今日の俳句、こうのこうき
2017年11月
30日(木)
くすぐられ腹を抱えて十二月
気づけば、あら、今年もあとひと月。
くすぐられ はらをかかえて じゅうにがつ季語=十二月 ※ぬかりなく。きょうもありがとうございます。
29日(水)
山茶花の退屈さても美しく
散ってはじめて愛でるそんなことも、あるのかも。
さざんかの たいくつさても うつくしく季語=山茶花 ※ツバキによく似た花。ツバキと違い花びらを散らす。 ※はらはらと散る。きょうもありがとうございます。
28日(火)
銀行は午後六時まで銀杏散る
ほとんどATMだ。窓口もネットも利用しない。
ぎんこうは ごごろくじまで いちょうちる季語=銀杏散る ※黄色に染まり舞い落ちる「銀杏散る」は秋の季語。 ※一面の「銀杏落葉」は冬の季語となる。 ※1分1秒、機械は容赦ない。きょうもありがとうございます。
27日(月)
足ぶみも今日は楽しく花八手
ヤツデというヤツは、育つ環境を選びません。
あしぶみも きょうはたのしく はなやつで季語=花八手 ※ウコギ科のヤツデの花。 ※白い球状の地味な花ですが、気になる花です。 ※常緑の大きな葉が福を招くといわれ、玄関脇に植えられる。 ※線香花火に似てるかも。きょうもありがとうございます。
26日(日)
気づくまであてずっぽうの龍の玉
名前が大げさすぎて、 一致しないことってあるかも。
きづくまで あてずっぽうの りゅうのたま季語=龍の玉 ※一般的には「蛇の髭(じゃのひげ)」の実と呼ぶ。 ※公園や学校の花壇などでよく使われる下草のようなもの。 ※10~20センチほどの細長い葉で、常緑。 ※実は濃紺色の球形です。きょうもありがとうございます。
25日(土)
小春日や塩大福のこんもりと
塩大福が最近のお気に入り。
こはるびや しおだいふくの こんもりと季語=小春日 ※11月中旬から12月上旬、ふいに訪れる春のような陽気のこと。 ※日陰は寒い。きょうもありがとうございます。
24日(金)
温かな言葉をまじえ冬薔薇
やっぱりどこか異国っぽい。
あたたかな ことばをまじえ ふゆそうび季語=冬薔薇 ※冬に咲くバラのこと。 ※いい天気。きょうもありがとうございます。
23日(木)
あれこれと言わぬが勤労感謝の日
実際は今日が何の祝日か、 今の今まで忘れていたのよ。
あれこれと いわぬが きんろうかんしゃのひ季語=勤労感謝の日 ※そうでした。きょうもありがとうございます。
22日(水)
短日や口約束をおろそかに
ときには。常習ではないかな。
たんじつや くちやくそくを おろそかに季語=短日 ※冬至(今年は12月22日)に向ってどんどん日が短くなる。 ※もう十分に短いけど。きょうもありがとうございます。
21日(火)
夜更かしの糸垂れ下がる冬の月
蛍光灯の紐のように。 (そこにあるのに目に映らない)
よふかしのいとたれさがるふゆのつき季語=冬の月 ※どこで切るかね。きょうもありがとうございます。
20日(月)
疲れたら疲れたという神無月
新暦では霜月ですが、 旧暦では十月がはじまったばかり。
つかれたら つかれたという かんなづき季語=神無月 ※旧暦十月は八百万の神々が出雲に向って旅をする。 ※そのため諸国では神々が留守となるので神無月という。 ※花が減ったね。きょうもありがとうございます。
19日(日)
まったりと眠りに落ちる熟柿かな
あちこちで柿の実が熟しているよ。
まったりと ねむりにおちる じゅくしかな季語=熟柿 ※十分に熟した柿のこと。 ※熟せば甘くなるのに。きょうもありがとうございます。
18日(土)
寄せ鍋やひとかたまりに同じもの
鱈はこっち、とか。 人参はそこらへん、とか。
よせなべや ひとかたまりに おなじもの季語=寄せ鍋 ※季節の野菜や魚介、肉など様々なものを入れた鍋。 ※人間関係も同じかな。きょうもありがとうございます。
17日(金)
主張せしたとえば冬のすりガラス
記憶の中のすりガラスは、 とにかく寒々しい。 (北向きの部屋だったからかな?)
