今日の俳句、こうのこうき
2015年8月
31日(月)
鼻歌のあてなくひびく秋扇
今年はこのまま残暑がないとか!?喜んでいいのか、悪いのか。
はなうたの あてなくひびく あきおうぎ季語=秋扇 ※秋らしくなったとはいえ、まだ使うこともある扇のこと。 ※ほとんど使わない状態は、捨扇もしくは忘れ扇。 ※この場合の「捨て」は、捨て置くという意味に近いようです。 ※少々調子が狂います。きょうもありがとうございます。
30日(日)
気まぐれはほどなく忘れきりぎりす
草むらからギィー、ギィーと鳴く声が聞こえたら、たぶんキリギリスの仲間。
きまぐれは ほどなくわすれ きりぎりす季語=きりぎりす ※昼間によく草の上で鳴きます。昼夜問わず鳴く種類もいるようです。 ※季語集などは「チョンギース」とか「ギーチョン」と鳴くと表記されています。 ※鳴くのは雄のみ。きょうもありがとうございます。
29日(土)
雨の日の雨の向こうの天の川
洗濯ものは長めに部屋干しても、どこかすっきりしない感じ。
あめのひの あめのむこうの あまのがわ季語=天の川 ※銀河のこと。1000億以上の恒星のあつまり。 ※七夕伝説を連想しがちですが、あくまでも天の川そのものの美しさが本意という。 ※雨だから見えないけれど。きょうもありがとうございます。
28日(金)
丸ごとの西瓜に愛想笑いかな
気づけば、スイカもかき氷もまだ食べてなかったわ。
まるごとの すいかにあいそ わらいかな季語=西瓜 ※夏に好まれる瑞々しさが特長の果実。その90%以上が水分といいます ※原産地はちょっと意外ですがアフリカです。 ※もとは縞模様ではなく全体が深緑色でした。今では高級品。 ※近所のスーパーではすでにスイカが棚から消えていましたよ!? ※秋の季語です。きょうもありがとうございます。
27日(木)
三つめの曲がり角にも猫じゃらし
立派な雑草だと思うけれど、誰も雑草とは呼ばない。
みっつめの まがりかどにも ねこじゃらし季語=猫じゃらし ※子犬のしっぽからの連想で「狗尾草(えのころぐさ)」という呼び名もあります。 ※週末も天気が悪そうです。きょうもありがとうございます。
26日(水)
石ころひとつ蹴れば愁思の右隣
気分の変化は、気温の変化にも関係あるのだろうな。
いしころひとつ ければしゅうしの みぎどなり季語=愁思 ※秋のころに感じるもの悲しさであり、もの思い。 ※夏が終わり冬に向かう季節がら憐れや寂しさを感じやすい。 ※半袖じゃ肌寒いわ。きょうもありがとうございます。
25日(火)
鉄道草横切るものに慈しみ
「てつどうぐさ」という力強い響きがいかにも雑草っぽい。「テツドウソウ」の方が言いやすい気もするが。
てつどうぐさ よこぎるものに いつくしみ季語=鉄道草 ※北アメリカ原産のキク科の雑草。 ※線路近くに多いから「鉄道草」と呼ばれるようになりました。 ※明治の初めに渡来したため、御一新草(ごいっしんぐさ)という別名も。 ※高さは1.5mくらい。枝葉を円錐状に広げ、うすい緑色の花を無数に付けます。 ※ヒメムカシヨモギが正式名称。きょうもありがとうございます。
24日(月)
しくじりを平たくいえば虫の夜
窓を開けたままでは風邪を引きそうです。
しくじりを ひらたくいえば むしのよる季語=虫 ※秋の夜に鳴く虫のこと。 ※もの悲しく鳴いています。きょうもありがとうございます。
23日(日)
面倒を食い散らかして処暑の風
このまま涼しくなるといいですね。
めんどうを くいちらかして しょしょのかぜ季語=処暑 ※二十四節気のひとつで、毎年8月23日ごろのこと。 ※または8月23日ごろから白露までの15日程度の期間をさします。 ※この時期になると猛烈な暑さも次第に落ち着くとされています。 ※立秋から半月です。きょうもありがとうございます。
22日(土)
夕暮れのすっくりと立ちし白桔梗
万葉のころからの身近な花だと思っていたら、今や絶滅危惧種なのだとか。わからないものです。
ゆうぐれの すっくりとたちし しろききょう季語=桔梗 ※8~9月ごろに咲く、秋の七草のひとつです。 ※日当たりの良いところに咲く、青紫の凛とした花。 ※白は園芸品種。きょうもありがとうございます。
