今日の俳句、こうのこうき
2019年10月
31日(木)
忘却のための忘却秋の水
大げさに言うならば、曇りのなさ。
ぼうきゃくのための ぼうきゃく あきのみず季語=秋の水 ※秋は水の透明さが増す時期と言われている。 ※もはや温くはない。きょうもありがとうございます。
30日(水)
すり鉢の中の愁思や胡麻をする
愁思とは、秋のもの寂しさ。その思い。
すりばちのなかの しゅうしや ごまをする季語=愁思 ※秋は美しい季節であり、花を失い、実り、そして枯れてゆく過程。 ※ゴリゴリとすることも‥‥人間。きょうもありがとうございます。
29日(火)
しめやかに続く名残りや新月に
昨日(28日)が新月でした。 本日も月齢1.0(陰暦二日)の細すぎて見えない月。
しめやかに つづくなごりや しんげつに季語=新月 ※実際には見えない月のこと。天文学上の呼び方は、「朔(さく)の月」(季語ではありません)。 ※明日より見える。ので、三日月。きょうもありがとうございます。
28日(月)
秋の蚊の愚かに重く軽く飛ぶ
片手で捕らえられるくらい。
あきのかの おろかにおもく かるくとぶ季語=秋の蚊 ※季節外れの蚊のこと。秋も深まると、さすがに勢いがなくなる。 ※それでも耳元を飛ぶの、カ! きょうもありがとうございます。
27日(日)
精一杯背伸びしたのち櫟の実
ドングリのこと。 丸いカタチのいかにも 転がりそうな実ですよ。
せいいっぱい せのびしたのち くぬぎのみ季語=櫟の実 ※ドングリは一般的にはカシ、ナラ、ブナなどの木の実の総称ですが、狭い意味ではクヌギ=ドングリとされています。 ※ドングリころころ~♪ きょうもありがとうございます。
26日(土)
それはそれこれはこれにて紅葉する
代表格のカエデやイチョウにはまだ早い。 が、ハナミズキはすでに紅葉している。
それはそれ これはこれにて もみじする季語=紅葉 ※ハナミズキなりの趣がある。きょうもありがとうございます。
25日(金)
赤のままときどき君も妥協する
犬蓼(いぬたで)の花のこと。蕾のような実のような小さな赤い花。いたるところに咲いている。
あかのまま ときどききみも だきょうする季語=赤のまま ※「まま」は「まんま(ご飯を指す幼児言葉)」で、粒々の花穂を赤飯に見立てた別称です。 ※タデ食う虫の、タデ科。きょうもありがとうございます。
24日(木)
目のあって口のあって鼻落つ木の実
目は口ほどに、とはいうけれど‥‥。嘘のうまい人は本当にうまい。
めのあって くちのあってはな おつこのみ季語=木の実落つ ※栗やドングリなどなど、名のないものまで、木々になる実の総称。 ※みな熟せば落下する。きょうもありがとうございます。
23日(水)
方便の座りの悪し吾亦紅
紅というよりも褐色系の地味な花。
ほうべんの すわりのわるし われもこう季語=吾亦紅 ※花びらを持たない丸い花が穂状に密集するバラ科の多年草。 ※秋らしい野の花。きょうもありがとうございます。
22日(火)
半分は涙目なりし秋の空
今月になってから、台風が多いね。
はんぶんは なみだめなりし あきのそら季語=秋の空 ※基本的には高く澄んだ空のことをいう。 ※反面、天気の変わりやすい時期でもあるので、「女心(男心)と秋の空」など定めなきことのたとえともある。 ※明日は晴れるようだ。きょうもありがとうございます。
21日(月)
ぶつぶつと話の長し秋の雨
楽しくない話は、できるだけ短いに限る。
ぶつぶつと はなしのながし あきのあめ季語=秋の雨 ※ハレの日には晴れてほしい! きょうもありがとうございます。
20日(日)
転がりてなお誇らしく椿の実
熟すというより木質化、乾燥してゆく感じか。
ころがりて なおほこらしく つばきのみ季語=椿の実 ※初めは緑色、徐々に褐色に近づき、厚い皮に大きな亀裂が入る。 ※1つの実に2~3つの大きな種が入っている。 ※この種が椿油の原料。きょうもありがとうございます。
19日(土)
ほどよくも取柄のなさや草の秋
雑草から名のある草まで、 街も野原も、千々に色づく。
ほどよくも とりえのなさや くさのあき季語=草の秋 ※主題は秋草。傍題が多く、色草、千草、八千草などともいう。 ※つまりは、秋の草。きょうもありがとうございます。
18日(金)
なぞなぞのごとく詰め寄り秋の蜂
ハチかと思ったら、 ホウジャクという蛾の仲間。
なぞなぞのごとく つめより あきのはち季語=秋の蜂 ※秋に見るハチ。冬眠のための準備に忙しい。 ※擬態? きょうもありがとうございます。
17日(木)
戸惑いは忘れてまたも冬支度
「そろそろ、こたつ?」なんて話題も‥‥。
とまどいは わすれてまたも ふゆじたく季語=冬支度 ※冬を意識していろいろと用意すること。 ※油断すると風邪ひきそう。きょうもありがとうございます。
16日(水)
そつなさに悲しくなりぬ夜寒かな
夜の寒さを感じること。 朝であれば、朝寒。
