今日の俳句、こうのこうき
2020年4月
30日(木)
本を積む思わず知らず春惜しむ
ほんをつむ おもわずしらず はるおしむ季語=春惜しむ ※春は花の季節。そして、寒くもなく暑くもなく、過ごしやすい季節(と、されています)。そんな美しくも優しい春らしさを(少々感傷的に)惜しむこと。 きょうもありがとうございます。
29日(水)
旨いもの食べて忘れて昭和の日
うまいもの たべてわすれて しょうわのひ季語=昭和の日 ※もともとは昭和天皇の誕生日としての国民の祝日。昭和天皇の崩御により「みどりの日」となり、2007年より「昭和の日」となりました。 きょうもありがとうございます。
28日(火)
苧環の花や大きな感嘆符
おだまきのはなや おおきな かんたんふ季語=苧環の花 ※スイセンに似た形の青紫色のキンポウゲ科の花。5枚の花弁化したがく片が大きく開き、その中心に先端の白い筒状の本当の花があります。目立つような、目立たないような花です。 きょうもありがとうございます。
27日(月)
クレソンやこころにキズとか言っちゃって
くれそんや こころにきずとか いっちゃって季語=クレソン ※ヨーロッパ原産の野菜で、ワサビの仲間です。清流のほとりなどに群生します。サラダや肉料理の付け合わせとしてだけでなく、おひたしや鍋、味噌汁の具など、ふつうに幅広く使われています。 きょうもありがとうございます。
26日(日)
木も草も持ちつ持たれつ桜草
きもくさも もちつもたれつ さくらそう季語=桜草 ※花の形や色がサクラに似ているため桜草といいます。群生する日本の野生種は少なくなり、街中で見るものは園芸種。プリムラまたはセイヨウサクソウといい、白、紅、黄、紫など色も豊富です。 きょうもありがとうございます。
25日(土)
夕焼けにふれし満天星逆らわず
ゆうやけに ふれしどうだん さからわず季語=満天星(の花) ※ツツジの仲間ですが、花はスズランに似ています。可愛らしい白い壺形の花を無数にぶらさげて咲きます。秋には紅葉も美しく、垣根や植え込みなどでよく見かけます。 きょうもありがとうございます。
24日(金)
それとなく離れてみれば藤に風
それとなく はなれてみれば ふじにかぜ季語=藤 ※藤の花は古くから観賞用に棚仕立てにされます。薄紫色の蝶型の花を無数に付け、房状に長く垂れます。風によく揺れます。 きょうもありがとうございます。
23日(木)
連綿とこれからのこと春キャベツ
れんめんと これからのこと はるきゃべつ季語=春キャベツ ※通常3~5月に出回るキャベツのことです。ちなみに「キャベツ」だけでは、夏の季語。夏や冬に比べ、春キャベツは葉のやわらかさがまるで違います。 きょうもありがとうございます。
22日(水)
手にとってたんぽぽのわた進み出る
てにとって たんぽぽのわた すすみでる季語=蒲公英の絮 ※花の後にまん丸の白い綿毛をつくります。そして風に乗って飛んで行きます。 きょうもありがとうございます。
21日(火)
何食わぬ顔して白し蝶々かな
なにくわぬ かおしてしろし ちょうちょかな季語=蝶 ※蝶は春の季語です。越冬する蝶もいるなど春以外にも見られますが、花の季節に絵になる蝶の存在は欠かせません。 きょうもありがとうございます。
20日(月)
まじないの三周まわって花水木
まじないの さんしゅうまわって はなみずき季語=花水木 ※今や春の代表的な花木です。開花時期は4~5月で、季語としては夏。ピンクや白の彩りは葉が変形した4枚の苞(ほう)、じつは花ではありません。遠目には、まるで満開のサクラのようですよね。 きょうもありがとうございます。
19日(日)
魚屋の魚の札に春の文字
さかなやの さかなのふだに はるのもじ季語=鰆 ※魚へんに春と書いて「さわら」は、春の魚として知られています。スズキ目サバ科の海産魚で、全国的な旬は秋から春。古くから冠婚葬祭に欠かせない魚とされてきました。 きょうもありがとうございます。
18日(土)
雨あがる爪先立ちに春の星
日中は、ひどいどしゃ降り。
あめあがる つまさきだちに はるのほし季語=春の星 ※春の夜空に見える星々。春は星の輝きが柔らかく見えるという。 きょうもありがとうございます。
17日(金)
あれこれと詫びし残花のしおらしく
あれこれとわびし ざんかの しおらしく季語=残花 ※咲き残る桜の花のこと。若葉の中に埋れたピンクの花びらは、光りの加減によってグレーに見えることも。 きょうもありがとうございます。
16日(木)
飯事の散らかるごとく春の雲
