭や空き地、道端などに群生します。もともとは江戸時代に観賞用として中国から渡来したとか。物々しい名は、三国志の諸葛孔明に由来しています。 きょうもありがとうございます。
22日(日)
満ち足りて汚れを嫌う雪やなぎ
みちたりて よごれをきらう ゆきやなぎ季語=雪柳 ※小さな白い花をしなやかな枝に無数に付けます。満開ともなるとまるで雪を積もらせたかのように見えます。バラ科の落葉低木。 きょうもありがとうございます。
21日(土)
巣ごもりのかたち改め桜咲く
すごもりの かたちあらため さくらさく季語=桜 ※サクラの代名詞ともいえる染井吉野。気象庁が毎年発表する「さくらの開花宣言」の標本木もソメイヨシノです。江戸末期に誕生した園芸種で、明治時代以降に全国に広がりました。 きょうもありがとうございます。
20日(金)
迷いなく春分の日のあふれおり
まよいなく しゅんぶんのひの あふれおり季語=春分の日 ※国民の祝日。ちょうど春の彼岸の中日に当たります。この日を境にして、だんだんと昼の時間が長く(夜明けが早く、日暮れが遅く)なる、と言われています。 きょうもありがとうございます。
19日(木)
連翹のこと美しく乱れけり
れんぎょうの ことうつくしく みだれけり季語=連翹 ※垂れ下がるほど勢い良く伸びる枝に、黄色い小花を無数に群がり付けます。庭木として広く栽培されています。春の明るい日ざしに、いっそう輝くかのようにみえます。 きょうもありがとうございます。
18日(水)
膨らんではじけて夕日入り彼岸
ふくらんで はじけてゆうひ いりひがん季語=入り彼岸 ※彼岸入りのこと。先祖の供養や墓参りを行う彼岸は、そもそもは仏教由来の行事で、春と秋に2回、各7日間あります。その初日を「彼岸入り」と呼び、今年は昨日17日がそれに当たりました。 きょうもありがとうございます。
17日(火)
踏まれてもたんぽぽ黄色みな黄色
ふまれても たんぽぽきいろ みなきいろ季語=蒲公英 ※至る所に自生するタンポポ。現在では、在来種よりも帰化植物のセイヨウタンポポであることがふつうかも。もしも、小ぶりで少々地味な花であれば、それは在来種のひとつ、カントウタンポポかもしれません。 きょうもありがとうございます。
16日(月)
気分屋の気分を分かつ春二番
きぶんやの きぶんをわかつ はるにばん季語=春二番 ※春の嵐、強い南風のこと。春一番が立春後に初めて吹く強風なら、春二番は桜が咲く前に吹く強風です。ときには春三番、春四番と続くこともあるとか。 きょうもありがとうございます。
15日(日)
人ごみを避けて明るくさくら咲く
ひとごみをさけて あかるく さくらさく季語=桜 ※春の花といえば、桜。なかでもソメイヨシノが最も有名ですが、日本には地域に根差した多種のサクラが存在します。 きょうもありがとうございます。
14日(土)
ひとしきり眺めておりぬ春の雪
ひとしきり ながめておりぬ はるのゆき季語=春の雪 ※文芸的には、「淡雪」とも呼ばれるように、はかなく、やさしいイメージをまといます。真冬の雪のように積もることはありませんが、現実的には寒かったり、迷惑だったり、いろいろ。 きょうもありがとうございます。
13日(金)
彼岸桜そらぞらしさのほんのりと
ひがんざくら そらぞらしさの ほんのりと季語=彼岸桜 ※春のお彼岸の頃に咲くため「彼岸桜」といいます。ソメイヨシノのように、派手に枝を広げる感じではありません。 きょうもありがとうございます。
12日(木)
納豆に糸というもの暖かし
なっとうに いとというもの あたたかし季語=暖か ※春のぽかぽか陽気のこと。 きょうもありがとうございます。
11日(水)
抜かりなく愛想良さげに水温む
