今日の俳句、こうのこうき
2020年5月
31日(日)
いろいろを正しく恐れ額の花
いろいろを ただしくおそれ がくのはな季語=額の花 ※アジサイの原型とも言われています。一般的にはガクアジサイと呼びます。こんもりと丸くはならず、その縁のみをまさに額縁のように装飾花で彩ります。 きょうもありがとうございます。
30日(土)
あじさいの今日が昨日で今日が明日
あじさいの きょうがきのうで きょうがあす季語=紫陽花 ※晴れの日よりも、雨に濡れた姿の方が絵になる花。もとは日本原産、かのシーボルトにより海外に渡り、たくさんの園芸品種が生まれました。咲きはじめましたね。 きょうもありがとうございます。
29日(金)
冒険のつづきのつづく立葵
ぼうけんの つづきのつづく たちあおい季語=立葵 ※毎年同じ場所に咲く多年草。直立する茎(約2メートル)の上半分に大型の花を咲かせます。夏らしい華やかな花が、下から順々に咲き上がります。 きょうもありがとうございます。
28日(木)
夕立に包み隠さず出来不出来
ゆだちに つつみかくさず できふでき季語=夕立 ※突然降りだす激しい雨。局地的で名前の通り夕方などに降り、1時間ほど止みます。夏の季語。正しくは送り仮名は付けません。 きょうもありがとうございます。
27日(水)
水槽がキレイで金魚どこ泳ぐ
すいそうが きれいできんぎょ どこおよぐ季語=金魚 ※金魚は中国で作られ、室町時代末期には渡来していたといわれています。日本でも盛んに品種改良されています。 きょうもありがとうございます。
26日(火)
とりどりに回りくどくも薔薇くだけ
とりどりに まわりくどくも ばらくだけ季語=薔薇 ※初夏はバラの季節ですが、そろそろ盛大に散りはじめましたね。 きょうもありがとうございます。
25日(月)
願いごと極めて地味にこの五月
ねがいごと きわめてじみに このごがつ季語=五月 ※新緑の美しいころで、季節としては初夏。本来は梅雨入り前の過ごしやすい時期です。 きょうもありがとうございます。
24日(日)
山法師やさしきことを飽きるまで
やまぼうし やさしきことを あきるまで季語=山法師 ※花水木の仲間で、白い花(本当は苞)を枝いっぱいに咲かせます。茶花としても親しまれる花木で、本州などの山野に自生します。庭木や街路樹としても人気の美しい花ですが、さみしいほどに白い。 きょうもありがとうございます。
23日(土)
三日目の誤解と偏見蛇いちご
みっかめの ごかいとへんけん へびいちご季語=蛇苺 ※直径1センチほどのいちごに似た実を上向きにつけます。散歩のついでに見つかる身近な雑草。有毒ではありませんが、美味しいものでもない(そうです)。美味しいいちごは下向きに実ります。 きょうもありがとうございます。
22日(金)
新じゃがも買い置きされて眠くなる
しんじゃがも かいおきされて ねむくなる季語=新じゃが ※ジャガイモのおいしい時期。5、6月ごろに出回るジャガイモを「新じゃが」と呼び区別します。「新」でないジャガイモは、秋の季語。 きょうもありがとうございます。
21日(木)
ほころびに気づくあそこに小判草
ほころびにきづく あそこに こばんそう季語=こばんそう ※小判というより何かの蛹のような、イネ科の花。花びらのある花ではなく、細い枝にぶら下がるように小穂(しょうすい)を付けます。 ※ヨーロッパ原産で、もともとは明治時代に観賞用として渡来。いつの間にか野生化し、駐車場や線路わきなどでふつうに群生しています。 きょうもありがとうございます。
20日(水)
どくだみや空の重さに腰伸ばす
どくだみや そらのおもさに こしのばす季語=どくだみの花 ※白い十字の花が可愛らしい。日陰を好みあちこちに咲きます。さらに独特の悪臭から雑草のようにも扱われますが、じつは十薬とも呼ばれる古来からの薬草。ドクダミ茶の原料です。 きょうもありがとうございます。
19日(火)
大人しくしているけれど初夏に雨
おとなしく しているけれど しょかにあめ季語=夏の雨 ※1日中雨でした。初夏は立夏から約1か月をさします。 きょうもありがとうございます。
18日(月)
引き返す目印として姫女苑
ひきかえす めじるしとして ひめじょおん季語=姫女苑 ※キク科の白い花で、道端など日本中あちこちに自生します。原産は北アメリカ。初夏の季語ですが、秋まで咲いています。 きょうもありがとうございます。
17日(日)
ありふれたかたばみとして道なりに
