今日の俳句、こうのこうき
2015年11月
30日(月)
腹の虫なれば言わずと冬日和
輪唱することも。
はらのむし なればいわずと ふゆびより季語=冬日和 ※気持ちよく晴れた冬のひよりのこと。それだけでほっとします。 ※あすから12が~つ。きょうもありがとうございます。
29日(日)
冬麗や記号化されし肩並べ
マイナンバー届きましたよ。
とうれいや きごうかされし かたならべ季語=冬麗 ※寒さの中にも春を思わせる晴れやな日をいいます。 ※冬麗と書いて「ふゆうらら」とも読ませます。 ※良くも悪くも。きょうもありがとうございます。
28日(土)
真っ新な遣り切れなさにマスクして
風邪予防として。
まっさらな やりきれなさに ますくして季語=マスク ※寒くなると風邪が流行ることから冬の季語となっています。 ※今やマスクも多機能だから。きょうもありがとうございます。
27日(金)
落葉踏むざくざくとした不安にて
自由は不安で、不安こそが自由とか。
おちばふむ ざくざくとした ふあんにて季語=落葉 ※ここ数日の雨ですっかり落葉した木もちらほら。 ※風で落葉を吹き飛ばすあの工具、「ブロワ」と呼ばれるものらしい。 ※冬うらら。きょうもありがとうございます。
26日(木)
木枯も我が身可愛さなりにけり
布団から這い出るのがむずかしくなってきた。
こがらしも わがみかわいさ なりにけり季語=木枯 ※木を枯らすほどの激しい風という意味です。 ※北西寄りの強風で、厳しい冬のはじまりを告げる季節風です。 ※雨のち曇り、満月。きょうもありがとうございます。
25日(水)
折々のチラシあふれし枇杷の花
夏に実がなり、冬に花を咲かせます。
おりおりの ちらしあふれし びわのはな季語=枇杷の花 ※ビワの実は美しい色をしていますが、花は葉に隠れてほぼ目立たない。 ※似ても似つかないが、ビワはバラ科の常緑樹。 ※密集する白い小花を寒さから守るかのように、褐色の短い毛がそのまわりをもこもこと覆っています。だからなおさら目立たない。 ※花期は晩秋から初冬。香りがよく残る虫をよく集めます。 ※真冬か!と思うような一日。きょうもありがとうございます。
24日(火)
優劣を泳ぎ切りしが鯛焼で
同じ餡子でも、和菓子屋さんには置いてないですね。
ゆうれつを およぎきりしが たいやきで季語=鯛焼 ※今川焼から派生したもので、はじまりは明治時代といわれています。 ※たい焼きはたい焼きだね。きょうもありがとうございます。
23日(月)
急かされて山道くだる藪柑子
庭園や盆栽、正月のお飾りなどで、 なんとなく見慣れているつもり。
せかされて さんどうくだる やぶこうじ季語=藪柑子 ※日本中の山林に自生する。木陰ややぶを好みます。 ※つややかな常緑樹で、晩秋から冬にかけて赤い実をつけます。 ※地下茎を伸ばして繁殖するのだとか。 ※夕暮れがはやいからさ。きょうもありがとうございます。
22日(日)
人に酔い紅葉の色の染まりゆく
高尾山の紅葉を見に。まだ少し早かったかもしれない。
ひとによい もみじのいろの そまりゆく季語=紅葉 ※とにかく人出がすごかった。きょうもありがとうございます。
21日(土)
妙なことあっけらかんとカリフラワー
長いことキャベツ畑だと思い込んでいたところは、 じつはカリフラワーの畑でした。
みょうなこと あっけらかんと かりふらわー季語=カリフラワー ※キャベツの変種であるブロッコリーの、さらに突然変異がカリフラワーだといわれています。 ※ブロッコリーと同じく明治時代には渡来していたそうですが、ごく身近な野菜となったのはやはり戦後から。 ※食用する白い部分は小さなつぼみの集合体。花蕾(からい)という。 ※刈りとるまで大きな葉に包まれていて、ほぼその姿は見えません。 ※俳句では花椰菜(はなやさい)と呼んでいます。 ※記載のない季語集も。きょうもありがとうございます。
20日(金)
蔦紅葉たぐりよせるは西の風
木枯しの時期だけど。
つたもみじ たぐりよせるは にしのかぜ季語=蔦紅葉 ※ブドウ科のつる性落葉木本。「もくほん」と読みます。 ※ツタは草のようでいて、じつは木なんです。 ※ツタには紅葉するものと常緑のもの、2つの種類あります。 ※錦蔦や紅蔦という美しい呼び名もあります。 ※晴れるといいな。きょうもありがとうございます。
