今日の俳句、こうのこうき
2015年12月
31日(木)
あれこれと身じろぎすれば大晦日
本年もありがとうございました。(そして、明けましておめでとうございます!)
あれこれと みじろぎすれば おおみそか季語=大晦日 ※結局、最後まで紅白を見てしまった。きょうもありがとうございます。
30日(水)
七癖で済まぬほどあり息白し
良く言うならば、それが生命力というもの。悪く言うならば、際限はないのだろう。
ななくせで すまぬほどあり いきしろし季語=息白し ※冬の朝、吐く息が白く見えること。 ※来年も前向きに。きょうもありがとうございます。
29日(火)
手のひらを流れる水の年の果
年末、歳末、どん詰まり。
てのひらを ながれるみずの としのはて季語=年の果 ※年の暮れ、年の瀬と同じです。 ※大掃除、まずは水回りから? きょうもありがとうございます。
28日(月)
トラウマに近きものあり隙間風
大げさなものではありませんが。
とらうまに ちかきものあり すきまかぜ季語=隙間風 ※戸や壁などの隙間から入り込む冷たい風のこと。 ※人間関係などに生じる心理的な隙間風というものもある。 ※どちらも寒々しい。きょうもありがとうございます。
27日(日)
みかん箱くらいの重み年の暮
不用なものをまとめたら。
みかんばこ くらいのおもみ としのくれ季語=年の暮 ※最近では「みかん箱」そのものを見かけなくなりました。外に出ていないだけなのでしょうが。 ※余すところも数日だ。きょうもありがとうございます。
26日(土)
得手不得手新たに数え冬日向
今日も快適な、お散歩日和でした。
えてふえて あらたにかぞえ ふゆひなた季語=冬日向 ※冬の日の暖かな日だまりのこと。 ※冬将軍到来? きょうもありがとうございます。
25日(金)
鼻先に人参さげて年詰まる
クリスマスを過ぎるまで なんとなく年末じゃない気分?
はなさきに にんじんさげて としつまる季語=年詰まる ※今年は25日が仕事納めという会社も多いようですね。 ※明日より指折り数えます。きょうもありがとうございます。
24日(木)
笑うこと笑わせることクリスマス
楽しいことは定着しやすい。
わらうこと わらわせること くりすます季語=クリスマス ※前夜にて。きょうもありがとうございます。
23日(水)
日をまたぎ柚子湯の柚子の香りおり
柚子湯は無病息災を願うおまじないのようなものです。
ひをまたぎ ゆずゆのゆずの かおりおり季語=柚子湯 ※冬至の日に、柚子の実を浮かべて風呂に入る習慣のこと。 ※くずかごの中で。きょうもありがとうございます。
22日(火)
枯紫陽花馴染めぬものは忘れられ
枯れ切るまでのアジサイは、いかにも不様で‥‥。
かれあじさい なじめぬものは わすれられ季語=紫陽花枯る ※アジサイは花のように見えるがく片をそのまま残して枯れます。枯れ切ってしまえばそれなりの趣があると思います。 ※庭のアジサイの多くは、冬になるとがく片ごと短く刈りとってしまい、もはや何の木だかわかりません。 ※そういえば冬至でした。きょうもありがとうございます。
21日(月)
裸木や傾ぐ我が身に呆れおり
幹があって、枝があって、それだけだけど。
はだかぎや かしぐわがみに あきれおり季語=裸木 ※「らぎ」と読みそうですが、「はだかぎ」と読みます。 ※枯木のことで、枝に葉を一枚も残していないイメージです。 ※木は生きています。きょうもありがとうございます。
20日(日)
抜け目なく冬よりねばり冬雀
ここから厳しい冬を越すわけよ。
ぬけめなく ふゆよりねばり ふゆすずめ季語=冬雀 ※冬は群れで行動し、餌を求めて庭先にあらわれことも。 ※一年を通してもっとも身近な鳥ですが、冬場は特に目立ちます。 ※姿は可愛らしいですが、稲などの農作物を荒らす害鳥でもあります。 ※「雀の子」は春の季語。きょうもありがとうございます。
19日(土)
地に足をいよいよ寒し冬夕焼
交差点の信号待ちですら、さむくてふるえる。
ちにあしを いよいよさむし ふゆゆやけ季語=冬夕焼 ※夕焼けはすべての季節で感傷的で美しい。 ※冬の夕焼けは夏のように空を大きく染めない感じがします。 ※鮮やかな時間も短く、むしろ気づかないことが多い。 ※いよいよ年末ですね。きょうもありがとうございます。
18日(金)
同類のごとき親しき冬椿
つんとしているとか、凛としているとか、ではなく‥‥
どうるいのごとき したしきふゆつばき季語=冬椿 ※早咲きの椿のこと。早いものは初冬から咲きはじめます。 ※本来は春の季語なので、冬に咲くツバキを総称して冬椿と呼んでいます。 ※寒中に咲いているものは寒椿。さらに凛とした感じがします。 ※天邪鬼は天邪鬼が大嫌い。きょうもありがとうございます。
17日(木)
湯豆腐や何かにつけて角のあり
とうふの角は簡単にくずれるけれど‥‥。
ゆどうふや なにかにつけて かどのあり季語=湯豆腐 ※湯豆腐は大人好みの冬の鍋とか。 ※子どもの頃はたしかにちょっと残念な感じだったかもしれない。 ※四角て白い。きょうもありがとうございます。
16日(水)
ちからなく見れば咳く特大に
湿った咳もあれば、乾いた咳もある。
ちからなく みればしわぶく とくだいに季語=咳く ※ゴホン、ゴホンの咳の動詞。カ行五段活用。 ※冬は空気が乾燥しがちで、風邪を引きやすく咳が出やすい。 ※油断は禁物。きょうもありがとうございます。
15日(火)
積みあげし丸く転げし冬林檎
待ってるだけじゃ、待ちぼうけ。
つみあげし まるくころげし ふゆりんご季語=冬林檎 ※冬に出回るリンゴのこと(本来のリンゴの旬は秋)。 ※できれば風邪は引きたくない。きょうもありがとうございます。
14日(月)
この先もこの先々も冬の水
いつか、そのうち、凍りそう。
このさきも このさきざきも ふゆのみず季語=冬の水 ※手荒れの時季でもある。きょうもありがとうございます。
13日(日)
しんみりと白紙にもどす冬の雨
雨と気づかないことも。
しんみりと はくしにもどす ふゆのあめ季語=冬の雨 ※この時季の雨は、冷たく細かに降る雨が多い。 ※音もなく降るぶん寒さが増すようにも感じます。 ※紅葉に冷たい雨。きょうもありがとうございます。
12日(土)
日だまりをぽつぽつ歩く落葉時
ひとりの時間も大切で。
ひだまりを ぽつぽつあるく おちばどき季語=落葉時 ※落葉する時期のこと。落葉季とも書くようです。 ※12月はいろいろはやい。きょうもありがとうございます。
11日(金)
加減とは思いやること根深汁
びっくりな天気でした。 (東京の日中の最高気温が25℃!)
