今日の俳句、こうのこうき
2014年1月
31日(金)
冬林檎そろりとまるく昼の月
まるかじりの似合う年齢ではないです。
ふゆりんご そろりとまるく ひるのつき季語=冬林檎 ※リンゴは秋の季語です。貯蔵されて冬に出回るものを冬リンゴと呼びます。 ※春遠からじ。きょうもありがとうございます。
30日(木)
口ぶりをまねるが如く厚着する
寒い寒いが口ぐせに。
くちぶりを まねるがごとく あつぎする季語=厚着 ※「重ね着」の傍題です。「着ぶくれ」とは微妙に意味合いが違うらしい。 ※口ぶりといえば、星野立子という天才俳人の作風を学びたいのだが‥‥。理由はこちらに →「創刊号の巻頭句」 ※「洗練」とは、じつにむずかしい。きょうもありがとうございます。
29日(水)
さり気なく夜をまるめて寒椿
生け垣のツバキの花はあっちこっち向いているようだ。
さりげなく よるをまるめて かんつばき季語=寒椿 ※寒中に咲いている早咲きのツバキのこと。 ※ツバキの開花時期は初冬から晩春とわりと長い。 ※朝でも昼でもない。きょうもありがとうございます。
28日(火)
寒晴や歯医者の窓に「welcome」
「ようこそ!」と言われても、苦手なものは苦手です。
かんばれや はいしゃのまどに 「ウエルカム」季語=寒晴 ※寒中の晴れ間のこと。関東は晴れることが多いようです。 ※日差しがまぶしい。きょうもありがとうございます。
27日(月)
踏みしめて名前も知らぬ冬の草
わざわざ踏む場所もないのですが。
ふみしめて なまえもしらぬ ふゆのくさ季語=冬の草 ※すでに枯れた草も、枯れそうな草も、冬でも枯れない草も、みな冬の草。 ※寒晴れ、がんばれ。きょうもありがとうございます。
26日(日)
加湿器の音のみ響く風邪心地
何の予定もない休日には、何もしない。(とはいえ、それが、ちょっと苦痛。)
季語=風邪心地 ※寒い冬は空気が乾燥し、とくに風邪をひきやすい。 ※「加湿器」も季語のひとつですが、ここでは風邪心地に重点を置いています。 ※そして、風の強い日。きょうもありがとうございます。
25日(土)
集まりし楽しむふりの悴める
社交辞令というものが、あまりにヘタ。
あつまりし たのしむふりの かじかめる季語=悴む ※一般的には寒さで手足の感覚が鈍ることですが、俳句では心が「悴む」というニュアンスでも使われます。 ※忘れ物の多い1日でした。きょうもありがとうございます。
24日(金)
ポケットをむき出しにして冬日和
空っぽにしてから。
ぽけっとを むきだしにして ふゆびより季語=冬日和 ※寒い中でからりと晴れた日のこと。 ※乾燥してますな。きょうもありがとうございます。
23日(木)
室の花いつかの歌をくちずさむ
くちずさむは漢字で書くと、口遊む。
むろのはな いつかのうたを くちずさむ季語=室の花 ※寒い時期に温室で咲かせた春の花のこと。 ※水は冷たい。きょうもありがとうございます。
22日(水)
見てくれを気にするごとく霜柱
中身以上に大切とは思わないが、 外身は中身を連想させるものなのだから、それはそれで大切。
みてくれを きにするごとく しもばしら季語=霜柱 ※湿気を多く含む柔らかい土ほど霜ができやすいといいます。 ※関東ローム層は、とくに湿気の多い土質らしい。 ※世界の国から見ると、霜柱はめずらしい現象なのだとか。 ※所変わればね。きょうもありがとうございます。
21日(火)
マスクして語調いささかやわらかに
風邪をよく引く、引かないは、たぶん、生活習慣だけじゃないな。
ますくして ごちょういささか やわらかに季語=マスク ※風邪の多い季節ということでマスクは冬の季語となっています。 ※健康が一番ですね。きょうもありがとうございます。
20日(月)
大寒を分かつ満員電車かな
この季節、着込み過ぎると 外出先で汗をかいたりする。
たいかんを わかつまんいん でんしゃかな季語=大寒 ※大寒は1年でもっと寒い、1月21日頃のこと。 ※または立春までの15日間を指します。 ※日が伸びた気がします。きょうもありがとうございます。
19日(日)
ため息が剥がれるように寒卵
スーパーの安売りタマゴも 寒中は「寒卵」なのかしら?