ありふれた かたばみとして みちなりに季語=酢漿草 ※五弁の可愛らしい黄色い花で、日あたりの良い場所ならどこにでも咲きます。葉はハート形の三枚葉でクローバに似ています。 きょうもありがとうございます。
16日(土)
雨の日の長くて青葉さんざめく
あめのひの ながくてあおば さんざめく季語=青葉雨 ※青葉のころに降る雨のこと。青葉も若葉も同じ意味合いですが、青葉の方が緑が濃くなっている感じです。 きょうもありがとうございます。
15日(金)
大仰に笑って流すブラシの木
おおぎょうに わらってながす ぶらしのき季語=ブラシの木 ※赤い花の形がビンを洗うブラシにそっくり。常緑性の低木で、玄関先の花壇などでよく見ます。オーストラリア原産で、日本には明治時代中期に渡来したとか。切り花にも使われます。 きょうもありがとうございます。
14日(木)
そもそもがうかつでそこつ麻を着る
そもそもが うかつでそこつ あさをきる季語=麻服 ※麻素材は涼しげで手入れも楽なので、夏服の定番のひとつです。 きょうもありがとうございます。
13日(水)
リモートにわたしそのもの衣更え
りもーとに わたしそのもの ころもがえ季語=衣更え ※春服を夏服に変えること。季語としては「衣更え」ではなく「更衣」と書くのが基本(のようです)。もともと宮中の行事だったことに関係しています。といっても、虚子をはじめ「衣更え」の古典句もたくさんあるんですけどね。 きょうもありがとうございます。
12日(火)
用もなく唸るがごとく薔薇が咲く
ようもなく うなるがごとく ばらがさく季語=薔薇 ※バラは四季咲きですが、5月がもっとも力強く華やいで見えます。世界中に数多の品種が存在します。 きょうもありがとうございます。
11日(月)
カラー咲く今にやさしく小ぎれいに
からーさく いまにやさしく こぎれいに季語=カラー ※カラーはサトイモ科の花です。和名は、海の芋と書いて「海芋(かいう)」。渡来は意外に古く江戸末期と言われています。 きょうもありがとうございます。
10日(日)
大粒の雨に慌てし棕櫚の花
おおつぶの あめにあわてし しゅろのはな季語=棕櫚の花 ※ヤシ科の常緑樹。直立する幹の頂に黄色い大きな花穂(小さい花の塊)をたれます。見ようによってはまるで魚卵のような形をしていて、けっして美しいものではありません。 きょうもありがとうございます。
9日(土)
ありそうな自由不自由著莪の花
ありそうな じゆうふじゆう しゃがのはな季語=著莪の花 ※アヤメ科の淡い白紫色の花で、葉は常緑。大昔に中国から渡来したもので、種子をつくらず地下茎で増えます。林などに自生するシャガも、その始まりは人の手によって植えられたもの、かもしれませんね。 きょうもありがとうございます。
8日(金)
薄暑にてほどよく響く外来語
はくしょにて ほどよくひびく がいらいご季語=薄暑 ※少し暑いくらいの初夏のころの気候。この場合の「薄」は、「近づく」という意味。だんだん夏らしくなってきます。 きょうもありがとうございます。
7日(木)
風薫る疲れていても歯はみがく
かぜかおる つかれていても ははみがく季語=風薫る ※初夏に吹く南風のこと。いかにも新緑の香りを運んできそうな心地よさがある、という意味合いの言葉です。 きょうもありがとうございます。
6日(水)
引き換えにひま持て余し青葉寒
ひきかえに ひまもてあまし あおばざむ季語=青葉寒 ※木々の緑が濃くなる青葉若葉のころになっても、思わぬ寒さを感じることがあります。 きょうもありがとうございます。
5日(火)
花みかん柑橘系と一括り
はなみかん かんきつけいと ひとくくり季語=花蜜柑 ※ミカン科は常緑高木で、白い五弁の花を付けます。庭木として人気のようで、けっこう見かけます。 きょうもありがとうございます。
4日(月)
陰ながら行きつ戻りつみどりの日
かげながら いきつもどりつ みどりのひ季語=みどりの日 ※自然に親しみ感謝するための国民の祝日。きょうもありがとうございます。
3日(日)
行く春を毛玉のように払いけり
ゆくはるを けだまのように はらいけり季語=行く春 ※春の終りのこと。 きょうもありがとうございます。
2日(土)
斜め読み飛ばし読みして夏が来る
ななめよみ とばしよみして なつがくる季語=夏来る ※立夏のこと(今年は5月5日)。夜明けが早くなり、朝が明るい。草木の緑も日々濃くなります。 きょうもありがとうございます。
1日(金)
甘いだけのドーナツ食べて葉桜に
あまいだけの どーなつたべて はざくらに季語=葉桜 ※桜の花が終わり、明るい若葉に満たされたころを「葉桜」といいます。初夏の季語です。 きょうもありがとうございます。