• 俳句ストック(シヲクム)

今日の俳句、こうのこうき

2020年9月

30日(水)

成り行きに流され秋の蚊も必死

なりゆきに ながされ あきのかもひっし
季語=秋の蚊
※秋らしくなってくると蚊の動きもしだいに鈍くなります。
きょうもありがとうございます。

29日(火)

秋日和赤い花より赤い椅子

あきびより あかいはなより あかいいす
季語=秋日和
※風もなく穏やかな秋晴れの日のこと。
きょうもありがとうございます。

28日(月)

靴下に左右のありぬ水引草

くつしたに さゆうのありぬ みずひきそう
季語=水引草
※水引の花のこと。タデ科の多年草で庭などに植えられる。よくしなる長い花穂に点々と付く多数の花は、上から見ると赤い花に、ひっくり返すと白い花に見えます。水引の名の所以です。
きょうもありがとうございます。

27日(日)

まっさらな繋がりとして草ひばり

まっさらな つながりとして くさひばり
季語=草雲雀
※フィリリリリ、フィリリリリと鳴く秋の虫。朝方に鳴くことも。
きょうもありがとうございます。

26日(土)

譲るもの譲れぬもののありて秋

ゆずるもの ゆずれぬもののありて あき
季語=秋
※9月も残すところ数日。衣更えの時期ですね。
きょうもありがとうございます。

25日(金)

萩に雨危ぶむ声のしみ出して

はぎにあめ あやぶむこえの しみだして
季語=萩
※秋の七草として一番最初に名前があがる秋の代表的な花。
きょうもありがとうございます。

24日(木)

芙蓉咲き顔半分のぎこちなさ

ふようさき かおはんぶんの ぎこちなさ
季語=芙蓉
※ムクゲによく似た花で、ムクゲよりも大きくふんわりとした花ひらをしています。朝開いて夕方にはしぼむ1日花。その昔は「芙蓉の顔(かんばせ)」といい美人のたとえでもありました。
きょうもありがとうございます。

23日(水)

干からびぬように静かに蚯蚓鳴く

ひからびぬように しずかに みみずなく
季語=蚯蚓鳴く
※秋の夜、暗闇からジーという虫の声が聞こえます。地中から聞こえてくるので鳴かないミミズが鳴いていることにした、という、ちょっと不思議な季語です。(本当はケラの鳴き声)
きょうもありがとうございます。

22日(火)

無自覚に秋分の日のすれ違い

むじかくに しゅうぶんのひの すれちがい
季語=秋分の日
※国民の祝日で、秋の彼岸の中日にあたる。この日を境に昼と夜の長さが逆転する。
きょうもありがとうございます。

21日(月)

曼珠沙華むかしむかしの帰り道

まんじゅしゃげ むかしむしかの かえりみち
季語=曼珠沙華
※真っ赤な印象的なカタチの花で、別名を彼岸花という。毎年(律儀に)、秋の彼岸どきには必ず咲きます。黄や白の花色もありますが、マンジュシャゲといえば、やはり赤。
きょうもありがとうございます。

20日(日)

あっさりと昼夜逆転秋彼岸

あっさりと ちゅうやぎゃくてん あきひがん
季語=秋彼岸
※秋のお彼岸のことで、秋彼岸入りから秋彼岸明けまでの1週間。敬老の日と秋分の日があり、連休になることが多い。
きょうもありがとうございます。

19日(土)

マスカットひと粒ごとをひとしきり

ますかっと ひとつぶごとを ひとしきり
季語=マスカット
※マスカットは淡い緑色の皮のブドウで、その総称のようもの。マスカット・オブ・アレキサンドリアなど種類が豊富。秋の季語。
きょうもありがとうございます。

18日(金)

末枯れて街は小さくうねり出す

うらがれて まちはちいさく うねりだす
季語=末枯
※読みは「うらがれ」。動詞は「末枯る」。草木の葉の先端の色が枯れ色に染まること。
きょうもありがとうございます。

17日(木)

小説は出だしで選ぶ九月かな

しょうせつは でだしでえらぶ くがつかな
季語=九月
※暑さ寒さも彼岸まで、とはいうが、今年はどなんだろう。
きょうもありがとうございます。

16日(水)

新月の水は染み込み和やかに

しんげつの みずはしみこみ なごやかに
季語=新月
※実際には見えない月のこと。満月とは逆の現象で、月の満ち欠けの出発点となります。俳句では、細い三日月をさすことも。秋の季語。
きょうもありがとうございます。