ためいきが はがれるように かんたまご季語=寒卵 ※タマゴが貴重だったころ、寒中の卵は特に栄養価が高く、日持ちがすると喜ばれました。 ※大きなお寺などでは、今でも「寒卵」として、参拝客にゆで卵が売られています。 ※野菜が高いですね。きょうもありがとうございます。
18日(土)
寒梅やひとつひとつは地味なれど
サクラは全景を、ウメは近くで、ずっと眺めていたい花なのかも。
かんばいや ひとつひとつは じみなれど季語=寒梅 ※もっとも寒い寒中に咲くウメを「寒梅」といいます。 ※寒中に咲くウメは特に気品があるといわれています。 ※咲いていました。きょうもありがとうございます。
17 日(金)
葉牡丹のちから弛めば渦もまた
ほどほどが、美徳というものなのかもしれません。
はぼたんの ちからゆるめば うずもまた季語=葉牡丹 ※ハボタンは、キャベツの変種です。 ※江戸時代、キャベツが観賞用植物として品種改良されたそうです。 ※花の乏しい冬の風物です。きょうもありがとうございます。
16日(木)
水仙はうつらうつらとうつむいて
適温とは、手間のかかるもの。
すいせんは うつらうつらと うつむいて季語=水仙 ※原産は地中海沿岸ですが、雪中花とも呼ばれ、12月から咲き始めます。 ※黄色などの花色も美しいですが、スイセンといえば白がいい。 ※ギリシャ神話では、美少年ナルシスの生まれ変わりといわれています。 ※現代のナルシストの語源ですが、その魂は大違いです。 ※そこかしこ。きょうもありがとうございます。
15日(水)
無駄吠えが飲み込まれては冬木立
やかましくも、さみしい時代(‥‥なんて、実感もないくせに)
むだぼえが のみこまれては ふゆこだち季語=冬木立 ※冬木は、すっかり葉を落とした裸木のことです。その冬木の集合が冬木立です。 ※今日こそ雪に? きょうもありがとうございます。
14日(火)
たましいの在り様求め実千両
「相談する相手を間違った!」よくある話。
たましいの ありようもとめ みせんりょう季語=千両 ※茎先に開いた4枚の対の葉の上に、5ミリ程度の丸い実を数個付けます。 ※冬になるとその実が珊瑚色になります。 ※千両と万両は、名前も実のカタチも似ていますが、植物学的には別ものです。 ※千両は上に実をつけ、万両は下に実を付けます。 ※さまざまな鳥が啄み、春にさまざまな土地で新たな芽を出します。 ※心もリセット。きょうもありがとうございます。
13日(月)
成人の日大人のようなないような
大人ってなんだろう、と、考える日なのかもしれず‥‥。
せいじんのひ おとなのような ないような季語=成人の日 ※成人の日が1月15日だったのは、1999年までなんですね。 ※すべての世代が。きょうもありがとうございます。
12日(日)
蝋梅に音らしきものなかりけり
字を見ず、音だけ聞くと 「狼狽」とも、思えるか?!