21日(金)
曇天に混じりけのなし韮の花
路傍に雑草のごとく咲いていたります。
どんてんに まじりけのなし にらのは季語=韮の花 ※ユリ科の多年草で、その葉を食材にします。 ※折れば茎もニラ独特の匂いがします。花はいい匂い。 ※白い小花たちが茎の頂に固まるようにつきます。 ※可愛らしく涼しげな花。きょうもありがとうございます。
20日(木)
輪の中へ入らんとする法師蝉
落ち所が悪ければ土に帰ることもないのだね。
わのなかへ はいらんとする ほうしぜみ季語=法師蝉 ※鳴き声はツクツクオーシ、オーシツクツクと聞こえます。 ※近くで鳴かれると結構やかましい。 ※立秋ごろから鳴きはじめるので、秋の季語です。 ※秋の虫が鳴いています。きょうもありがとうございます。
19日(水)
あるがまま花もつれさせ烏瓜
繊細というには、厚みを感じます。
あるがまま はなもつれさせ からすうり季語=烏瓜の花 ※夜に咲く一風変った花で、夜明けとともにしぼみます。 ※花びらの縁が幾重にも裂け、互いに複雑に絡み合っているので、まるでレース編みのようだと喩えたくなります。 ※秋には赤い実が目立つ。きょうもありがとうございます。
18日(火)
一つ蹴り二つ蹴り出す水馬
泳いでいるのか、走っているのか。
ひとつけり ふたつけりだす あめんぼう季語=水馬 ※水面をすいすいと行く6本足の昆虫。アメンボ科の総称。 ※飴のような匂いがするからアメンボウという名が付いたそうです。 ※飴ちゃんの関西では水澄(みずすまし)と呼んでいます。 ※どっちもありだよ。きょうもありがとうございます。
17日(月)
おもかげを薄くのばしてパセリかな
よく見るのはカーリーパセリという種類。 その名の通り葉が細かくちぢれていますよね。
おもかげを うすくのばして ぱせりかな季語=パセリ ※和名は和蘭芹(おらんだせり)。江戸時代にオランダから長崎に伝わったそうです。 ※葉が平たくカーリーパセリほど香りや味にクセがないものはイタリアンパセリ。 ※添え物のパセリは残されがちですが、食欲増進、疲労回復などに良いのだとか。 ※いろどりとして。きょうもありがとうございます。
16日(日)
念入りに雨に打たれて花木槿
「槿花(きんか)一日の栄」という。奢るなということだ。
ねんいりに あめにうたれて はなむくげ季語=木槿 ※晩夏から秋にかけて咲く継ぐ一日花。 ※朝顔に似た五弁の花で、朝に咲いて夜にはしぼみます。 ※生きる力の強い花。きょうもありがとうございます。
15日(土)
蝉声のひと区切りして甲高く
「せみごえ」と読むと違う意味になるそうだ。
せんせいの ひとくぎりして かんだかく季語=蝉 ※油蝉は油で揚げようなジージー、みんみん蝉はその名の通りミーンミーン、法師蝉はツクツクオーシから変調します。 ※広辞苑によると「せみごえ(蝉声)」とは、「蝉の鳴き声に似た、しぼり出すような声。急調子のかん高い声」。つまり人の声。 ※昼過ぎに蝉の声が妙に響くと思ったら網戸に張り付いて鳴いていたよ。 ※言葉はいつも曖昧だ。きょうもありがとうございます。
14日(金)
夏痩せて肝心なこと忘れおり
明日は新聞を全紙買ってみようかと思う。
なつやせて かんじんなこと わすれおり季語=夏痩 ※連日の暑さで食欲が衰えれば、大抵の人は痩せてきます。 ※体力が落ちれば気力も続かなくなるもの。これは夏負けですね。 ※やっぱり蒸し暑い。きょうもありがとうございます。
13日(木)
口数の増えるばかりで百日紅
白より紅の方がおしゃべりな感じです。
くちかずの ふえるばかりで さるすべり季語=百日紅 ※花の少なくなる真夏を代表する花木のひとつです。 ※江戸時代に中国から渡来したといわれています。 ※「百日紅」は小さな紅い花を長く咲き継ぐことから付いた漢名です。 ※「白さるすべり」は百日白と書くそうです。 ※散りながらも見事に咲いています。きょうもありがとうございます。
12日(水)
煮え切らぬ日々の朝顔ただ若く
繁茂する葉が青々として涼しげです。