そつなさに かなしくなりぬ よさむかな季語=夜寒 ※寒さにも個人差。きょうもありがとうございます。
15日(火)
金木犀ほどよく生きりゃすれ違う
秋を感じる代表的な花であり、香り。
きんもくせい ほどよくいきりゃ すれちがう季語=金木犀 ※オレンジ色の花がキンモクセイ。白い花がギンモクセイ。ギンモクセイよりキンモクセイの方がよく香る。そして一般的。 ※咲いたね。きょうもありがとうございます。
14日(月)
ぼんやりと空の流れし体育の日
もともとは、10月10日。 1964年の東京オリンピックの 開会の日にちなんで制定された国民の休日。
ぼんやりと そらのながれし たいいくのひ季語=体育の日 ※2000年より現在の10月の第二月曜日となった。 ※やっぱり雨の休日。きょうもありがとうございます。
13日(日)
買い溜めし水を満たして後の月
旧暦九月十三日の月のこと。 その昔は八月の十五夜と同じように愛でた。 (月見が二回あった)
かいだめし みずをみたして のちのつき季語=後の月 ※満月に少し足りない月。旧暦八月十五日の「名月」を受けての呼び名。今年は2日前の11日がそれでした。 ※明日は満月。きょうもありがとうございます。
12日(土)
凄まじき雨音止めば虫の声
超巨大台風が去ったら、さっそく聞こえてきた。
すさまじき あまおとやめば むしのこえ季語=虫の声 ※コオロギなど秋に鳴く虫のこと。きょうもありがとうございます。
11日(金)
台風の過ぎ行くまでの時間かな
停電もあるかも‥‥!?
たいふうの すぎゆくまでの じかんかな季語=台風 ※心配ですね。きょうもありがとうございます。
10日(木)
秋日和大切なこと言いよどみ
風もなく穏やかで、 過ごしやすい秋晴れの日こと。
あきびより たいせつなこと いいよどみ季語=秋日和 ※週末はまたも大型台風直撃!? きょうもありがとうございます。
9日(水)
末枯れて楽しきことを好みけり
「すえがれ」ではなく「うらがれ」。 意味は草木の葉先から色づき、 枯れはじめること。
うらがれて たのしきことを このみけり季語=末枯れ ※いまだに読み間違うのよ。きょうもありがとうございます。
8日(火)
新米の出回りはじめ増えはじめ
早いものは、8月から市場に出回りますが、10月が一番新米というシールを目にする時期なんでしょうね。
しんまいの でまわりはじめ ふえはじめ季語=新米 ※今年とれた米のこと。きょうもありがとうございます。
7日(月)
ゆっくりとかしずくごとく秋の雨
秋の雨は複雑だ。 爽やかだったり、寂しかったり、 肌寒かったり、いろいろ。
ゆっくりと かしずくごとく あきのあめ季語=秋の雨 ※秋に降る雨全般のこと。きょうもありがとうございます。
6日(日)
秋深む阿ることも生きること
阿呆の阿と書いて、 「阿(おもね)る」と読みます。 常用漢字ではないので、読めなくても大丈夫!
あきふかむ おもねることも いきること季語=秋深む ※秋が日に日に深まる感じをとらえた季語。主題は「秋深し」、その動詞が「秋深む」。 ※孤高なんて、非現実。きょうもありがとうございます。
5日(土)
白萩に足並みそろえ迷いけり
ハギの花は、秋の七草のひとつ。 今どきは、一般に広く知られる花とは、 言えないのかもしれない。
しろはぎに あしなみそろえ まよいけり季語=白萩 ※よくしなる長い枝に紫色や白い小花をたくさん付けます。 ※万葉のころから親しまれる花。ハギを題材にした歌も多い。 ※世代によるが。きょうもありがとうございます。
4日(金)
小さな蝶よりも小さな秋の蝶
中には越冬する蝶もいる。 つまりは、秋に飛んでいれば秋の蝶。
ちいさなちょうよりも ちいさな あきのちょう季語=秋の蝶 ※夏の蝶と言えばアゲハ。あれほどの大型の蝶はさすがにもう見ない。 ※まだ元気に飛んでいたよ。きょうもありがとうございます。
3日(木)
ちらほらとあきれ顔なり天高し
気温は真夏。風は秋。葉っぱの色も変わりはじめた。
ちらほらと あきれがおなり てんたかし季語=天高し ※秋は空気が澄みはじめるため、空が高く感じる。 ※落葉もちょこちょこ。きょうもありがとうございます。
2日(水)
大人しく泣いて明るく蛍草
小さな青い2つの花弁に黄色いおしべ。 変った形と色合いから別名が多い。
おとなしく ないてあかるく ほたるぐさ季語=蛍草 ※露草(つゆくさ)のこと。この名前で知られている。その他、月草、帽子草、藍花など。 ※夜明けともに咲き、朝露の残っている間だけ咲くと言われています。 ※実際は午後まで咲いている。きょうもありがとうございます。
1日(火)
十月や古びゆくものまたも増え
例年なら衣更えの時期 なんですけどね。 消費税は変ったけれど。
じゅうがつや ふるびゆくもの またもふえ季語=十月 ※10月といえば、金木犀かな。きょうもありがとうございます。