19日(木)
くれぐれもと書き添えてみし忘れ花
春のようだけれども、ときどき吹く風はやっぱり冷たい。
くれぐれもと かきそえてみし わすればな季語=忘れ花 ※返り花(帰り花)のこと。 ※春の花が春と勘違いして二度咲きすること。ここ数日のような暖かい日の続く初冬によくある現象です。 ※街中で見ることのできるのは、桜、つつじ、たんぽぽなどでしょうか。 ※その他、山吹や藤、梨や杏なども二度咲きすることがあるそうです。 ※たんぽぽがちらほら。きょうもありがとうございます。
18日(水)
日和見やあわてふためきセロリ噛む
セロリはストレスに良いらしいよ。
ひよりみや あわてふためき せろりかむ季語=セロリ ※原産はヨーロッパ、西アジア、インドなど。 ※旬という感覚はありませんが、美味しいのは11月~5月なのだとか。 ※セロリの渡来は意外に古く、秀吉の時代に加藤清正が朝鮮から持ち帰ったといわれています。 ※クセの強い野菜のため、広く普及したのは戦後のことです。 ※イライラなどのストレスに効果ありとされるのは、あの独特の香り。 ※たまに食べたくなります。きょうもありがとうございます。
17日(火)
ちっぽけな男のとなり柿落葉
柿紅葉には、ひと葉ひと葉に、美しい模様があります。
ちっぽけな おとこのとなり かきおちば季語=柿落葉 ※たいていは、落葉になってから、気づくのかも。 ※都心部に暮らす人にとっては、柿の木は桜の木ほどに身近かもしれない。 ※柿の葉には殺菌効果があるそうで、それを利用したのが柿の葉ずし。 ※何ごとも多様であればこそだ。きょうもありがとうございます。
16日(月)
冬めきてふいに置き去りとなるゆめ
街路樹の落葉掃きはなかなか大変そう。
ふゆめきて ふいにおきざり となるゆめ季語=冬めく ※徐々に冬らしくなってきたことをいいます。初冬の季語。 ※カエデの仲間とか。きょうもありがとうございます。
15日(日)
小春日や賞味期限の生卵
おだやかに晴れわたる日は、 優しい気持ちになるもの?
こはるびや しょうみきげんの なまたまご季語=小春日 ※立冬すぎの春のような日和を小春、小春日、小春日和と呼びます。 ※小六月はとくに汗をかくような日のことをいうようです。 ※だいたい11月中旬から12月上旬くらいまでのこと。 ※昨日とは打って変わっての青空。きょうもありがとうございます。
14日(土)
道筋を違えてしぐれまたしぐれ
しぐれる日が増えて、景色は冬へと移り変わって行きます。
みちすじを たがえてしぐれ またしぐれ季語=時雨 ※しぐれは通り雨のことで、ぱらぱらと降っては止んでを繰り返します。 ※時雨らしきものは1年中ありますが、季語としてはやはり冬。 ※晩秋から初冬に多い雨です。 ※朝から冷たい雨。きょうもありがとうございます。
13日(金)
茶の花や咲けば咲いたで淋しという
ひねくれているわけでも、わがままなわけでもないらしい。
ちゃのはなや さけばさいたで さみしという季語=茶の花 ※ツバキやサザンカによく似た花。ツバキ科の花。 ※白い小花に厚く束ねた金色の蘂が特長的です。 ※茶畑だけでなく観賞用や垣根などでもよく見る花です。 ※「わび」「さび」ばかりではなく、「冷え」「痩せ」「からび」まで感じさせるような花なのだとか。 ※茶道にはまったくの無知でして。きょうもありがとうございます。
12日(木)
ふくよかに銀杏黄葉の息づかい
冬に向かう準備のはずが、イチョウの黄色は豊かにみえる。
ふくよかに いちょうもみじの いきづかい季語=銀杏黄葉 ※仏教伝来とともに中国より日本にもたらされたといわれています。 ※銀杏並木もまもなく黄金色。きょうもありがとうございます。
11日(水)
しくじりはとうに忘れし石蕗の花
光るような黄色い花に、大きな濃緑の葉。(どことなく、なにげなく、アンバランスな花)
しくじりは とうにわすれし つわのはな季語=石蕗の花 ※岩場などによく咲き、葉が蕗(ふき)に似ていることからこの名があります。「つわぶき」とも読む。 ※キク科の常緑多年草。花の少なくなる初冬に観賞用として好まれます。 ※天気によっては寒々とも見え。きょうもありがとうございます。