ままごとの ちらかるごとく はるのくも季語=春の雲 ※春の空に浮かぶ雲のこと。輪郭のない柔らかそうな雲が代表的。 きょうもありがとうございます。
15日(水)
しっかりと転んで咲いて郁子の花
しっかりと ころんでさいて むべのはな季語=郁子の花 ※常緑の光沢のある葉が好まれ、フェンスやパーゴラなどに用いられます。アケビ科の花で、小さなハンドベルのような白い花を付けます。秋にはアケビに似た実をつけます。 きょうもありがとうございます。
14日(火)
強弱をつけ晩春の目鼻かな
きょうじゃくをつけ ばんしゅんの めはなかな季語=晩春 ※春の終りのこと。地域によりますが、暦の上では4月いっぱいが晩春にあたります。関東では、一般的には5月も春のうち、ですかね。 きょうもありがとうございます。
13日(月)
これだけは言うまいとして春あらし
これだけは いうまいとして はるあらし季語=春嵐 ※春の嵐であり、飛ばされそうな強風や突風をいう。雨を伴うことが多いようです。 きょうもありがとうございます。
12日(日)
春昼の息苦しさに日の匂い
しゅんちゅうの いきぐるしさに ひのにおい季語=春昼 ※明るくのどかな雰囲気のある春の昼間のこと。気温の変化に身体がなれず、少々けだるさを感じることもある。 きょうもありがとうございます。
11日(土)
桜蘂降る私がわたし甘やかす
さくらしべふる わたしがわたし あまやかす季語=桜蘂降る ※桜は花びらが散ると、赤いしべの部分もこぼれ落ちます。気づいたときには、地面が赤くなるほどに散り敷いていることも。すでに花びらに交じり散りはじめていますよ。 きょうもありがとうございます。
10日(金)
思い出を探り合うときつつじ咲く
おもいでを さぐりあうとき つつじさく季語=躑躅 ※春になると必ず目にする花木。山野に、庭に、街路に、公園にと日本中で咲きます。名所も多い。野生種、園芸種ともに種類が豊富で、サツキやシャクナゲも同じツツジの仲間です。 きょうもありがとうございます。
9日(木)
寝て起きてからりと笑い八重桜
ねておきて からりとわらい やえざくら季語=八重桜 ※八重咲きのサクラのこと。ふっくらとまりのように咲き、満開ともなるとその重みで枝がしなるほど。散る際の量もまた見事。他のサクラよりも少し遅れて開花します。 きょうもありがとうございます。
8日(水)
言霊の放物線に春の月
4月8日はお釈迦様の誕生日といわれる日で、今年はスーパームーンの日と重なりました。
ことだまの ほうぶつせんに はるのつき季語=春の月 ※春にのぼる月全般のこと。古くから春の月といえばおぼろ、霞がかったぼんやりとした月であることが多く、そして好まれました。 きょうもありがとうございます。
7日(火)
朝起きて手洗いうがい風光る
ついに「緊急事態宣言」がでた日
あさおきて てあらいうがい かぜひかる季語=風光る ※風すらも光ってみえるような、春の明るい日差しをいいます。 きょうもありがとうございます。
6日(月)
うっかりとくしゃみもできずチューリップ
うっかりと くしゃみもできず チューリップ季語=チューリップ ※春の花壇に欠かせない明るい花。童謡の中のチューリップ以上に、今どきは色も形も多種多様で本当に驚きます。 きょうもありがとうございます。
5日(日)
歩いても走ってみても花曇り
あるいても はしってみても はなぐもり季語=花曇り ※桜の咲くころの曇り空のこと。どことなくソメイヨシノの花もくすんで見えます。 きょうもありがとうございます。
4日(土)
夕焼けに落ち着くまでの飛花落花
ゆうやけに おちつくまでの ひからっか季語=飛花落花 ※風に舞う桜の花びらと、散り敷く花びら。どちらにも趣があります。本来はそれぞれ独立した季語です。一般的な季語集では、「落花」が主季語で「飛花」はその傍題となっています。 きょうもありがとうございます。
3日(金)
半身は線引きつまり長閑とも
はんしんは せんびきつまり のどかとも季語=長閑 ※晴れ渡る春の日の穏やかな様子、または気分を言い表します。寒さが緩めば誰しもほっとします。 きょうもありがとうございます。
2日(木)
永き日に埋もれるごとく歩きけり
ながきひに うもれるごとく あるきけり季語=永き日 ※夜よりも昼の時間が長くなる春分以降のこと。日ごとに「もう夕方か!」と焦ることも、何となくがっかりする気持ちも薄らいでいく。 きょうもありがとうございます。
1日(水)
一途さも回りくどさも花の雨
いちずさも まわりくどさも はなのあめ季語=花の雨 ※桜の咲く時期の雨のこと。または、桜に降りかかる雨。 きょうもありがとうございます。