にえきらぬ ひびのあさがお ただわかく季語=朝顔 ※つぼみがほぐれはじめるは真夜中で、早朝の5時ごろには咲いています。 ※中国から薬用として遣唐使が伝えたといわれています。 ※茎は左巻き。きょうもありがとうございます。
11日(火)
明々と花火がちるを気休めに
一般的に花火といえば、 ドーンと大きな打ち上げ花火のこと。
あかあかと はなびがちるを きやすめに季語=花火 ※打ち上げて美しく開くのが揚花火。地上に仕掛けるのが仕掛花火です。 ※手に持つ小さな花火は手花火として区別します。 ※神宮の花火にて。きょうもありがとうございます。
10日(月)
皆が皆似た顔をして熱帯夜
熱帯夜の基準は最低気温摂氏25度以上。冷房なしでは、とにかく寝苦しい。
みながみな にたかおをして ねったいや季語=熱帯夜 ※それが一応の基準です。きょうもありがとうございます。
9日(日)
あっさりと無心となれず跣足かな
なぜ俳句では「はだし」をいまだに「跣足/跣」と書くのかは知りませんが、 もともとの意味合いは、素足で歩くことだったようです。
あっさりと むしんとなれず はだしかな季語=跣足 ※今では「はだし」も「すあし」も使われ方は同じです。 ※夏は裸足が多い。きょうもありがとうございます。
8日(土)
太陽を等しくまぶし鰻飯
一年で最も暑いとされる土用の時期はこれで終わりですが、まだまだ油断できなさそう。
たいようを ひとしくまぶし うなぎめし季語=鰻飯 ※昔からウナギは滋養強壮に良いといわれています。 ※鰻丼と鰻重の違いは器の違い。松・竹・梅の違いはウナギの大きさ。 ※暦の上では今日が立秋。少しでもこの猛暑がおさまればいいけれど。 ※天然ウナギは夏に多くとれました。きょうもありがとうございます。
7日(金)
ひまわりのただ一本の強さかな
元気をもらえる花かもしれない。
ひまわりの ただいっぽんの つよさかな季語=向日葵 ※猛暑をものともしないとか、見上げるほど大きいとか、大輪だとか、太陽に似ているとか、 茎や葉まで細かい毛が生えているとか、太陽神アポロンに失恋した海の精の化身だとか、いろいろ特長はいろいろありますが‥‥。 ※駅までの道に1、2本。きょうもありがとうございます。
6日(木)
折りとればあきらめやすく雲の峰
冷蔵庫の調子が悪くなるくらいに暑い。
おりとれば あきらめやすく くものみね季語=雲の峰 ※一般的には入道雲と呼ばれます。山のような雲。 ※もくもくよりむくむく。きょうもありがとうございます。
5日(水)
いいこともやなこともあり百日草
長く咲いていればこそか。
いいことも やなこともあり ひゃくにちそう季語=百日草 ※メキシコの高原が原産のキク科の花。花の時期が7~9月と非常に長い。 ※華やかな印象の花で様々な品種があります。花色も豊富。 ※とても育てやすく花壇や鉢植えとして人気のようです。 ※日本では仏花であったりもする。きょうもありがとうございます。
4日(火)
片陰に落ちれば昔々かな
猛暑の連続記録、どんだけ更新すんだ?
かたかげにおちれば むかしむかしかな季語=片陰 ※夏の午後、道の片側に日陰ができること。 ※日陰にほっとすることも。きょうもありがとうございます。
3日(月)
真っ直ぐに生きるしかなく蝉の殻
葉っぱの先端にしがみつく、いくつかの空蝉を見たよ。
まっすぐに いきるしかなく せみのから季語=蝉の殻 ※蝉の幼虫は地中で蛹となり地上に這い出てきます。 ※そして手近な木などにのぼり脱皮します。 ※背中から割れて成虫の抜け出した殻を空蝉(うつせみ)、または蝉の殻と呼びます。 ※空蝉は虚しさの象徴でもある。きょうもありがとうございます。
2日(日)
強情を張るには弱く虫干す
尊敬できるかどうかは、何ごとにも重要だ。
ごうじょうを はるにはよわく むしぼしす季語=虫干 ※干すといっても大切なものは陰干しが基本です。 ※風を通すことで湿気を取り除き、迷惑な害虫を防ぎます。 ※手間はかかります。きょうもありがとうございます。
1日(月)
八月の魚は水と遊ばない
このところ毎日、「今年一番の暑さ!」と、聞いている気がします。
はちがつの さかなはみずと あそばない季語=八月 ※熱中症にご注意あれ。きょうもありがとうございます。