10日(火)
短日や愚痴のひとつも言いそびれ
雨の日は驚くほど夜になるのがはやいよ。
たんじつや ぐちのひとつも いいそびれ季語=短日 ※立冬から冬至に向かってしだいに日暮れがはやまります。 ※今年も残りわずか‥‥という声が、ちらほら聞こえはじめました。 ※気づけば「や」切りが続いてる。きょうもありがとうございます。
9日(月)
山茶花や遠慮はしまいとまた遠慮
椿よりは花も葉もやや小ぶり。
さざんかや えんりょはしまいと またえんりょ季語=山茶花 ※似ているのも当たり前で、同じツバキ科の常緑樹。 ※あまりに似ているので、漢名でいうところの椿の名「山茶」を誤って付けられたといわれています。 ※サザンカはツバキと異なり花びらに厚みがなく、1枚ずつ散ります。 ※はらはらと。きょうもありがとうございます。
8日(日)
ありようや雑木紅葉のかきくけこ
雑木紅葉の対は、名木紅葉。 「めいぼく」ではなく、「なのきのもみじ」と読みます。
ありようや ぞうきもみじの かきくけこ季語=雑木紅葉 ※雑木林などの名もない木々のモミジを雑木紅葉といいます。 ※名木紅葉とは、たとえば蔦紅葉、柿紅葉、満天星紅葉、銀杏黄葉など、固有名詞を付けて呼ぶとくに美しいモミジの総称です。 ※一般的に「もみじ」イコール「かえで」となったのは、江戸時代以後のことなのだとか。 ※それぞれの立冬。きょうもありがとうございます。
7日(土)
情念にふれし満天星紅葉かな
悲喜交々すべてにありえること。
じょうねんにふれし どうだんもみじかな季語=満天星紅葉 ※植え込みや生け垣に多いドウダンツツジのモミジ。 ※まるで濁りのないような赤で、見事に美しく紅葉します。 ※他の木々よりもひと足早く、まるで一気に染まるかのようです。 ※昭和記念公園が紅葉の見ごろ。きょうもありがとうございます。
6日(金)
しゅりしゅりと鼻をくねらせ銀杏の実
桃栗三年、柿八年といいますが、銀杏の木は25年。初めて実をつけるまでに、ひじょうに長い月日がかかります。
しゅりしゅりと はなをくねらせ いちょうのみ季語=銀杏の実 ※イチョウは梅のような実をつけます。黄色く熟すとぽとりと落ちる。 ※強烈な匂いを放つのは丸い実の部分(正確には外皮)で、ギンナンはその中にあります。 ※晩秋という感じです。きょうもありがとうございます。
5日(木)
青々と眺めくしゃみす秋の蝶
今どき、せわしく舞うのは小さな蝶ばかり。
あおあおと ながめくしゃみす あきのちょう季語=秋の蝶 ※空が青かったから。きょうもありがとうございます。
4日(水)
とろとろと煮詰めて外は初紅葉
日当りのよいところは 紅葉が早いのかもしれない。
とろとろと につめてそとは はつもみじ季語=初紅葉 ※色付きはじめたばかりの紅葉のこと。 ※柿の葉はまだ青々。きょうもありがとうございます。
3日(火)
皮肉屋の皮肉に終わる文化の日
おめでとうございます。
にひくやの ひにくにおわる ぶんかのひ季語=文化の日 ※もともと11月3日は明治天皇の誕生日。天皇誕生日を祝う祝日、明治節というものでした。 ※終戦の翌年に現在の「文化の日」と制定されました。 ※その主旨は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」というもの。 ※皇居では文化勲章が授与され、巷では文化祭や芸術祭などが催されます。 ※だから「文化の日」。きょうもありがとうございます。
2日(月)
末枯れて身に余りしと思い知り
「すえがれ」と読みがちですけどね。
うらがれて みにあまりしと おもいしり季語=末枯 ※草木はその先端から枯れはじめます。 ※秋のあわれ。きょうもありがとうございます。
1日(日)
片時も離れず桜紅葉かな
都心に多いサクラですが、美しく紅葉することは少ないのかも。
かたときもはなれず さくらもみじかな季語=桜紅葉 ※紅葉するのも早いが落葉も早いのがサクラモミジの特徴です。 ※サクラ特有の薄い葉は、いったん褐色になってから赤くなります。 ※赤くならずに終わることが多いかも。きょうもありがとうございます。