かげんとは おもいやること ねぶかじる季語=根深汁 ※ネギのみそ汁のことです。 ※長ねぎのことを根深ねぎとも呼びます。 ※ネギは古くから薬用野菜として親しまれてきました。 ※風邪の引きはじめにはネギ。きょうもありがとうございます。
10日(木)
平凡を選びマフラー巻きにけり
物持ちがいいと数も増えるし。
へいぼんを えらびまふらー まきにけり季語=マフラー ※防寒のためのものであり、おしゃれのアイテムであり。 ※巻き方もいろいろ。きょうもありがとうございます。
9日(水)
ちぐはぐを楽しむ素振りみせ冬木
(街路樹の)ペースがちがう?
ちぐはぐを たのしむそぶりみせ ふゆき季語=冬木 ※冬景色の中の木々のこと。常緑樹も含まれます。 ※朝が寒い。きょうもありがとうございます。
8日(火)
これという約束もなし冬ざくら
見上げている人がいなければ、気づかなかった。
これという やくそくもなし ふゆざくら季語=冬桜 ※冬に咲くサクラのこと。 ※山桜と富士桜の交配種で12月ごろに咲きます。 ※春のそれと異なり小ぶりです。きょうもありがとうございます。
7日(月)
冬の蝿ひとり無邪気に振り返る
人間なら寒けりゃ寒いでじたばたするけど。
ふゆのはえ ひとりむじゃきに ふりかえる季語=冬の蝿 ※生き残ったハエ。じっとしていると死んでいるようにも。 ※寒くなると動きは鈍るが、越冬するハエもいるのだとか。 ※凍蝶はいなくなってた。きょうもありがとうございます。
6日(日)
口角を上げてさよなら冬の蝶
きのうから同じ場所にいる。
こうかくをあげてさよなら ふゆのちょう季語=冬の蝶 ※冬に生きている蝶のこと。 ※タテハチョウなどは成虫のまま越冬します。 ※じっとして飛ばない蝶を凍蝶(いてちょう)とも呼びます。 ※生き残りなのかも。きょうもありがとうございます。
5日(土)
枯蓮や残る自由と去る自由
枯れ蓮の池など、見向きもしない人が大多数。
かれはすや のこるじゆうと さるじゆう季語=枯蓮 ※葉は枯れ落ち、折れ曲がった茎が冷たい水面に乱立しています。 ※蓮の骨とも呼ばれるように、寒々としたさみしい光景です。 ※ハスの地下茎がレンコンです。きょうもありがとうございます。
4日(金)
冬草や枯れぬことより枯れること
草と木の一番の違いは年輪があるかないか。
ふゆくさや かれぬことより かれること季語=冬草 ※冬草という季語には、枯れた草も枯れずに残る草も含まれます。 ※その青さに視点を置く場合は「冬青草」とも。 ※淋しいものではない。きょうもありがとうございます。
3日(木)
八方に響くや真夜の花八つ手
冬の夜、空き缶の転がる音は驚くほどよく響きます。
はっぽうにひびくや まよのはなやつで季語=花八手 ※丸い花穂に小さな白い花を八方に咲かせます。 ※花とは思えない地味な花です。 ※もともと常緑の葉を愛でるものなので、花は咲く前に摘まれることも。 ※八つ手の名は、手のひらのような葉の形から名付けられました。 ※天狗の団扇とも。きょうもありがとうございます。
2日(水)
焼芋や並ぶひといて並びおり
温かな湯気とその場で食す人たちの笑顔が、なによりの宣伝なのだろうな。
やきいもや ならぶひといて ならびおり季語=焼芋 ※使用する芋はサツマイモ。江戸時代から続く庶民の味です。 ※最近の焼き芋屋さんは、「鳴門金時」とか「紅あずま」とか好みの品種が選べるようですよ。 ※寒ければなお。きょうもありがとうございます。
1日(火)
横よりも縦に広がる街師走
何はともあれ12月となりました。
よこよりも たてにひろがる まちしわす季語=師走 ※他の月の古称は旧暦に合わせがちですが、「師走」はふつうに新暦で使われています。 ※そこそこの年齢になると、人間は横に広がりがちですけれども。 ※いよいよ年末です。きょうもありがとうございます。