ぬかりなく あいそよさげに みずぬるむ季語=水温む ※何となく水が温かくなってきた、という感覚的な季語。真冬に比べて我慢できる程度になった、それだけでも十分にうれしい。川、湖、池、沼、生活用水を含む淡水全般を指します。海水は含まない。 きょうもありがとうございます。
10日(火)
導かれ真白なるもの白木蓮
みちびかれ ましろなるもの はくもくれん季語=白木蓮 ※通常の紫のモクレンよりも開花が早く、趣もだいぶ異なります。白い花が空に向かって、こずえいっぱいに開く様は優美かつ豪華。 きょうもありがとうございます。
9日(月)
つくつくと斜め上より月朧
つくつくと ななめうえより つきおぼろ季語=月朧 ※おぼろ月のこと。水蒸気で月がぼんやりと霞んで見える現象です。ちなみに同じ現象を、昼は「霞(かすみ)」と呼び、夜は「朧」と呼びます。そして、秋になると「霧」となります。理由はわかりません。 きょうもありがとうございます。
8日(日)
春の雨眠りに落ちるまでのこと
はるのあめ ねむりにおちる までのこと季語=春の雨 ※春雨(はるさめ)といえば、しとしと降る春らしい雨を指しますが、春「の」雨という場合は春に降る雨全般を指します。 きょうもありがとうございます。
7日(土)
黄梅のやけに明るく笑いおり
おうばいの やけにあかるく わらいおり季語=黄梅 ※鮮やかな黄色い花をしだれるように付ける、勢いのある落葉低木。別名を「迎春花」といいます。「黄梅」という名前ですが、梅ではなくモクセイの仲間。モクセイ科ですが、香りはありません。 きょうもありがとうございます。
6日(金)
軽んじる遠慮なき目に青き踏む
かろんじる えんりょなきめに あおきふむ季語=青き踏む ※青々とした草の萌え出る春の野山で遊ぶこと。野遊び。今どきは近くの公園をぶらぶらと散歩する程度、かもしれない。 きょうもありがとうございます。
5日(木)
足踏みに続きのありぬ筆の花
あしぶみに つづきのありぬ ふでのはな季語=筆の花 ※土筆(つくし)の別名です。筆のような頭の部分に胞子が詰まっています。花のような役割をする土筆のあとに、杉の葉のような杉菜が生えてきます。地下茎で繋がっていて、それぞれに役割があります。 きょうもありがとうございます。
4日(水)
気まずさのはじめとおわり余寒あり
きまずさの はじめとおわり よかんあり季語=余寒 ※残暑の冬版のような言葉です。単に春の寒さを報告するだけでなく、「いい加減にして!」的な感情も含まれているそうです。平安時代(中・後期?)からある言葉なのだとか。 きょうもありがとうございます。
3日(火)
さんしゅゆ咲いて我が意を得たるまで
さんしゅゆさいて わがいを えたるまで季語=さんしゅゆ ※漢字では「山茱萸」と書きます。原産地は中国や朝鮮半島。小さい黄色い花を細やかにたくさん付けます。満開となった姿をたたえてか、その別名を「春黄金花(はるこがねばな)」といいます。 きょうもありがとうございます。
2日(月)
三色すみれ明るく軽く都合よく
さんしょくすみれ あかるくかるく つごうよく季語=三色菫 ※パンジーのこと。北ヨーロッパ原産のスミレの仲間で、日本には江戸時代に渡来しました。基本の色は紫・黄・白の3色ですが、現在では多くの品種と色が存在します。 きょうもありがとうございます。
1日(日)
ひたすらに零れぬようにミモザ咲く
ひたすらに こぼれぬように みもざさく季語=ミモザ ※黄色いモヤモヤとした球状の花を細い枝にたくさん付けます。アカシアの一種で、おしゃれな景観樹として人気。切り花として花屋さんの店頭にも並びます。香りがよく香水の原料にもなる。 きょうもありがとうございます。