ろうばいに おとらしきもの なかりけり季語=蝋梅 ※蝋細工のような黄色い花。ウメの花のようにいい香りがします。 ※梅といってもロウバイ科の花で、ウメの仲間ではありません。 ※咲き始めましたよ。きょうもありがとうございます。
11日(土)
うっすらと閉じ込めている初氷
鎌倉に寒詣。睡蓮鉢に氷が張っていましたよ。
うっすらと とじこめている はつごおり季語=初氷 ※笑顔のうらおもて。きょうもありがとうございます。
10日(金)
メモ書きがこまごまとして冬銀河
新年そうそう「打ち合わせ」に6時間って‥‥(長くても2時間と思っていたのに)
めもがきが こまごまとして ふゆぎんが季語=冬銀河 ※冬空にかかる天の川のこと。 ※予想外にて。きょうもありがとうございます。
9日(木)
ときどきはこっちを見てる寒すずめ
大方は勘違い。
ときどきは こっちをみてる かんすずめ季語=寒雀 ※寒中のスズメです。 ※スズメは寒さ対策として、羽毛に空気をためてふわふわにします。 ※その丸くかわらしい姿を「ふくら雀」と呼びます。 ※予報では雪になるとも。きょうもありがとうございます。
8日(水)
うすうすは気づきしままに寒の水
舌の上に口内炎。いま、ひじょうに、滑舌がわるい。
うすうすは きづきしままに かんのみず季語=寒の水 ※古くは、清く澄んだ寒中の水は、薬になると信じられていました。 ※ほんとうに風邪に効く薬を開発できたのならノーベル賞ものなのだとか。 ※結局は風邪を引いていたみたいです。きょうもありがとうございます。
7日(火)
人日やコーヒーの香の温かく
寒い日の缶コーヒーとか。
じんじつや こーひーのかの あたたかく季語=人日 ※人日は、1月7日のこと。 ※昔々、中国では正月七日に、人の世の運勢を占ったそうです。 ※この日には豊作、無病息災、長寿を祈り七草粥を食べます。 ※七草粥には、正月料理で疲れた胃を癒すという効用もあるようです。 ※ほっとするよね。きょうもありがとうございます。
6日(月)
明るめの絨毯を敷き吉とする
絨毯を敷くのにひと苦労でしたが、やはり温かいです。
あかるめの じゅうたんをしき きちとする季語=絨毯 ※絨毯は保温のために敷くもの、として、冬の季語となっています。 ※仕事始めの日。きょうもありがとうございます。
5日(日)
南天の実のほのぼのと真っ赤なり
今年のおみくじは「末吉」でした。
なんてんのみの ほのぼのと まっかなり季語=南天の実 ※「難を転ずる」と言われ、昔から縁起のいい木とされてきました。 ※赤く小さな玉のような実をたくさんつけます。 ※鬼門に植えたり、正月飾りなどにされたりします。 ※正月気分も終わりかなぁ。きょうもありがとうございます。
4日(土)
お上手を言いそびれしも松の内
タイミングよくというが、タイミングを図っていると、これがなかなか難しかったりもする。
おじょうずを いいそびれしも まつのうち季語=松の内 ※新年を祝う門松や松飾のある間は、お正月気分もなんとなく許されます。 ※だいたいは、元日から7日あたりまでが松の内です。 ※慣例として御用始めから松の内までが、新年会やあいさつ回りの多い時期です。 ※そうそう思う通りにいかない。きょうもありがとうございます。
3日(金)
目出度さに何するわけもなく三日
初詣やら何ら、それなりに動いてはいますが。
めでたさに なにするわけもなくみっか季語=三日 ※昔から二日正月、三日正月とも言われています。 ※例年では明日4日が御用始め。今年は正月休みが長いからね。 ※それもいいかもしれない。きょうもありがとうございます。
2日(木)
初夢や心置きなく初忘れ
夢は見た、たしかに見た、気がします。
はつゆめや こころおきなく はつわすれ季語=初夢 ※元旦の夜から2日にかけてみた夢を初夢といいます。 ※昔から「一富士、二鷹、三なすび」と言われ、幸運な夢の順番とされています。 ※誰かと喧嘩している夢だったような(笑)。きょうもありがとうございます。
1日(水)
思うほど変わるでもなく年新た
本年もよろしくお願いいたします。
おもうほど かわるでもなく としあらた季語=年新た ※地味に、がんばります。