15日(火)

ひとしきり笑い転げて虫の声

ひとしきり わらいころげて むしのこえ
季語=虫の声
※秋の虫の鳴き声のこと。種類は様々あるが、いずれにも秋らしい寂しさがある。涼しさを感じるころには、なおさら。
きょうもありがとうございます。

14日(月)

帳尻を合わせそびれて秋茄子

ちょうじりを あわせそびれて あきなすび
季語=秋茄子
※「あきなす」とも「あきなすび」とも読む。秋に採れるナスは、昔から美味といわれている。
きょうもありがとうございます。

13日(日)

秋の夜の動けば自然腹が減る

夜だけは、驚くほど涼しくなりました。

あきのよの うごけばしぜん はらがへる
季語=秋の夜
※秋の夜長というように、しみじみとした感じがある。
きょうもありがとうございます。

12日(土)

寄り添えばたぶん水色秋の声

よりそえば たぶんみずいろ あきのこえ
季語=秋の声
※秋を感じさせるすべての声や物音。
きょうもありがとうございます。

11日(金)

忘れたいことのいろいろ草の花

わすれたいことの いろいろ くさのはな
季語=草の花
※草の花といえば秋。秋に咲く草の花は青や紫色が多いという。
きょうもありがとうございます。

10日(木)

捨てうちわ気分の乗らぬときのため

今年はあまりに暑すぎて、
逆に使う機会がない。

すてうちわ きぶんののらぬ ときのため
季語=捨て団扇
※一般的に9月は残暑が厳しく扇子や団扇はまだまだ必要ですが、使う機会がなくなり置きっぱなしの団扇のことを「捨て団扇」「忘れ団扇」といいます。秋の季語。
きょうもありがとうございます。

9日(水)

仲秋のキャラメル味の小気味よく

ちゅうしゅうの きゃらめるあじの こきみよく
季語=仲秋
※秋を三分割したときの真ん中の秋のこと。二十四節気の白露にあたる期間で、だいたい9月8日からのひと月。ちなみに今年の「仲秋の名月」は、来月10月1日ですね。
きょうもありがとうございます。

8日(火)

風を受け嫌になるまで芒の穂

かぜをうけ いやになるまで すすきのほ
季語=芒
※花とも言えない花穂が特徴のススキ。都心でも日当たりのよい線路沿いなどに自生しています。かやぶき屋根の材料。
きょうもありがとうございます。

7日(月)

うっすらと透き通るまで今年米

うっすらと すきとおるまで ことしまい
季語=今年米
※今年とれた新米のこと。収穫の早い地域の新米はもう市場に出回っています。
きょうもありがとうございます。

6日(日)

鼻歌も生まじめなりて葡萄粒

はなうたも きまじめなりて ぶどうつぶ
季語=葡萄
※ブドウも秋の代表的な果物。世界でもっとも生産されている果物で、その品種は1万以上あるそうですよ。
きょうもありがとうございます。

5日(土)

方便の拙さ拾う秋の声

ほうべんのつたなさ ひろう あきのこえ
季語=秋の声
※秋かも、と感じさせる音のこと。例えば虫の鳴き声、風の音など。
きょうもありがとうございます。

4日(金)

鮮やかにからめとられて稲光

あざやかに からめとられて いなびかり
季語=稲光
※稲妻のこと。秋の夜に空に走る雷の光。音が聞こえないこともある。昔々、その光によって稲に付く害虫が死滅すると信じられていたとか。
きょうもありがとうございます。

3日(木)

水底にふわりと生きて天の川

みなぞこに ふわりといきて あまのがわ
季語=天の川
※天の川が最も美しく見える時期なので秋の季語とされています。空気の澄んだ場所であれば、一年中見ることができます。
きょうもありがとうございます。

2日(水)

夕化粧思わず知らずむくれおり

ゆうげしょう おもわずしらず むくれおり
季語=夕化粧
※白粉花(おしろいばな)のこと。ラッパ状の3センチほどの花で、夕方から翌朝まで数多く咲きます。花色は赤・黄・白。目立つようでさりげない花。
きょうもありがとうございます。

1日(火)

秋めくや曖昧なもの傷開く

きびしい残暑、残念ながら。

あきめくや あいまいなもの きずひらく
季語=秋めく
※日に日に秋らしくなること。
きょうもありがとうございます。