しゅちょうせし たとえばふゆの すりがらす季語=冬 ※日に日に冬ですね。きょうもありがとうございます。
16日(木)
居直りて静かなりけり枯蟷螂
クモの巣に引っかかっていたよ。
いなおりて しずかなりけり かれとうろう季語=枯蟷螂 ※枯れ色をしたカマキリのこと。 ※その昔はカマキリの冬の保護色であると信じられてきました。 ※実際は別もの。緑と褐色のカマキリが存在します。 ※冬の季語です。きょうもありがとうございます。
15日(水)
辛抱のできぬ人いて冬初め
使い捨てカイロをまとめ買いしたら、冬のはじまり。
しんぼうの できぬひといて ふゆはじめ季語=冬初め ※初冬のこと。 ※暦上では11月が初冬、12月が仲冬、1月が晩冬にあたる。 ※紅葉シーズン。きょうもありがとうございます。
14日(火)
冬服や流行り廃れに目をつむり
コートなどはとくに、 毎年買うわけでもないからね。
ふゆふくや はやりすたれに めをつむり季語=冬服 ※そろそろ。きょうもありがとうございます。
13日(月)
しばらくは眺めるだけの吊し柿
風情はあります。 今どきはビニールひもでも。
しばらくは ながめるだけの つるしがき季語=吊し柿 ※干し柿にするために、縄で吊るして乾燥させます。 ※便利だから仕様がない。きょうもありがとうございます。
12日(日)
鶏頭は爪先立ちに枯れはじむ
咲いているように見えて、、、 そんな感じです。
けいとうは つまさきだちに かれはじむ季語=枯る ※秋と冬の境い目。きょうもありがとうございます。
11日(土)
かみ合わぬ会話なりけり牡丹鍋
猪は牡丹鍋、鹿は紅葉鍋、馬は桜鍋。 それぞれに呼び名がある。
かみあわぬ かいわなりけり ぼたんなべ季語=牡丹鍋 ※猪の肉がメインの鍋。野菜と一緒に煮込む。 ※味噌味。きょうもありがとうございます。
10日(金)
黄落す我に合わせる顔つくり
もみじしては散る様子。
こうらくす われにあわせる かおつくり季語=黄落 ※銀杏などの黄葉が落葉すること。 ※自分自身に。きょうもありがとうございます。
9日(木)
屈託のなさやそれぞれ柿紅葉
日当りによって モミジ具合がだいぶ違うようだ。
くったくのなさや それぞれ かきもみじ季語=柿落葉 ※柿の葉のモミジは、一枚として同じものがありません。 ※朱、紅、黄、緑が微妙にまざり合い、美しく色付きます。 ※まだら模様。きょうもありがとうございます。
8日(水)
気づまりは三日と持たず冬支度
半日も持たない、とは、思うけれど。
きづまりは みっかともたず ふゆじたく季語=冬支度 ※いわゆる寒さ対策全般のこと。 ※秋の季語ですよ。きょうもありがとうございます。
7日(火)
イライラと袖引き合いて冬に入る
早くも肌が乾燥して大変。 とくに手ね。
いらいらと そでひきあいて ふゆにいる季語=冬に入る ※立冬のこと。二十四節気のひとつで、暦上の冬の入り口。 ※明日は暖かいようだ。きょうもありがとうございます。
6日(月)
暮の秋ひとり言にて絵空事
いつ頃から本格的に寒くなるんだっけ。
くれのあき ひとりごとにて えそらごと季語=暮の秋 ※夕暮れのことではなく、秋の終わりのこと。 ※明日は立冬。きょうもありがとうございます。
5日(日)
まじないの長くは持たず末枯るる
美しければ「薄紅葉」なのかな‥‥。
まじないの ながくはもたず うらがるる季語=末枯る ※末枯(うらがれ)。晩秋、草や木の葉先が色づくことをいう。 ※色づいて、いずれ枯れていくことを暗示する秋の季語です。 ※「すえ」ではなく「うら」。きょうもありがとうございます。
4日(土)
捨て置いて雑木紅葉やほとばしる
適度な距離感に、適度な矛盾。
すておいて ぞうきもみじや ほとばしる季語=雑木紅葉 ※雑木林などで、もろもろの落葉樹が紅葉する様。 ※色づきはじめた感じ。きょうもありがとうございます。
3日(金)
一日はつぶての如く秋の空
要領が悪いという人もいるけれど、とはいえ1日は短い。
いちにちは つぶてのごとく あきのそら季語=秋の空 ※雲ひとつないような晴天をいう。 ※ぽかぽか陽気でした。きょうもありがとうございます。
2日(木)
質問に質問かぶせ秋惜しむ
「秋ももう終わりかな?」 「もう冬なの?」、みたいな会話‥‥。
しつもんに しつもんかぶせ あきおしむ季語=秋惜しむ ※冬の渡来を身近に感じると、秋を惜しむ気持ちも強くなる。 ※だから春や秋は特別。きょうもありがとうございます。
1日(水)
優しさや剥がれ落ちたる後の月
甲乙付けがたいから、 少し欠けているのかしら。
やさしさや はがれおちたる のちのつき季語=後の月 ※今日は旧暦の九月十三日。 ※八月十五日が「名月」なら、ひと月に足りない九月十三日は「後の月」。もしくは「名残の月」。 ※十五夜に対し十三夜とも呼ぶ。 ※ふた月続けて愛でるのが、いにしえの習わしでした。 ※風流はむずかしいね。きょうもありがとうございます。